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女性ランナーを撮影


SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL HSM (12mm) / 1/200 / F14
 LAの飛行場から海岸線を南に45分ほど下ると、太平洋が一望できる絶景ポイントで、高級住宅地としても有名なパロスバーデスと呼ばれる小高い土地がある。飛行場から1時間以内とは信じられないくらい美しいところで、近年、不動産王ドナルド・トランプが所有するゴルフ場も海沿いにオープンしたし、まるで高級リゾートのよう。僕の家からも30分で行けるから、きれいな海岸をバックにした撮影によく使わせてもらう。そんなパロスバーデスで、海をバックに女性ランナーを撮影した。

 モデルになった女性ランナーは、写真を見ての通りのグットシェイプ。手足が長く、無駄な肉がまるでない。腹筋の筋肉がしっかり見える、本物のランナーだと感じる黒人女性。実際、彼女は競技にも出ているランナーで、アスリートモデルとしても忙しい。こんな体の持ち主だから、体が軽いし動きも速く、スタミナも充分だし、撮影馴れしているからカメラマンの指示もすぐに理解してくれ、僕は草花によるアレルギーにも負けず、とってもハッピーなカメラマンだった。


ストロボにイエローのカバーをした
 僕はこの日、晴れでも曇りでもモデルにストロボを軽くあてることにしていた。完全な晴れだと影がきつく、黒人の顔がつぶれてしまうし、曇りだと黒人女性の肌が沈んでしまい、存在感が出ないと思ったからだ。ストロボ光があたった黒人モデルの肌をゴールデンイエローにしたかったので、ストロボにはイエローのカバーをした。ストロボ光を直接黒人の肌に当てると白っぽい反射が出やすく、そのストロボ光の反射はとても人工的に感じるので、好きではない。レフもいいけど、海風の中でホールドするのが大変だし、爽快に走る顔も撮りたく、それにはレフの反射が邪魔になりそうで、今回は使わなかった。

 カメラは、EOS 20D。感度はISO200にして、絞りを1段稼いだ。ホワイトバランスはオート。

 撮影は、まずシャッターを切るスポットを決めて、そこにピントを合わせておいて、モデルにそこを走り抜けてもらう方法で撮影した。ゆっくり走った方が撮影は楽だが、走っている実感が出ないので、かなり速く走り抜けてもらった。1/200秒でシャッターを切っているが、写真で見える通り結構ブレた。が、動きを感じる調度よいブレ加減だと思う。撮影スポットを走りぬける時に、少しだけジャンプしてもらったのも、躍動感が出てよかった。


撮影スポットを決めるために立ってもらう
SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO(45mm) / 1/200 / F11
ストロボが発光しなかったので、パンチがない
SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO(24mm) / 1/200 / F14

正面からは、いいアクションを撮るのは難しい。左手前に、草を入れてみた
SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO(24mm) / 1/200 / F14
SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO(42mm) / 1/200 / F14

SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO(36mm) / 1/200 / F14

 しかし、モデルが決めておいたスポットを通り過ぎる時に、思い通りのアクションにならないことも多かった。腕のアクションを大きくし過ぎると、走る足の存在感がなくなり、ダンスをしているようになったり、片方の腕が体に完全に隠れてしまったりした。また、正面からは片方の足の膝下が、勢いよく後ろに蹴られていてまったく見えなかったりと、撮ってみると意外に変なカットもあった。

 撮影開始時間の空は、昨日までの雨の影響で曇り、少し寂しい空と太平洋だった。しかし、撮影後半は雲が切れ、太陽が出てきて、途端に海の色が鮮明になった。太陽の力は偉大だと、いつもながら思う。


SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL /HSM (12mm) / 1/200 / F14 SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL /HSM (12mm) / 1/200 / F14

SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO(48mm) / 1/200 / F14 SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO(24mm) / 1/200 / F14

SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO(24mm) / 1/200 / F14



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。 http://oshimoto.net

2006/05/31 08:55
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