デジカメ Watch
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モノ・レイク(後編)
[2008/07/30]

モノ・レイク(前編)
[2008/07/09]

雪が降った5月のセコイア
[2008/06/25]

5月、霧のキングス・キャニオン
[2008/06/11]

サンタ・クルーズ島へ日帰りの旅
[2008/05/21]

春のデスバレー(後半)
[2008/05/07]

春のデスバレー(前半)
[2008/04/23]

パソ・ロブレスの冬
[2008/04/09]

モハヴェ砂漠の冬(後半)
[2008/03/26]

モハヴェ砂漠の冬(前半)
[2008/03/12]

砂漠のルート66
[2008/02/27]

サークル・Xランチ、サンタモニカ・マウンテンズ
[2008/02/14]

冬のカーピンテリア
[2008/01/30]

12月のニューヨーク(後半)
[2008/01/16]


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Pole Dance


撮影準備中
 最近、Pole Danceという運動を知った。Poleを使ってより美しくセクシーになろうとする運動。普通は女性専用で、かなり激しい動きもある。そんなPole Danceスタジオから撮影の依頼があった。

 このPole Danceスタジオはロスにある。しかしなぜかシアトルに住んでいて、このスタジオの広報を任されている人から連絡があった。アメリカでは、ビジネスを起こす時は広報会社を使うのが普通である。小さなビジネスも広報会社を使う。そして契約書を交わす。このダンススタジオも例外でなく、同じロスに住みながらスタジオオーナーとの連絡は全てシアトルの広報の人とメールと電話ですることになったのだ。

 この広報の女性は、電話で話した感じはいいのだが、メールも電話の応対も非常に遅く、撮影日も撮影内容も連絡するたびに変わったのだ。何度か連絡を取り合い、撮影日の5日前にシアトルからロスに来るので、着いたら連絡するとの事だったが、連絡が来たのは撮影日の前日だった。

 アメリカ社会は、個人主義だからマイペースな人が多く、日本人の常識では考えられないことがよく起こる。撮影現場では当然だが、写真を撮る以前に問題が沢山出てくる。僕は24年もアメリカに住んでいるから大抵のことでは驚かないが、仕事で問題があるといつも考えることがある。6年以上、撮影助手、スタジオマネジャーとして働いた僕のボス、コロラド生まれでカウボーイハットとブーツが似合う、身体も大きいがハートも大きく優しい西部の男ポールだったらどうするかと。

 「仕事の心配で自分の時間を奪われるのには人生は短すぎる」と、彼はいつも言っていた。そして、あえてこちらから連絡せずに撮影前日まで2日間のバケーション先のプールでのんびりしていた僕を、ポールなら褒めてくれそうだ。「これで君もやっと僕のクラスを卒業できるよ」と。彼はビッグな撮影があっても、金曜日などは撮影を僕に任せて、週末に備えて午後3時過ぎにはニューヨークのマンハッタンから車で家路についていたものだ。「好きなことを仕事にするのはラッキーだけど、週末にまで仕事を持ち込むのは不幸なことだ」ともよく言っていた。

 撮影日の1カ月前に、僕はダンススタジオに顔合わせ行った。アメリカでは待ち合わせ時間よりあまり早く行く習慣はないが、遅れるのが嫌いな僕はいつものように約束の時間より早めに着いた。個人レッスン中のオーナーでインストラクターのケリーさんを待っていると、スタジオからお香のようないい匂いが漂って来た。女性は匂いに敏感だから汗臭いスタジオは受けないのだろうと思った。


Pole Danceスタジオ。本当はもっと薄暗い ポールを磨くケリーさん

 レッスンが終わり、颯爽と現れたスタジオオーナーのケリーさんは、エネルギーの固まりのような白人女性。初対面なのにいきなりハグをして来た。ものすごくフレンドリーでサービス精神旺盛。人を惹きつけるカリスマがある女性だ。

 スタジオは思ったより狭く、2本のポールがあり、移動はできないとのこと。彼女は、履いていたタイツを脱ぎ捨てて、鍛えている体でPoleを使った運動を見せてくれた。とても子ども2人のお母さんとは思えない動きだ。彼女はヨガも教えていて、体を動かす事とスピリチュアルな事が大好きだそうだ。住んでいる家も車で15分のところで気が合いそうだけど、初対面から彼女のパワーに圧倒されることになった。

 写真は、スタジオオーナーでメインインストラクターのケリーさんの全身の写真が欲しいとのことになった。ポールも入れて、顔もきれいに見える彼女の等身大の写真を、スタジオに飾りたいとのことだった。大きくプリントするので、大型のフィルムカメラで撮影することになった。

 基本的には数カットだけの撮影で、広報担当女性の意見を尊重して撮影は無事終了。せっかくだから遊び感覚でイメージカットも撮ろうと提案して、30分延長してデジカメで撮影してみた。三脚と広報から解放され、手持ちで撮る自由が楽しい30分だった。ライティングはストロボライトにソフトバンクを付けたものひとつにレフのみ。


※使用したカメラはキヤノン EOS 20D、レンズはシグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macroです。※すべてマニュアル露出/ISO100/WB:ストロボ/ストロボ非発光/RAWで撮影し、JPEGに変換しました。
※画像下のデータは絞り/シャッター速度/実焦点距離です。


F11 / 1/200秒 / 56mm
F10 / 1/200秒 / 26mm
F13 / 1/200秒 / 70mm

F13 / 1/200秒 / 70mm
F13 / 1/200秒 / 70mm

F10 / 1/200秒 / 52mm
F13 / 1/200秒 / 70mm

F11 / 1/200秒 / 70mm
F11 / 1/200秒 / 70mm

F9 / 1/200秒 / 56mm
F10 / 1/200秒 / 64mm


URL
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy_backnumber/



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。 http://oshimoto.net

2006/11/22 02:50
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