デジカメ Watch
連載バックナンバー
モノ・レイク(後編)
[2008/07/30]

モノ・レイク(前編)
[2008/07/09]

雪が降った5月のセコイア
[2008/06/25]

5月、霧のキングス・キャニオン
[2008/06/11]

サンタ・クルーズ島へ日帰りの旅
[2008/05/21]

春のデスバレー(後半)
[2008/05/07]

春のデスバレー(前半)
[2008/04/23]

パソ・ロブレスの冬
[2008/04/09]

モハヴェ砂漠の冬(後半)
[2008/03/26]

モハヴェ砂漠の冬(前半)
[2008/03/12]

砂漠のルート66
[2008/02/27]

サークル・Xランチ、サンタモニカ・マウンテンズ
[2008/02/14]

冬のカーピンテリア
[2008/01/30]

12月のニューヨーク(後半)
[2008/01/16]


2007年

2006年

2005年

新人ファションモデルを撮る(後編)


写真1
F4 / 1/400秒 / 52mm
 前編( http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy/2006/09/06/4549.html )でも書いたが、知人のモデルクラブオーナーから今後積極的に売り出したいモデルの撮影を頼まれた。前編から比べて、モデルのメイクを濃く、ヘアは結んで、がらりと雰囲気を変えてみた。この服の基調色のブルーとブラウンをメイクに反映させた。ヘアもブラウンで、色に統一感が出たと思う。

 このカット、最初は、ストリートに出て撮ろうと思っていた。メイク中、僕はいい撮影スポットをさがし、周りの道をうろうろ歩き回っていた。メイクが終わる頃、スタジオに戻ると太陽が傾き始めて、窓から強い光が部屋に差し込んできたのがとてもきれいだった。僕は予定を変更して、モデルを床に座らせてすぐに撮影を始めた(写真1~4)。

 窓からスタジオに差し込んでくる光の広さは限られていて、モデルはせまいスポットでしか撮れないし、光も強いからカメラアングルのチョイスはなく、一定方向から撮る。太陽はどんどん沈んでいく。ポーズを変えながらすばやく撮った。西日がブラウン系のヘアーに反射してとてもいい感じ。顔の前に影模様をつくったアップも撮ってみた(写真5)。こんなきれいなライトなら、何を撮ってもいい写真が撮れそうだ。出来れば全部自然光で撮りたくなる。いつか自然光が沢山入るデーライトスタジオを持ちたいものだ。

※使用したカメラはキャノン EOS 20D、レンズはシグマ 24-70mm F2.8 EX DG MACRO。すべてオートホワイトバランス、ISO100、RAWで撮影しています。


西日が差し込んだ窓 写真2
F2.8 / 1/800秒 / 70mm
写真3
F2.8 / 1/800秒 / 42mm

写真4
F2.8 / 1/800秒 / 56mm
写真5
F4 / 1/400秒 / 56mm
影をつくって遊んでみた。太陽光が窓から差し込んで、強いスポットライトになったからこそできること

バックになったレモンの木。日が高いときに撮影
 次は水着の撮影。アメリカには、ビール会社の広告やカーマガジンで必ず車と一緒に撮影される水着専門のピチピチしたモデルが多くいるが、彼女はファションモデル。できればハイファッションモデルで行きたいわけだから、そのへんを理解して撮らないと、違うと言われてしまう。正直、そのあたりが一番難しいところだから、水着撮影を避ける手もあったが、体の線を見せるため、どうしても水着は必要とのことだった。ファションらしい水着撮影の定義は僕もよく判らないけど、しっかりライトだけはつくって撮ることにした。

 太陽は傾き、庭には太陽光が直接当っていない。速いシャッターとストロボ光の組み合わせなら、夜に撮った感じになる。ライトはストロボ光のみで、自然光の影響がモデルにない状況。まず、庭のレモンの木の前で撮る。レモンをもいで、地面に置く。カリフォルニアでは夜でもプールに入るから、夜、水着でいるパーティー気分のモデルを演出してみた。ライトは左後方よりモデルとレモンの木に当てる。モデルへのメインライトは、右正面から、ライトボックスをひとつ(写真6、7)。


写真6
F11 / 1/160秒 / 70mm
写真7
F11 / 1/160秒 / 64mm

バックになった白い木の壁と建物。日が高いときに撮影
 次は、スタジオの白い木の壁をバックに移動。僕は何か加えてドラマをつくりたかったので、ボールを持たせたり(写真8)、モデルに水をかけてみた(写真9)。笑顔は避け、表情はクールに撮った。一応、体の線も見えて、問題のないモデルに見える。ライトは、左前方からひとつ、右の壁にひとつ当てて反射させている。白い壁のおかげで、ライトがきれいに回った。

 午後一に集合して、時間を気にせずゆっくりと話しながらの1日は、最後の水着に水をかけたカットで無事に終わり、時計を見ると夜の8時を過ぎていた。


写真8
F11 / 1/160秒 / 70mm
写真9
F11 / 1/160秒 / 64mm


URL
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy_backnumber/



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。 http://oshimoto.net

2006/09/20 01:19
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.