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「RF200-800mm F6.3-9 IS USM」でF1日本GP東コース撮影エリア完全攻略

レース撮影で大活躍する超望遠ズーム

RF200-800mm F6.3-9 IS USM
キヤノンオンラインショップ価格:31万9,000円(税込)

【SPECIFICATION】
レンズ構成:11群17枚
絞り羽根枚数:9枚
最小絞り:F32(200mm時)、F51(800mm時)
最短撮影距離:0.8m(200mm時)、3.3m(800mm時)
最大撮影倍率:0.25倍(200mm時)、0.2倍(800mm時)
フィルター径:φ95mm
外形寸法(最大径×全長):約102.3×314.1mm
質量:約2,050g

F1日本GPはコースサイドの観客席で撮影する。場所によってコースとの距離が異なるため、幅広い焦点距離が必要だ。そこで活躍するのがRF200-800mm F6.3-9 IS USMだ。観客席からの撮り方を人気の東コースを中心に紹介しよう。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2024年6月号』より転載・加筆したものです。

逆バンクに進入するマシンを望遠端の800mm、シャッター速度1/1,000秒で写し止めた。セイフティシフトにISO感度を設定しているので、露出アンダーになるところをカメラが自動的にISO 400に上げてくれた
キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/800mm/シャッター優先AE(F9、1/1,000秒、-0.3EV)/ISO 400/WB:オート
2コーナーからS字へと向かう短いストレートをシャッター速度1/160秒で流し撮り。上部に写っているのはF1開催時のみに設置される1コーナーの仮設スタンド。背景に観客を入れて彩りを加えた
キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/227mm/シャッター優先AE(F16、1/160秒、±0EV)/ISO 125/WB:オート
鈴鹿サーキットでもっとも車速が落ちるのがシケインの2つ目。そこから最終コーナーに向かうマシンをとらえた。「乗り物優先」のスポット検出を使えばヘルメットにフォーカスをバッチリ合わせてくれる
キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/500mm/シャッター優先AE(F8、1/800秒、-0.3EV)/ISO 250/WB:オート
逆バンクからデグナーへと向かう登り勾配。マシン全体が見えなくても「乗り物優先」を使えばAFを合わせてくれる。背景に写っているのはB/B2席スタンドと鈴鹿の街並み
キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/222mm/シャッター優先AE(F6.3、1/1,000秒、-0.3EV)/ISO 160/WB:オート

この1本でアップから流し撮りまですべてに対応できる

RF200-800mm F6.3-9 IS USMは、遠くから撮影することが多いサーキットにおいて、多くのシーンに対応できる万能レンズだ。F値がF6.3-9なので、シーンによってはISO感度を上げて撮ることになるが、キヤノンEOS Rシリーズは高感度にも強いので特に問題にならない。

EOS R6 Mark IIとの組み合わせでF1日本GPの撮影を行ったが画質、AFの合焦率も期待以上だった。質量は約2kg、望遠端800mmのレンズとしてはかなりの軽量で移動が多いサーキットでは軽さが役立った。ズームをするとレンズ全長が伸びるが、バランスが気になることもなく、一脚を使用すればさらに安定感が増す。サーキットには最適なレンズだと言える。

東コースの撮影攻略

各アルファベットは座席エリア。今回紹介しているC、Dエリアは金曜日にスタンドから撮影
カメラマンエリアとは?

F1日本GPでは金曜日は多くの場所で機材の制限はなく、座席も自由に移動できる。土日は指定席となり、レンズ+カメラで全長26cm以上の機材は使用不可となっている。レンズの長さの制限がなく撮影をしたい人向けに「カメラマンエリア」が用意されている。

Cエリア:2コーナーから向かってくるマシンとS字の進入前を横から撮る(金曜日のみ)

キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/800mm/シャッター優先AE(F9、1/500秒、-0.3EV)/ISO 320/WB:オート
キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/324mm/シャッター優先AE(F9、1/160秒、-0.3EV)/ISO 100/WB:オート

C席のスタンドは左右に広く、2コーナーからS字の進入が目の前となる。マシンを正面から800mmで撮ったり、300mmくらいを使うと流し撮りもできるため、スタンドの下段はカメラマンに人気だ。最下段は金網越しとなるが撮影用に黒ツヤ消し塗装がされている。望遠レンズで金網に近づけば消すことができる。

土手:S字の前半を流し撮り(カメラマンエリア)

キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/455mm/シャッター優先AE(F9、1/125秒、-0.3EV)/ISO 100/WB:オート

C席とD5席の間の土手にカメラマンエリアがある。S字1つ目が目の前で、S字に進入するマシンは斜め前から、S字2つ目は横から流し撮りができる。S字2つ目から逆バンクへ向かうマシンは後ろから撮影可能。コース脇に咲く桜とマシンが一緒に撮れる場所のため、カメラマンに大人気だ。

Dエリア:S字の2つ目を横から撮る(金曜日のみ)

キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/242mm/シャッター優先AE(F13、1/160秒、±0EV)/ISO 125/WB:オート

S字2つ目、D4席の最上段も金曜日のみ撮影できる。2コーナーからS字まで見渡せ、撮りたいマシンが選択しやすい。流し撮りの成功率が上がるコーナーのイン側から撮れるので、流し撮りのおすすめポイントだ。

逆バンク:コーナーリング中のマシンを狙える(カメラマンエリア)

キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/800mm/シャッター優先AE(F9、1/1,000秒、-0.3EV)/ISO 640/WB:オート
キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/800mm/シャッター優先AE(F9、1/1,000秒、-0.3EV)/ISO 800/WB:オート
キヤノン EOS R6 Mark II/RF200-800mm F6.3-9 IS USM/400mm/シャッター優先AE(F9、1/125秒、-0.3EV)/ISO 100/WB:オート

D1席最上段のカメラマンエリアはカメラマンエリアの中で最も人気がある撮影ポイントだ。左右に広く、エリアの右端ではS字から逆バンクに向かうマシンを正面から撮影でき、左端では逆バンクのクリッピングを正面から撮れる。

F1を快適に撮るためのEOS R6 Mark II 設定ガイド

カメラの設定は大きく分けると、撮りやすくするための設定と、自分の好みに合わせる設定の2つがある。撮りやすくする設定は撮影モード、被写体の検出方法、ファインダーの表示など。好みの設定はピクチャースタイルなど。F1ではマシンの動きに合わせて追って写す方法がメインなので、ピントは被写体検出を使ってカメラに任せ、マシンを追うことに注力するとうまくいく。

露出モードはシャッター優先AE

動く被写体の撮影はシャッター優先AEが基本。写し止めるときは高速シャッター、背景を流すときはスローシャッターなどシーンに合わせてシャッター速度を変える

被写体検出は乗り物優先に設定

マシンを撮影するときは乗り物優先に設定。ファインダーにF1マシンを捉えるとフォーカスエリアが自動的にヘルメットに移動してくれる便利な機能だ

EVFの表示はなめらかさ優先を選択

動体撮影が多いF1の撮影ではファインダーの表示スピードを上げておきたい。なめらかさ優先にすると、流し撮りでマシンを追うときも追従しやすい

セイフティシフトはISO感度に

ISO感度は固定していると高速シャッターでは露出アンダーになるシーンがある。セイフティシフトを設定すると自動的にISO感度を上げて適正露出で撮れる

MY MENUにシャッター方式を登録

設定は膨大な数がある。よく使う項目はMY MENUに登録する。シーンによって電子シャッターとメカシャッターは使い分けるのでここに登録している
奥川浩彦

1961年、名古屋生まれ。パソコン周辺機器メーカーのメルコ(現:バッファロー)で広報担当、2001年イーレッツの設立に参加。2006年、iPRを設立し広報業とライター業で独立。写真を始めたのは学生時代にモータースポーツを撮りたかったから。キヤノンモータースポーツ写真展3年連続入選。F1日本グランプリ(鈴鹿・富士)は87年から皆勤賞。デジカメ Watch創刊の頃はEOS 20DやIXYなどのレビューを担当。現在はCar Watchのモータースポーツ取材を担当中。