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冬の夜に星を撮る。Jackery ポータブル電源 300Dで撮影がもっと自由になる

思い起こせば天文趣味を始めて50年が経ちました。筆者の主な写真作品は星空と風景を合わせた星景写真です。今も昔も星空を撮影するのに電気は切っても切れない関係なのですよ。

天体望遠鏡を動かすのも電気、夜露を避けるためにレンズを温めるのも電気。かつては12Vのカーバッテリーを使っていて、それはもう運ぶのが大変でした。いまは省電力な製品が揃っていてモバイルバッテリーでも運用できるようになってきました。

だけれども、課題があります。

一晩中撮影しようとか、バッテリー性能が落ちてしまう冬の夜に撮影しようと思うと、一般的なモバイルバッテリーだと役不足。複数のバッテリーを持ち歩き、撮影の合間に充電を繰り返す……そんな煩わしさから解放されたいと常々思っていました。

最近買いやすくなってきたポータブル電源なら大容量で安心ですが、どれも大きくて撮影機材と一緒に移動するにはちょっと難あり。大容量だけど小さく軽いバッテリーはないものかと思案していました。

そんな時、Jackeryからポータブル電源 300Dが新発売となりました。

  • 定格容量:15Ah/19.2V DC(288Wh)
  • 外形寸法:約118.6×120.2×183mm
  • 重量:約2.5kg

一般的な1万mAhモバイルバッテリー約9台分に相当する288Whの大容量。それでいて底面は約12cm四方、高さは500mlペットボトルと同等のコンパクトさ。重さはわずか2.5kgと片手で楽に持ち運べます。撮影機材の隙間にもすっと収まり、必要な時に迷わず取り出せる。

星景撮影はもちろん、長時間露光が必要な風景撮影、野鳥撮影での待機時間など、あらゆる撮影シーンで電源の心配から解放してくれる。これこそ、撮影に理想的なポータブル電源だと感じ、早速使わせていただきました。

大容量288Whなのに軽量コンパクト、これが理想のポータブル電源

撮影ポイント近くの駐車場に日暮前に到着。よく知っている場所でも明るいうちに現地を見ておくことが大事

本機は名前から想像できる通り300Wクラス(実容量288Wh)の大容量。それでいて重さは2.5kgと軽量、筐体も小さいのが特徴です。

撮影機材と一緒に持ち運ぶには、1つ1つを小さく軽くすることが重要。大容量でありながらコンパクトな本機は、まさに星景撮影に理想的なサイズ感なんです。

移動中は肩掛けが安心だ。ショルダーベルトは長いものが付属しているので襷掛けができる

本機に使われているのはリン酸鉄リチウムイオン電池という安全性の高い電池です。過酷な環境にあっても異常な発熱や発火をしにくいことがメリット。頻繁に持ち歩いたり、車に積んで移動する際も安心です。

さらに注目すべきは、その耐久性。充放電サイクル4,000回という長寿命設計により、毎週撮影に出かけても約10年間使い続けられる計算です。1度購入すれば長く付き合えるパートナーとなってくれます。

撮影ポイントまではカートで機材を運び、ロケハンしながら最適な場所を探します

充実のポート構成で同時給電も余裕

星景撮影では、カメラのバッテリー充電(18W)、レンズヒーター(2W)、天体望遠鏡(2W)、タブレット(65W)など、複数の機器を同時に使うことが多いもの。本機なら、これらすべてに同時給電できる充実したポート構成を備えています。

※W数はいずれも最大値

具体的なポート構成は以下の通りです。

  • USB Type-Cポート×3(140W×2、65W×1)
  • USB-Aポート×1(15W)
  • 12Vシガーソケット×1

合計300Wまで出力可能。天体望遠鏡、カメラ充電、ヒーター、タブレットなど、複数機器への同時給電も問題ありません。

面白いのは本体のハンドルが充電ケーブルになっていること。コネクター部分を捻るとUSB Type-Cのコネクターが現れます。別途ケーブルを用意しなくていいし、失くす心配もない優れたアイデアです。

実際の撮影現場で真価を発揮

スペックだけではわからない、実際の使い勝手。ここからは筆者の星景撮影での実例を通じて、本機がどれだけ頼りになるかをお見せしましょう。

この時、以下の機器すべてに同時給電していました。

  • カメラバッテリーの充電
  • ヒーター用バッテリーの充電
  • 天体望遠鏡への電源供給
  • iPad(望遠鏡操作用)への電源供給

ケーブルがたくさん刺さっている状態ですが、この時の総消費電力は30W。野外で使う電気としては結構な量です。よくあるモバイルバッテリーではすぐ無くなってしまいますよね。

本機なら総容量288Whですから、一晩余裕で観測&撮影できます。

撮影がひとしきり終わったら、一旦車に戻って撮影画像をチェック。この時も、機材はある程度残しておいて、本機とカメラ、メモリーカードだけを持って戻ります。

2.5kgという軽さだから、気軽にバッテリーを持って移動できる。車内でパソコンを使っても充電残量を気にせず作業できます。

MacBook Proで画像を確認している時の消費電力は47W。本体のディスプレイに消費電力がリアルタイム表示されるのも便利なポイントです。

3つの充電方法で、あらゆるシーンに対応

本機の魅力は、使うだけでなく「充電のしやすさ」にもあります。自宅、撮影旅行、車中泊。それぞれのシーンに合わせた3つの充電方法をご紹介しましょう。

USB Type-C(最大140W)で家庭充電

家庭での充電にはJackery 102W GaN 3ポート充電アダプター(別売・直販価格7,990円)が最適です。本機はUSB Type-Cで最大140Wまで充電可能ですが、このアダプターは最大100Wの出力。実際に繋いでみると94W~96Wで充電できました。

まだ余裕がありますが、実は充電池は大きな電力で充電すると寿命が減る傾向にあります。特に急ぎでなければ、余裕のある状態で充電するのがおすすめです。

また、バッテリーを長持ちさせるコツとして、充電は80%程度まで、放電(使用)は20%を切らないようにすると良いと言われています。

ソーラー充電(最大100W)で撮影旅行も安心

ご近所での撮影なら家に戻って充電すればいいのですが、撮影旅行に出かけるとそうは行きません。特にキャンプ場などを拠点にする場合は、ソーラー充電が1番です。

ソーラーパネル40Airとのセット「Jackery Solar Generator 300D ポータブル電源セット」は価格が抑えられていて購入しやすいセット。定格出力40Wと発電量は少なめですが、その分小さく軽いので持ち運びや設置がしやすく、300Dとの相性は抜群です。

そして驚きなのは定格通り40Wで充電できること!撮影したのは11月後半ですから真夏の日差しではありません。その状態で定格通りというのは本当に驚きです。一般的にソーラーパネルは定格の8割も出ないものがほとんどですから。

ソーラーパネル40Airには実用的な工夫が施されています。パネル隅の「ソーラーファインダー」は太陽を正面に捉えるための仕掛け。表面の黒い点の影が奥に描かれた同心円の中心に落ちれば、パネルが太陽に正対し最大の発電量が得られます。簡単な仕掛けですが実用的です。

本機は「グリーンエネルギー優先モード」を搭載。ソーラーパネルとUSB-C充電ケーブルを使って同時に充電できます。同時充電の際は自動的にソーラーが優先されるため、日中は太陽光を最大限活用しながら、不足分をUSB-Cで補うという賢い充電が可能です。

専用ケーブルの途中にはUSB Type AとType Cのポートも装備。USB機器が直接充電できるのも、ありがたい配慮です。

ソーラーパネル40Airは軽いのでザックに吊り下げて、歩きながら充電することも可能です。

画像提供:株式会社Jackery Japan

車のシガーソケット(最大96W)で移動中も充電

3つ目の充電方法は車のシガーソケットから。別途Jackery 車載シガーソケット充電ケーブル(直販価格:4,599円)が必要です。また12V車専用で、24V車には非対応なのでご注意を。

12Vで充電すると大きな電流が必要になりますが、太いケーブルが採用されていて発熱も少なく安全。実際に試したところ、74W~76Wで充電できました。この時流れている電流は6A強。一般的な車のシガーソケットは10AまでOKなものがほとんどなので、十分に余裕があります。ただし車種によって異なる場合もあるので、必ずご自身の車のユーザーマニュアルで確認してください。

この方法は車中泊で毎日移動するような撮影旅行に向いています。

充電方法によって購入するアクセサリーを決めよう

本機を単体購入した場合、充電器やシガーソケット充電ケーブルは付属していません。USB Type-Cの充電器をお持ちなら、キャリングハンドルに内蔵されたケーブルで充電できます。自分の撮影スタイルや環境に合った充電方法を考えるのも、お買い物の楽しみですね。

ポータブル電源があれば、撮影の楽しみ方が広がる

電源の心配がなくなると、撮影の楽しみ方も変わってきます。ここからは、本機とともに楽しむ星景撮影の実践例をご紹介しましょう。

筆者の活動場所は九十九里。海辺で星景写真を撮ることが日常です。普段は赤道儀(星の動きを電動で追いかける雲台)を使うのですが、今回はこの記事を読んで星の写真を撮ってみたいと思ってくださった方にも真似しやすい、超長時間露光をしてみます。

超長時間露光とは大きく出たようですが、なんのことはありません。三脚にカメラを乗せ、シャッターはバルブにして1時間ほど放置するだけです。

知っている星座に向けてバルブにし、ケーブルレリーズをロックしてシャッターを開けっぱなしに。30分から1時間放置です。アラームをセットしておきましょうね。時間はおおよそで大丈夫。時間が来たらシャッターを閉じるだけ。簡単でしょ。

すると星の光跡写真が撮れるのです。できればRAWデータで撮っておきましょう。あとで明るさを調整することができますから。

星景撮影では露光時間が長くなるため、カメラのバッテリー消費は激しくなります。また、筆者のスタイルでは夜露対策のため、ヒーター付きのフィルターを使っています。こちらにもバッテリーが必要です。

出来上がった作品はこちら。地球が自転しているからこそ撮れる写真です。不思議な雰囲気で良いでしょ。挑戦したくなりません?

待ち時間を楽しむ天体観測

超長時間露光もタイムラプスも、露光を開始したら1時間は暇になります。そこで、天体望遠鏡を持って行って天体観測をしながら待つんです。

待ち時間の間にカメラバッテリーの充電、ヒーター用のバッテリーの充電をしておく

筆者には写真に関してちょっとしたこだわりがあります。それは被写体をよく観察すること、被写体を知ることです。星景撮影も同様で、肉眼で星を見ることが大切。撮影だけに注力しちゃうと画像の星ばかり見て、肉眼で星を見ていないこともしばしば。

写真は自己表現ですから、自分がそこにいて何を感じたのか、何を表現したいと思ったのかを考えなければいけません。星に囲まれた夜空を楽しむことも大事なことだと思うんですよ。そのための重要な道具が天体望遠鏡というわけです。

天体望遠鏡はいきなりハードルが高いですね。双眼鏡ならお持ちではないですか? 双眼鏡でも夜空を満喫できますよ。

この天体観測する待ち時間の間に、次の撮影のためにバッテリーを充電しておきます。天体望遠鏡にも電源が必要ですからね。本機の出番というわけです。

カメラ上級の方はタイムラプス撮影に挑戦しても面白いですよ。筆者は光跡を撮る超長時間露光の傍ら、タイムラプス撮影をすることも多いです。なぜって? どちらも撮影に時間がかかるから。カメラ2台で同時にやってしまうんです。でもね、どっちも1シーン撮るとカメラのバッテリーは無くなっちゃうんです。

九十九里の星空、冬も夏も美しい

最後に撮影作品を2点ご覧ください。本機があれば、こうした作品を一晩かけてじっくり撮ることができます。

縦位置の写真は今回撮ったオリオン座。冬を代表する星座ですね。これからの時期、ぎょしゃ座、おうし座、おおいぬ座、ふたご座とともに1等星が多く煌びやかです。冬の夜空の華やかさは格別ですね。星の色合いの違いも楽しめます。

冬の夜空は1等星が多く煌びやか

もう1枚は夏の大三角(こと座・わし座・はくちょう座それぞれのα星を結ぶ)と天の川です。こちらは撮り溜めたものです。天の川を挟んでこと座のベガ、わし座のアルタイル。天の川の中に見えるはくちょう座のデネブ。この3つの星を結んだアステリズムが「夏の大三角」です。

夏の大三角と天の川

いかがです? 九十九里は夏も冬も星空を楽しめるんです。東京なら、都心から1時間強でこの星空に出会えます。1度見に来てみませんか?

星の写真も撮るなら、ポータブル電源も忘れずに。Jackery ポータブル電源 300Dなら、冬の星景撮影も天体観測も余裕でこなせます。そしてこの軽量大容量設計は、星景撮影に限らず、あらゆる撮影シーンで心強い味方になってくれるはずです。

公式サイトで25%OFFのセール実施中

Jackery公式サイトでは、今回紹介したポータブル電源 300D及びソーラーパネルとのセット製品の発売を記念して、期間限定25%OFFセールを実施中。セール期間は12月16日(火)0時00分まで。この機会にぜひチェックしてみてください。詳しくは製品ページをご確認ください。

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。ニコンカレッジで、星景写真講座を担当。星空に興味ある方は「こちら」へ