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ベルボン「ハイ・カルマーニュ635」

~50周年記念の特殊素材カーボン三脚

価格:105,441円


 日本製カーボン三脚のパイオニアは、カーボン+マグネシウムの「カルマーニュ640」を製品化したベルボンだった。そのベルボンが創業50周年記念モデルとして、優れた振動吸収性を実現する超高剛性のハイモジュラスカーボンを使用した「ハイ・カルマーニュ635」と「同645」を1,000本限定で生産するという。従来のカーボン三脚とどう違うかチェックしてみた。なお「635」は三段、「645」は四段である。

 見た目は塗装の違いを除くと、従来から売られているネオカルマーニュの脚部に、新型雲台の「PHD-61Q」を組み合わせただけに見える。脚パイプをたたいてみると、従来のカーボン三脚より重い音というか固い感じがする。

 ハイ・カルマーニュ635の重量が2.48kg、ネオカルマーニュ630が2.23kgとカタログにあるが、ハイ・カルマーニュとネオカルマーニュでは装備されている雲台(3ウェイ雲台)の形式が違うので単純に重量を比較することはできない。

 ネオカルマーニュはクイックシューを装備していないPH-460B(620g)の雲台が装備されているが、ハイ・カルマーニュのPHD-61Q(820g)より200g軽いのだ。したがって脚のみの重量の差は50gとなる。この差がカーボンの密度が高まった差なのであろうか。

 固い素材感からは、やはり振動を吸収してくれそうな感じがする。メーカーによると、脚のタワミを従来比66%に低減してくれるという。機材を載せてのテストで数値的な実感は難しいが、触った感じのしっかり感ではコストの差を払っても選択する価値ありといったところだろう。次に各部の操作感など見てみよう。


標準装備の雲台PHD-61Q。ハンマートーンの独特の模様だ 縦位置にする際は、このようにするとカメラの前倒れが防げる。 脚を伸ばしたところ。十分な高さがある

 付属の雲台PHD-61Qは、高級感のある限定塗装のハンマートーン仕上げ。クイックシュー一体型を採用していて、カメラの着脱がすばやくできる。また、横方向に付いているパンハンドルは、左右どちら側からでも差すことができるようになっている。縦位置にするときは、パンハンドルを左側から取り付けて、カメラのシャッターボタンが下側に来るようにセットすればレンズの重みでカメラネジが緩み、前側に倒れる心配がないのだ。

 脚をすべて伸ばした状態では、多くの人のアイレベルを確保できる高さになる。高さが足りなくなることが多い土手の斜面でも、エレベーターを少し上げると十分な高さを得ることができた。


脚パイプはレール入りで空転しないようになっている センターコラムにバッグを吊り下げたところ。安定感が増す 付属のレグポシェット

センターコラムを外すとローポジション撮影ができる
 脚のパイプは一見単なる丸パイプに見えるが、パイプ内部にレールがあって、中段のパイプは空転しないようになっている(下段は空転する)。そのため、上下段同時に緩めての伸縮操作が可能だ。

 「カーボン三脚は軽いから安定しない」と思っている方もいるが、ハイ・カルマーニュには、エレベーター下端につけるフックが同梱されている。これを利用してカメラバックを吊り下げると、重心が下がりぐっと安定する。また、イマドキの三脚らしくローポジションには当たり前のように対応している。かなり低い位置から撮影できるが、花の接写に使うなら脚の広がる幅がより小さい4段タイプのほうがベターだろう。

 この三脚には、移動に便利な「レグポシェット」というものが付属する。ストラップとケースの中間といった感じのアクセサリーで、脚の先端が泥などで汚れていても気にすることなく持ち運べるのだという。


 最近、カメラ誌の記事で「カーボン三脚はアルミ三脚に比べ、パイプの表面がざらざらしていて、伸縮がスムーズでない」という記述を見かけた。アルミ三脚に比べ、カーボンが進化していないように見えるかも知れないが、決してそうではない。

 カーボン三脚の表面仕上げはメーカーによる差がある。そのため、比較的スムーズな脚伸縮のものとそうでないものがある。ハイ・カルマーニュはどちらかというと、パイプの表面がざらざらし、スムーズでない脚パイプだ。しかし、三脚の伸縮固定はパイプと中の部品の摩擦力によるのなので、しっかり固定できるというメリットがある。

 カーボン三脚が販売されだしてから10年ちょっとが経過し、カーボン三脚というものがプロ用三脚の中の重要なジャンルを占めるようになっている。ベルボンの三脚は、金属パーツにマグネシウムを取り入れ、左右対称型の3ウェイ雲台を標準装備して、もう発展の余地がないと思われているくらいの進化を遂げてきた。そんな中でさらなるカーボン材質の研究を続け、限定品ながら製品化したベルボンに敬意を表したい。



URL
  ベルボン
  http://www.velbon.com/jp/index.html


( 木村 英夫 )
2006/04/11 00:05
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