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「SanDisk Extreme PRO ポータブルSSD」に最速“USB4対応版”が登場! その使いどころとは?
4K動画の直接編集も ポータブルSSDの超ヘビーユーザーに活用法を聞いてみた
2025年4月25日 07:00
接続規格の進歩に伴って転送速度が高速化し、かつて不可能だったことが可能になってきている。その1つが「ポータブルSSD内に保存した動画ファイルの直接編集」だ。
現行のミラーレス機やスマートフォンでも撮影可能な4K/60p動画を扱うにあたっては、静止画を扱うよりも大きなストレージ容量と、1度に大量のデータを転送できるバス帯域が必要となる。近年では規格上40Gbpsの転送が可能なUSB4やThunderbolt 4に対応したストレージも普及し始めており、これだけの速度があれば外付けのデバイスに保存した動画ファイルの直接編集も現実的になってくる。
「SanDisk Extreme PRO ポータブルSSD USB4対応」もそうした高速ストレージ製品の1つ。
公称で読み出し3,800MB/秒、書き込み3,700MB/秒という圧倒的な最大転送速度を誇るほか、高さ2mからの落下保護、IP65の防塵防滴構造、5年間の保証期間といった高い信頼性も売りとなっている。
ここでは業務において日常的に6Kや8Kの動画撮影/編集に携わっている写真家・ビデオグラファーの上田晃司さんにお話を伺い、ポータブルSSD内にRAWデータを保存した状態での直接編集やワークフロー、バックアップについての考え方などをお聞きした。
動画をPCに移すことなく直接編集
——撮影データを保存するストレージについて、どのような考えで運用されているのでしょうか?
ひとことで言えばコストと実用性の兼ね合いですね。僕が仕事でメインに使っているのは4年くらい前のM1 MacBook Proなのですが、こういう機材でまず節約できるところは内蔵ストレージだと思っています。MacBook Proの場合は内蔵ストレージ容量を1TB増やすごとに6万円くらい追加でかかってしまってお財布に厳しいからです。
その分の予算をメモリなど後から取り返しのつかない部分に割り振って、足りないストレージ容量は外付けのポータブルSSDでカバーするイメージですね。だからPCの内蔵SSDはいつも最小限。今回の製品なら4TBで7~8万円なので、その分を節約するという考え方です。
もちろんPC内蔵のストレージの方が速度は出ますが、僕の実務上は現在のポータブルSSDでも十分実用に足る速度が出ているので問題ないという判断です。
——ここから本題ですが、PCにポータブルSSDを接続したまま動画編集を行なうという運用は実用的なのでしょうか?
USB4対応の「Extreme PRO」であれば十分実用レベルです。実際、僕はPCに接続したSSDの中で編集まですべて済ませています。ポータブルSSDが作業スペースと一時保管場所を兼ねている感じですね。これまでもそうしてきたのですが、ここにきてUSB4に対応したことで、安心した運用が可能になっています。実際、Macbook Pro+Extreme PRO USB4対応版の組み合わせで、出先でも滞りなく作業ができています。
より具体的な話をしますと、RAWデータから(動画編集ソフトの)「DaVinci Resolve」のプロジェクトファイル、動画ファイルなどの素材一式がポータブルSSDの中に入っている状態です。
この運用をする意義の1つは、プロジェクトファイルと素材を同じ場所にできること。後から動画の内容を微調整したい場合などにすぐとりかかれます。さらに動画ファイルは、もう1台のポータブルSSDにバックアップをとっています。
——上田さんはMacbook Proのユーザーですが、必ずしも出先で編集する用途のユーザーばかりではないと思います。デスクトップPC、例えばMac miniとExtreme PROの相性についてはどのようにお考えでしょうか。
接続規格が対応していればデバイスの実力が出せるので、まずは「USB4に対応していること」が重要です。現行Mac miniのスペックを見るとどれもUSB4に対応していまし、M4チップが載っていることも加味すれば、僕のMacbookよりも快適に編集できるのではないでしょうか。
それにM4 Proを搭載している上位モデルにいたっては120GbpsのThunderbolt 5にも対応していますから、すぐに陳腐化して実用に堪えなくなるということもありません。むしろ僕も欲しいくらいですよ(笑)
——お使いのM1 Macbook Proとの組み合わせに話を戻します。ポータブルSSDを直結して動画編集するとなると、気になるのは「端子が抜けないか」だと思います。Extreme PRO ポータブルSSDの場合、そうした不安は感じますか?
接触が悪いとか抜けやすいと感じたことはないです。強いていえば純正でL字型のショートケーブルがあったらうれしいですね。
——SSDは使い方によっては発熱しますが、熱が気になったことはありますか?
特にありませんが、考えてみれば常にフルスピードが出ているわけでもなくて、3,700MB/秒近くで転送していることもあれば2,000MB/秒台後半のこともあります。温度が上がりすぎないようにうまくコントロールしているんでしょうね。
USB規格の違いに注意!
——直接編集をするにあたって、特に注意してほしいことはありますか?
PC側のインターフェイスがポータブルSSDの規格に対応しているかを確認する必要があります。例えばこの製品の場合、USB4(やThunderbolt 4、Thunderbolt 5)に対応していることが重要です。特にノートPCの場合は後から変更がきかない部分なので、購入するときに確認するようにしましょう。
あと基本的なことなのですが、ケーブルはUSB4対応のものか、少なくとも製品付属のものを使うようにしましょう。USB Type-C同士ということで繋がるからといって使い回すと、本来出るはずの性能が出ないことがあります。
——USB4は比較的新しい規格ですが、規格としての将来性についてはどうお考えでしょうか?
今後標準的になっていくと考えています。将来性はあるのではないでしょうか。今回のExtreme PRO USB4対応版に関していえば、いまUSB4(もしくはThunderbolt 4)に非対応のPCしか持っていなくても、PCの買い替えをまたいで長く使う視点で買っておくのはありかと思います。
もちろんデータのバックアップ用途にも
——普段はどのような用途でポータブルSSDを活用しているのでしょうか?
僕の場合は写真だけでなく映像の仕事もあります。企業の記録映像を撮る仕事では、4K/60pがベースですね。後からクロップできる利便性を考慮して、6Kや8Kの現場もあります。
データは動画も静止画もRAWで撮るようにしています。なぜならRAWであれば、将来のアプリに実装される技術を適用できるからです。例えばRAW現像ソフトのLightroomも最近「AIノイズ除去」が使えるようになって、昔のデータに適用できるようになりましたよね。
こうした理由で、1回の撮影あたりに保存するデータ容量は増加傾向にあります。現状では、1時間あたり1TBくらいのデータが撮影ごとに増えていきます。Extreme PRO USB4対応版の4TBは、1つのプロジェクトで使用する上で、ちょうど良い容量だと感じています。
——高速なバックアップストレージが必要になるのはどのようなケースなのでしょうか?
特にありがたいのは、現場でバックアップを行なうときでしょうか。ただし多くの人にとってバックアップが面倒と考える理由は、「バックアップ=時間がかかる」という印象だからだと思います。いったん始めたら数10分、ときには1時間くらいPCを占有されてしまう。でもこれって速度が出れば解決できる問題で、USB4対応で速度さえ出れば数分程度には短縮できる。そのくらい短く済むならやる気になるはずだと思います。
高速なストレージって高価ですし、それが必要不可欠な人だけのものと考える人がいるのも無理はないのですが、面倒なバックアップのハードルを下げるものだとも思います。高速なポータブルSSDというのは、僕を含めてバックアップが苦手だなと思っている人にこそ必要なのではないでしょうか。
僕は仕事なので撮影現場にPCを持っていってすぐにバックアップを取ってしまいます。しかし普通の方ならそこまではしなくても、自宅でSSDにデータを移す時間が数分程度で済むというのは、"バックアップを取る気になる速度"という点で十分価値があると僕は思います。
——今回はいままで使っていたSandiskのポータブルSSDを持ってきてもらいました。こうして買い増しして型落ちになった古いポータブルSSDは、どのように使っているのでしょうか?
仕事用から個人のプロジェクト用に転用しています。僕の場合はYouTubeチャンネル用ですね。仮に壊れたところで自分しか損をしませんから。
撮影データは"すべて"なので、データを保存しておく媒体が壊れたら、どれだけ手間暇をかけようが、お金がかかっていようが無に帰すわけです。だからこそ記録メディアやバックアップ媒体にはしっかりしたものを使わなくてはなりません。僕にとって信頼に足るストレージの1つがSandiskの製品で、Extreme PRO USB4対応版はその最新・最速のモデル。またすごい製品がでてきたな、と感じています。