トピック

発売20年を迎えたエプソン「写真用紙クリスピア<高光沢>」

いまこそ作品をプリントしよう! GANREFゴールドランクの2人が語り合う

対談に参加いただいた2人のGANREFメンバー。左からゆうさん、坂倉有里さん

エプソンの「 写真用紙クリスピア<高光沢> 」(以下クリスピア)が、発売から今年で20周年を迎える。高い白色度や光沢感が写真愛好家に愛され、数々の作品がこの用紙でプリントされてきたのはご存じの通りだ。

写真用紙クリスピア<高光沢>パッケージ

途中でリニューアルはあれど、基本的な品質・特性に変化がないクリスピア。デジタルフォトの歴史と一緒に走り続けたクリスピアの魅力を探るべく、写真共有サイト「GANREF」のTOP OF GOLDランクで活躍する2人に使ってもらい、その印象を語り合ってもらった。

ゆうさんのポートフォリオページ
坂倉有里さんのポートフォリオページ

写真が好きなのは「最初の感動」のため

——まずはお2人が写真にはまったきっかけからお聞かせください。

坂倉 :最初はテーブルフォトでした。ごはんやお菓子を作るのが好きで、子供たちがまだ小さかった頃に母のデジタル一眼レフカメラを譲ってもらったのが写真にハマったきっかけです。ゆうさんはどうでしたか?

ゆう :僕は社会人になってから写真に興味を持ち始めました。ある日帰宅途中に見た夕日がとても綺麗で、ガラケーで撮ってみたのですが、見たものと全然違う。それでカメラを買おうと思い、友人に相談していきなりフルサイズデビューしてしまいました。

坂倉 :そうなんですね。私は、子供たちが少し大きくなってからは外に出て子供を撮影するようになり、そこから風景や花火の撮影にのめり込みました。

ゆう :写真だと、とりあえずシャッターを押せば何か写るじゃないですか。そこから「ここが気になるな」といった改善点を見つけて追求していくのが性に合っていて、どっぷりハマりました。

坂倉 :私も最初の感動は記憶に残っていますね。初めてロケーション撮影に行った紫陽花寺での感動でした。「こんなに綺麗に撮れるのか!」と。最近はもっと身近な場所で誰も撮っていないような写真を撮ることが好きです。

ゆう :普段はどんな被写体を?

坂倉 :主に撮っているのは娘たちですが、いまは様々なジャンルに挑戦するようになりました。

ゆう :僕は普段は花をよく撮っていますし、風景も撮ります。あと、ポートレートもスタジオや屋外でよく撮っていますね。いろいろなジャンルを撮ることで必要な技術も変わりますし、マンネリしづらくなるので、色々なものを撮るのは良いと思います。

プリントのハードルは高い?

坂倉 :ゆうさんは最初からプリントもやっていたのですか?

ゆう :初めからプリントもしてはいましたが、本格的に興味を持ったのはGANREFの企画でプリントについて学んでからですね。それまではクリスピアしか知らなかったのですが、様々な用紙があることを知り、一層面白くなりました。いまでは家中に額装してプリントを飾っています。

坂倉 :私の実家でも母が写真を額装して壁中に飾っているのを見て育ったので、プリントに対する意識はもともとあったんです。でも自分の作品として本格的にプリントし始めたのは最近で、ちょうど写真展に出す機会があり写真店で作ってもらいました。なのでプリントに関しては初心者なんです。

ゆう :自宅でのプリントはハードルが高かった?

坂倉 :はい、写真展に参加する経験はありましたが、自分で手間をかけなければいけない自宅プリントは正直面倒だと感じていたんです。ゆうさんはハードルを感じませんでしたか?

ゆう :いま使っているのはエプソンの複合機「 EW-M973A3T 」で、6色染料のエコタンク搭載モデルです。ランニングコストがすごく安いので気軽に印刷できるのが良い点でした。やはり、お気に入りの写真がいつでも見られるのは嬉しいですからね。

坂倉 :そうなんです。とてもきれいに出てくるので、今回プリントしてみて「やっぱり楽しい」という思いも大きいですね。

ゆう :今回、初めてクリスピアを使ってみてどうでしたか?

坂倉 :モニターで見た映像と全く一緒の見え方でプリントされたことにびっくりしました。「エプサイトプレミアム」の動画で学んだキャリブレーションのおかげもあると思いますが、写真店とほとんど変わらないクオリティのプリントが自分でもできるんだと驚きました。

ゆう :僕はクリスピアをメインとしてずっと使っています。花をよく撮るので、その透明感、抜け感、コントラスト、色彩、階調を表現するにはすごく良い用紙です。白色度も高くて、キラキラした光沢感が得られる。価格はそれなりにしますが、品質を考えれば値段に見合ったものだと思います。他社のアート紙ではもっと高価なものもありますから。

ゆう :純正用紙なので、プリンターの用紙設定で名前が出てくるので間違いがなく、プロファイルをダウンロードする手間がないのも純正用紙のメリットですね。

エコタンク搭載なのに写真画質を実現

——クリスピアと組み合わせるプリンターに EW-M873T を使っていただきました。こちらはいかがでしたか?

坂倉 :以前使っていたカートリッジ式プリンターは、インクの減りが早かったのですが、今回のエコタンク搭載モデルは全然減らないことに感動しました。しかも画質がいい! カートリッジ交換の手間もないし……

エコタンク搭載で写真画質を実現したA4プリンター「EW-M873T」

ゆう :やはりそこですよね。「エコタンク搭載で、かつ複合機なのにこんなに画質がいい」というのはちょっとギャップ萌えですね(笑)。エプソンの染料インク機ではフラッグシップモデルなので、画質が良いのは当然ですが、それでいてランニングコストがすごく安いので気軽に印刷できます。そして、個人的に気に入っているのはクリスピアで「最高画質」設定で印刷ができる点です。よりきめ細かいプリントができ、フォトコンテストへの応募もしやすくなりました。

坂倉 :画質は本当に美しいと感じます。A3機と比べても横幅がだいぶ小さくなるのもうれしい点です。

ゆう :広くない家でも気軽に置けるのでバランスが良いですね。

作品について

——それではクリスピアでプリントした作品を見せていただけますか?

ゆう :この写真は輝度が重要だと思うんですよね。明るいところは明るく、暗いところは暗くするべきだと。空の黒の沈み込み具合、そしてハイライトの出方は、やはりプリントしてみないと分からない部分ですよね。プリントしてみて「これでいいな」と確認してから本番のプリントをするのが大切だと思います。

ゆうさんの作品

ゆう :こちらの写真は「君の名は」に出てくる糸守湖のモデルになった場所です。コントラストと色彩と階調、全てが必要な写真なので、クリスピアでなければ表現できない1枚になっていると思います。

ゆうさんの作品

ゆう :坂倉さんが1番気に入っているのはどれですか?

坂倉 :これですね。気をつけたのは顔の色で、ポートレートなのでもう少しふわっとしても良いのかなと思いましたが、そうした繊細な部分もプリントすると気づくことができるんですね。

坂倉さんの作品

ゆう :まさにその通りで、ディスプレイやスマホでは気づけないことがありますよね。特にスマホは人によって明るさの調整が違うので、プリントアウトして初めて客観的に見られる作品になるという点はとても重要ですね。

坂倉 :もっといろいろなジャンルの写真をプリントしたいと思っていて、プリントしたときに色がどう出るかで、今後のレタッチもどうすればいいのかという部分は本当に勉強になりました。

坂倉 :初めてクリスピアでプリントしたのがこの鵜飼い写真で、本当にきれいでびっくりしました。美しさはもちろんですが、黒の表現など、イメージ通りの仕上がりになってくれたことで、モチベーションアップにも繋がりました。SNSでは受けにくい横構図や黒の表現ですが、インスタ映えだけを狙うのではなく、写真の奥深さや楽しさを改めて感じることができました。

ゆう :イメージ通りプリントできたということと、「映え」だけではない写真にトライできるのもプリントの魅力ですね。本当によい作品ですね。

——クリスピアでプリントするということで、今回はエプソン純正のソフト「 Epson Print Layout 」を使っていただきました。

ゆう :このソフトのいい点は、色管理を自動で行ってくれるので知識がなくても正しい色でプリントできることですね。一般的なソフトだと色管理の知識が必要になり、適当に進めると画質が落ちたりと問題が出てくるのですが。

坂倉 :私もこれまでのプリントでは、画像を一度JPEGに書き出したり、メモリーカードに移したりしてお店でプリントするという方法しか知らなかったので、Adobe Lightroomへの連携で直接プリントできるというのはすごいなと思いました。プリントのハードルがかなり下がったと感じています。余白の調整が視覚的に分かりやすいのも助かりました。

動画でプリントを学ぶ? 「エプサイトプレミアム」の魅力

——今回のプリントにあたり、エプソンが提供する動画サービスの「 エプサイトプレミアム 」を参考にしていただきました。

「エプサイトプレミアム」トップページ

ゆう :「エプサイトプレミアム」の存在は知っていましたが、実際に見たのは今回が初めてでした。一通り見てみるとやっぱり得るものがあって、基礎の復習という点でもとても良かったですね。

坂倉 :私も初めてですが、「プリントマスター<基礎編>」が1番参考になりました。特に「第6回 白と黒が作品のクオリティを左右する」と「第7回 プリントサイズと余白の考え方」ですね。

ゆう :プリントマスター<基礎編>の第6回は、僕も大いに参考になった動画の1つですね。

「プリントマスター<基礎編>第6回 白と黒が作品のクオリティを左右する」より
「プリントマスター<基礎編>第6回 白と黒が作品のクオリティを左右する」より(ダイジェスト版)

坂倉 :この動画を見て白と黒、そしてグレーがすごく大事なことなんだと改めて実感しました。

ゆう :クリスピアと「写真用紙<絹目調>」(以下、絹目調)の使い分けについても動画で触れられていました。例えば、「晴天の時はクリスピアで、曇天の時は絹目調で」といった指針が示されていて、初心者の方にも非常に分かりやすいと感じました。

ゆう :僕が学びになったのは、モニターの調整の仕方です。カメラの露出でモニターを合わせるというのは言われてみれば当たり前ですけど、その発想はなかった。キャリブレーションツールを持っていない人には良い合わせ方だと感じましたし、プリントのハードルが1つ下がりますよね。

「プリントマスター<基礎編>第2回 作品制作を意識した環境づくり」より

坂倉 :そうですね。私も、その方法でキャリブレーションをしています。

坂倉 :子育てで忙しいので、「ながら見」することができたのも助かりました。ごはんを作ったりしている間に、キッチンにタブレットを置いて見ていました。

ゆう :そうですね。動画なので家で繰り返し気軽に見られるのですよね。セミナーだとどうしても時間がかかりますが、動画だと2倍速で見れば時短にもなるし、頭の体操にもなりますね。エプサイトプレミアムの動画は、改めてプリントの良さを気づかせてくれる存在だと感じています。

フォトコンテストについて

坂倉 :ゆうさんは、数々のフォトコンテストで入賞しているそうですね。

ゆう :僕は写真を始めた頃から、毎月何かのフォトコンテストに入賞するという目標を立てていて、8年間くらい毎月入賞していました。それまではプリントの応募はそれほど多くはなかったのですが、エコタンク搭載のプリンター(EW-M973A3T)と出会ってからは応募するプリントの量が増えました。

坂倉 :今まではデジタル応募のコンテストだけチャレンジしていました。今回の機会でプリント応募にやる気が出てきました。

ゆう :フォトコンテストに出す以上、プリンターの画質は大切ですね。僕の中で1番嬉しかったのは、 エプソンフォトグランプリ で入選できたことです。EW-M973A3Tでプリントした作品で入選しました。日本の最高峰クラスのフォトコンテストに耐え得る画質を出してくれるという意味でも、このプリンターは素晴らしいと実感しています。

ゆうさんが入選した「エプソンフォトグランプリ」が2025年も開催。作品募集が9月1日から始まっている

坂倉 :すごいです! 私は、賞に入ることが目的というよりも、「まず10枚出そう」という気持ちです。プリント応募となると、応募票を貼ったり、作品を封筒に入れたりする手間があって、正直なところ手間に感じていました。特に子育て中のママにとっては、集中して時間を取るのが難しいんです。

ゆう :それはありますね。ただ、デジタルでの応募は手軽ですが、そのぶん賞金が低かったり、応募数が多かったりして競争率が高いんですよね。その点、プリントのフォトコンテストは目指すべきレベルも高く、貰えるものも大きいと感じています。

坂倉 :A4はフォトコンテストで基本のサイズと聞いていますから、今回使ったEW-M873Tでいけそうです。一般家庭であれば文書印刷も含めて、A4で問題無いですね。

まとめ……プリントしたからこそ得られるもの・気づくこととは?

ゆう :お店に持っていくのが面倒でも、(自宅に高画質のプリンターがあれば)家で気軽にできるから「この写真良いな」と思ったらすぐにプリントできますね。やり直しも自由なので、納得するまで構図を変えたりと何度もプリントし直して作った作品もあるんです。

坂倉 :はい、何事もやってみないとわからないので、プリントの第一歩を踏み出せたのはすごく良かったと思っています。自分の勉強のためには、絶対に自分でプリントした方が良いという思いを持ちました。

ゆう :パソコンに保存した写真を後から見るのは、実はハードルが高いんですね。なかなか「改めて見よう」という気持ちにならない。でも、お気に入りをプリントして飾っておけば、何時でも見られるわけです。

坂倉 :その通りだと思います。写真がデジタルになってたくさん撮れるようになりましたが、「撮ってあるからいいや」という感覚になると自分の中で写真が消えていってしまいます。自分の中でそれが寂しいなと思っていました。

ゆう :そうですね。プリントは、撮ったときの気持ちを蘇らせるツールとして王道であり不可欠ですね。

坂倉 :同感です。作品を飾ることで、本当にその時の色々な記憶が蘇るんですね。母が写真を飾っていたように私も飾り、それを子供たちにも伝えていけたらと思っています。

ゆう :まさに、それはプリントの本質ではないでしょうか。「思いを伝える」や「次世代に引き継ぐ」という大切な役割として、アナログとしてのプリントは残っていくのだと思います。

坂倉 :SNSではとにかく「早さ勝負」で、他の人より早く投稿することが全てのように感じていました。でも、今回プリントの素晴らしさを体験して、自分の中ではそうした姿勢に疑問を持つようになったんです。プリントを通して、写真とじっくり向き合う時間の大切さを知ることができました。

ゆう :写真のそもそもの本質は「撮った時の感情が蘇るツール」だと考えています。プリントされた写真が家にあればいつでも見ることができ、常にその感情を蘇らせることができます。

坂倉 :まさにその通りです。母が飾っていた写真を見返すことで、その時の感情が蘇ってくるように、写真の本来のあり方は昔と変わっていないと感じています。子供たちの成長を飾り、家族の繋がりを未来へと受け継いでいく、という意味でもプリントは素晴らしいものだと思います。

ゆう :SNSの写真は1秒で消費されがちですが、プリントなら少なくても1分は見るでしょう。それだけ気づく時間も大幅に増えるということだと思いますね。

坂倉 :パソコンやスマホの小さな画面でしか見ていなかった写真も、プリントしてみると反省点が見つかるんです。特に夜景や花火の黒の表現、顔のレタッチなどプリントして初めて気づくことが多かったです。SNSでの投稿が全てではないと改めて思いましたね。

(注)Adobe、Lightroomは、米国および/またはその他の国におけるAdobeの登録商標または商標です。

「エプソンフォトグランプリ2025」作品募集が開始

インクジェットプリントを使ったフォトコンテストとして、クリスピア発売の翌年、2006年にスタートした「エプソンフォトグランプリ」。今年は「ハガキで応募部門」や「クリスピア20周年特別賞」を新設し、幅広い層からの応募を受け付けている。

そのうち「クリスピア20周年特別賞」は、クリスピアの「光沢感」「透明感」「豊かな色彩表現」を生かした「きらめき」を放つ作品を選定。20周年にちなみ、ネイチャー部門・ヒューマンライフ部門から計20作品に特別賞を贈呈するという。

公式ページ

エプソンフォトグランプリ2025

  • 応募期間:2025年9月1日(月)~11月4日(火)
  • 応募部門:ネイチャー部門/ヒューマンライフ部門/ハガキで応募部門(新設)
  • 賞/賞金:グランプリ1作品 賞金100万円(ネイチャー部門/ヒューマンライフ部門より選出)
  • 入賞作品数:合計236作品
  • 審査員:ネイチャー部門/ヒューマンライフ部門:写真家 三好和義氏、大西みつぐ氏
    ハガキで応募部門:写真家 熊切大輔氏
  • 結果発表:エプソンのホームページで発表(2026年2月中旬を予定)

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。