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銀一「XpoBalance」、「TriBalance」
確実なホワイトバランス設定が可能
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XpoBalance
デジタルカメラには光の色カブリを自動的に補正してくれる“オートホワイトバランス(AWB)”という便利な機能が備わっている。ただし、常に正確なAWBが得られる機種は残念ながら存在しない。AWBまかせでも7~8割は期待通りに仕上がるものの、残りの2~3割は太陽光ポジションなりワンプッシュホワイトバランスなり、手動でホワイトバランスを設定したほうがキレイな色に写る。
自然光なら、ホワイトバランスを“太陽光ポジション”に設定して撮影するのがもっとも自然だ。季節や撮影時刻によっては光の色温度が低かったり高かったりして、光の色カブリが生じることもあるが、むしろ色カブリを生じることによって雰囲気のある写真が撮れるし、少なくとも人間の視覚とは大きく異なる色カブリを生じてしまうことはない。
ただし、人物撮影では、晴天日陰の青空カブリや芝や樹木の緑カブリは、肌の色を濁らせてしまう要因だ。また、蛍光灯照明も、蛍光灯の種類によって微妙に色温度が異なっているので、AWBでもそこそこ色カブリのない写真は撮れるものの、白が完全な白に再現されず、全体に多少濁った発色になることもある。
白を完全な白に再現したいときは、ホワイトバランスをマニュアルセット(プリセットと呼んでいる機種もある)するのがイチバンだ。白またはグレーの被写体をファインダーいっぱいに捉え、白が白く写るようにホワイトバランスを手動設定するわけだ。
問題は、ホワイトバランスをマニュアルセットするときの被写体だ。グレーといえば“コダック グレーカード”が定番だが、実際には反射式露出計で測光する際の標準被写体として作られたものであり、デジタルカメラのホワイトバランス調整用として完璧なニュートラルグレーかどうかは保証の限りではない。
また、白い紙でマニュアルセットしている人も多いが、白い紙の大半はより白く見せるために蛍光剤や増白剤が混ぜられているので、このような紙を使ってホワイトバランスをセットするとかなり黄色みが強くなってしまう。といって、見るからにわら半紙のように漂白されていない紙も論外だ。
そんなわけで、ホワイトバランス調整用の標準被写体にはいつも頭を悩ませていたのだが、フォトイメージングエキスポ2006の銀一のブースでおもしろいアイテムを見つけた。Listoliteの「XpoBalance」(エクスポバランス、9,450円)と 「TriBalance」(トリバランス、21,000円)だ。XpoBalanceは、片方の面が“白/グレー/黒”、もう片方の面は“3段階のグレー”に塗られていて、直径は約38cmとコンパクト。また、TriBalanceは、片方の面が“白/グレー/黒”、もう片方の面が銀レフになっていて、直径は約84cmと大きめだ。どちらも丸レフのようなツクリになっていて、クルッとひねるように折りたたむと、3分の1ほどの大きさに収まるのが特徴だ。
大きいほうがTriBalance、小さいほうがXpoBalance
反対側の面。TriBalanceは銀レフ、XpoBalanceは露出測定用のグレーになっている
丸レフの要領で、クルッとひねるようにたたむ。柔軟な素材でできているので、カメラバッグでもみくちゃになっても、パッと開けばシワもなくピンと張る
ホワイトバランスをマニュアルセットするときには、“白/グレー/黒”の面の“白”の部分を撮影画面いっぱいに写して調整するのが基本。グレーの部分でマニュアルセットすると、わずかに赤みが強くなるようだ。また、“白/グレー/黒”面の中心部を写し、ヒストグラムを確認することで露出レベルを確認することもできる。
最近はRGB個別のヒストグラムを表示できる機種も増えているので、ヒストグラムのRGB個別の山が揃っているかどうかをチェックすることで、ホワイトバランスだけでなく、グレーバランス(中間調の色バランス)やブラックバランス(シャドー部の色バランス)も整っているかどうかを確認できる。
さらに、AWBを使わず、手動でホワイトバランスを設定して撮影する際には、試し撮りしたカットに“白/グレー/黒”の面を写し込んでおけば、Photoshopのレベル補正やトーンカーブに備わっている3点スポイトツールを使って、白、グレー、黒のRGBバランスをそれぞれ整え、その調整パラメータを本番カットに適用すれば、完璧なカラーバランスの写真に仕上げられる。
AWBで撮影。夕方の木陰という極めて特殊な光線状況で撮影。背景のチューリップ畑は自然な色合いだが、顔の色は黄色みが少なく、妙な色になっている
TriBalanceの白い部分でホワイトバランスをマニュアルセット。ちょっと黄色みが強くなってしまったが、AWBよりは実際の色に近い
AWBで撮影。これだけ見れば問題ない色だが、実際の緑はもう少し黄色っぽい
XpoBalanceの白い部分でホワイトバランスをマニュアルセット。本当の色に近くなった
RGB個別のヒストグラムを表示できる機種であれば、白/グレー/黒の面全体を写し込むことで、ハイライト、中間調、シャドーそれぞれのカラーバランスが整っているかを確認できる。また、各ヒストグラムの山を見れば、適正露出も判断しやすい
Photoshopのレベル補正やトーンカーブには3点スポイトツールが備わっていて、白/グレー/黒の面を各スポイトツールでクリックすれば、ハイライトからシャドーまで適切なカラーバランスに調整できる
デジタルカメラのホワイトバランス調整用の被写体としては、銀一のシルクグレーカードやGretag Macbethのホワイトカードの定評が高いが、小さめのカメラバッグに入れていると、機材に押されてヨレヨレになってしまう。その点、このXpoBalanceやTriBalanceは、丸レフと同様、柔軟性のある素材で作られているので、パッと開くとシワのない状態になるのが気持ちいい。
常時携帯するならコンパクトなXpoBalanceが便利だが、裏面がレフ板になっているTriBalanceもなかなか魅力的だ。角の丸まった三角形をしているので、壁などに立てかけておいてもコロコロと転がっていく心配はないし、持ち手も付いているので右手でカメラを持ち、左手でTriBalanceを持ちながら撮影することもできる。それなりに手の力は必要だが、アシストが付かない撮影時には便利だ。
銀レフは晴天時にはちょっと光が強すぎるので、薄曇りや曇りのシーンに向いている。持ち手が付いているので、レフ板を持ちながら一人で撮影するのに便利だ。立てかけておいても転がらないのも良い。
TriBalanceをレフ板として使っているところ
丸レフと違って、立てかけても転がる心配がない
ちなみに、ボクはXpoBalanceを最初に買ったのだが、TriBalanceのほうがレフ板にも使えるから便利かも……、と思ってTriBalanceも追加購入してしまった。しかし、考えてみれば当たり前なのだが、TriBalanceをレフ板として使ってしまうと、レフを当てた状態でホワイトバランスをマニュアルセットすることができない。
ポートレート撮影にはレフとして、風景撮影にはホワイトバランス調整用の標準被写体として使い分けるなら便利なアイテムだが、ポートレート撮影でレフを当てて、その状態でホワイトバランスをマニュアルセットしようと考えているなら、“XpoBalance+普通の丸レフ”のほうが安上がりだ。
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URL
銀一
http://www.ginichi.com/
製品情報(XpoBalance、英文)
http://www.lastolite.com/xpobalance.php
製品情報(TriBalance、英文)
http://www.lastolite.com/tribalance.php
( 伊達 淳一 )
2006/07/20 00:52
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