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モノ・レイク(前編)
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雪が降った5月のセコイア
[2008/06/25]

5月、霧のキングス・キャニオン
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5月、霧のキングス・キャニオン


F16 / 1/125秒 / ISO100 / 18-50mm F2.8 EX DC Macro HSM / 20mm
湖畔の駐車場は水の中だった

※すべてシグマSD14でRAW撮影してからJPEGに現像し、幅1,320ピクセルに縮小しています。
※写真下のデータは絞り/シャッター速度/感度/レンズ/実焦点距離です。


 カリフォルニア州の北東から南にシェラネバダ山脈が、650km連なっている。そのシェラネバダ山脈の真ん中辺りに位置するヨセミテ国立公園はあまりにも有名で、訪れる人も多い。しかし、その南に位置するセコイア・キングス・キャニオン国立公園もヨセミテに劣らず豪快な地形が展開している。412mの丘から4,418mの山マウント・ウイットニー(アメリカ本土最高峰)まで、公園内の標高差は激しい。

 樹齢3,000年以上の世界最大の巨木、ジャイアント・セコイアが生息している深い森。その森には、多くの命が生きている。そして、キングス・キャニオンに代表される険しく深い渓谷。そこを激しく流れる川と滝。それらの地形は、自然の大きさと激しさを教えてくれる。北側をキングス・キャニオン国立公園、南側をセコイア国立公園と基本的には呼んでいるが、車で入れる区間はほんの一部である。

 私は5月のメモリアルデイ・ウイークエンドをこの深い森で過ごすことにした。数日前まで暑かった南カリフォルニアの気温は下がり、空は曇がかかっていた。天気予報によると、山麓は雷を伴う雨だった。ロサンゼルスから国道5号線を北上し、99号線に乗り換えベイカーズ・フィールドを通り越し198号を北東に行く。少し上り坂になる頃、カウエア湖が左手に見えてくる。車を止めて湖を見てみると、湖畔の駐車場は半分ぐらい水の中だった。

 そこから少し走り、スリー・リバーという小さなタウンを通り過ぎ、セコイア国立公園に入る。北のキングス・キャニオン側から入ることもできたが、最も一般的な南の出入り口、アッシュ・マウンテン・エントランスから公園内に入り、約1.6km走るとフットヒルズ・ビジターセンターに到着する。ほとんどの人がここで止まり休憩をし、情報を得るようだ。

 ビジターセンターからの道路の上りは急にきつくなる。標高1,000mを越す頃から雨が降り出した。雨と霧に包まれ、高く大きな木々の森の中、標高2,000mの道路をゆっくり走り、キングス・キャニオン・ビジターセンターのあるグランド・グローブ・ビレッジ内のロッジに夕方到着する。森の空は厚い雲で覆われ雨も強く、その日は何もしないと決めた。夜8時半からパーク・レンジャーによる熊の説明がロッジのロビーであり、それに参加した後、早く寝てしまった。


F9 / 1/125秒 / ISO100 / 18-50mm F2.8 EX DC Macro HSM / 29mm
雨雲が下りてきた
F8 / 1/60秒 / ISO100 / 10mm F2.8 EX DC Fisheye HSM / 10mm
霧に包まれ、小雨の森

F4 / 1/20秒 / ISO100 / 10mm F2.8 EX DC FISHEYE HSM / 10mm
木の中に入り雨から逃れる

 翌朝、キングス・キャニオンに繋がる180号(キングス・キャニオン・シーニック・バイウェイ)を走る。早朝、道路を走り出すとすぐに深い霧に包まれ、視界もほとんどない状態がしばらく続く。

 渓谷が見え出すあたりから、山の上の方は見えないが、深い霧は切れた。身近に迫る深く鋭い渓谷を見ながら道路はどんどん下って、キングス川の南の源流まで近づくと、「国立公園内では川で溺れる人が多く、くれぐれも気をつけて下さい」とのサインを川沿いに見る。川の水は多く、その流れは速い。私はその流れの激しさに圧倒された。


F8 / 1/125秒 / ISO100 / 18-50mm F2.8 EX DC Macro HSM / 21mm
霧の中のユッカ
F8 / 1/100秒 / ISO100 / 18-50mm F2.8 EX DC Macro HSM / 50mm
渓谷の岩壁

F8 / 1/60秒 / ISO100 / 10-20mm F4-5.6EX DC HSM / 13mm
渓谷は深い

F11/ 1/125秒 / ISO100 / 18-50mm F2.8 EX DC Macro HSM / 38mm
山の斜面は岩で険しい
F22 / 1/30秒 / ISO100 / APO 50-150mm F2.8 EX DC HSM / 95mm / 三脚使用
流れの激しい川

  標高2,008mのロッジ付近から934mまで下り、ボイデン・ケイブ(洞穴)に立ち寄った。ガイドに誘導された約45分の洞穴探検だ。朝10時、今日1番目のグループには、私を入れて7名が参加した。外は小雨で寒かったが、自然が造った洞窟内の彫刻に遊び心を感じ、洞穴内は暖かく楽しい探検だった。

 キングス・キャニオンをさらに東に入り、グリズリーの滝を見る。雪どけ水が、切れ目なくものすごい勢いで落ちている。その滝の音もまた切れ目なくゴーと鳴り響いている。滝からの水しぶきと小雨が混じり、全身がびしょ濡れになり、手の指も寒さで動かなくなる。それでも、滝からの特別なパワーを感じ、しばらくそこから動きたくなくなる。


F5.6 / 1/30秒 / ISO100 / 18-50mm F2.8 EX DC Macro HSM / 18mm / 内蔵ストロボ使用
洞穴を発見した当時は、懐中電灯もなくロウソクの火が消え、マッチが湿気で付かず、真っ暗の中を手探りで引き返したそうだ

F8/ 1/160秒 / ISO100 / 18-50mm F2.8 EX DC Macro HSM / 40mm
グリズリーの滝。グリズリーは生息していない
F6.3 / 1/800秒 / ISO100 / APO 50-150mm F2.8 EX DC HSM / 67mm
滝からの水しぶきは想像以上だった

 渓谷をもう少し奥に行き、ザムワルト・メドウと呼ばれる草原を散歩し、来た道を引き返すことにする。道を引き返すとすぐにローリング・リバーから流れ落ちる滝を見る。急な流れの川を下った結果、自然と待ち構えているかのように存在する滝。その流れ落ちる水量は検討もつかない。滝つぼには比較的近くまで寄れ、冷たい水にも触れてみた。

 ロッジへの帰り道、キングス・キャニオン・シーニック・バイウェイからヒューム湖に繋がる道に入る。雨も小降りになったので、湖の回りをしばし散歩する。

 ロッジに戻る頃、朝から降っていた雨は雪になった。5月の第4週目の週末、季節外れの雪の森で、もう1夜を過ごすことになった。


F9/ 1/125秒 / ISO100 / 18-50mm F2.8 EX DC Macro HSM / 18mm
険しい岩壁から緑の湿地帯を見るとほっとする

F8 / 1/250秒 / ISO100 / 10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 10mm
滝の近くまで近寄れる
F8/ 1/500秒 / ISO100 / 18-50mm F2.8 EX DC Macro HSM / 18mm
落差はないが、流れ落ちる水量に圧倒される

F5.6 / 1/500秒 / ISO100 / APO 50-150mm F2.8 EX DC HSM / 150mm
小雨と霧の静かな湖
F4/ 1/40秒 / ISO100 / 18-50mm F2.8 EX DC Macro HSM / 50mm
キングス・キャニオン・ビジターセンターに季節外れの雪が降る


URL
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy_backnumber/



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。

2008/06/11 01:49
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