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写真の色にこだわるための性能を凝縮したディスプレイ「ASUS ProArt Display PA279CRV」

撮影後の画像チェックやRAW現像に欠かせないのが、広色域と色精度の高いディスプレイだ。ASUSから発売された「ProArt Display PA279CRV」は、4KかつAdobe RGB 99%の色域をカバーしていながら、コストパフォーマンスに優れた点が魅力。写真編集にこだわりを持つ木村琢磨さんに、その使用感を解説してもらった。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年10月号』より転載・加筆したものです。

高画素時代の写真編集作業には広色域の4Kディスプレイが不可欠

デジタルカメラで撮影した写真はRAW現像を行うことが多く、正確なレタッチを行うにはしっかりとしたディスプレイが必要不可欠だ。大型の4Kディスプレイであればより精細なビューが可能となり、画面の大きさにも意味が出てくる。

また、sRGBだけでなくAdobe RGB対応のディスプレイならカメラが本来持つ広いカラースペースを扱える。4KでAdobe RGB対応となると高価な製品のイメージがあるが、PA279CRVはその両方を備えるだけでなく、さらにHDRにも対応した上で、価格は約6万円に抑えられている。優れたコストパフォーマンスが最大の魅力だ。

ASUS ProArt Display PA279CRV
【発売日】8月4日
【ASUS Store価格】6万3,720円(税込)

【SPECIFICATION】
パネルサイズ:27型ワイド
バックライト:LED
パネル種類:IPS
表面仕様:ノングレア
最大解像度:3,840×2,160
画素ピッチ:0.155mm
視野角:178°(水平)、178°(垂直)
最大輝度:400cd/㎡(HDR on)
応答速度:5ms(GTG)
最大表示色:約10億7370万色
色域:sRGB 100%、Adobe RGB 99%、DCI-P3 99%
HDR:HDR 10
デジタル入力:DisplayPort、HDMI、USB Type-C
外形寸法(W×H×D):約612.22×408.11~538.11×215mm
質量:約5.78kg

ProArtとは?

ProArtシリーズは、ノートPCやディスプレイ、アクセサリーなど、クリエイターが創造性を発揮し、インスピレーションを具現化するために必要なワークフローを支えるための機能が詰まったASUSの製品ブランドだ。

広色域:色再現性が高いので写真の仕上がりを追い込める

Adobe RGBはsRGBと比較して風景写真では欠かせない青から緑の領域(カラースペース)が広く、正確に自然界の色を再現できる。ディスプレイの解像度が高いことで写真が持つ本来のディテールが再現され、拡大せずとも細部まで確認できるためレタッチ作業もスムーズに行えて、全体の作業効率がアップする。特にAdobe RGB対応のハイエンドプリンターで印刷する場合は必須となる。

出荷時にはキャリブレーションと厳密な検査が行われ、色精度が高い状態で手もとに届く

カラースペースを切り替えて表示できる

正確な色で仕上げるためには写真の使用目的によってカラースペースを変更する必要がある。Web用であればsRGBで問題ないが、プリントする場合はAdobe RGBで作業したい。PA279CRVはカラースペースをメニューから簡単に切り替えられて、確認時にも便利だ。

sRGBとAdobe RGBは素早く切り替えられる

設置自由度:環境を選ばないコンパクトさと柔軟なアングル調整を実現

シンプルでスマートなデザインなので設置場所に困らない。愛用のMacBook Proとデザインの親和性が高い点もうれしい。上下左右とディスプレイの可動域が広く自分好みの位置に調整できるので、目線が低くなりがちなノートPCとの相性が抜群。省スペースに収まるディスプレイは圧迫感も少ない。

上23°~下5°、左右は30°の角度調整が可能なほか、高さも13cmの範囲で調整できる
台座も小さく、机のスペースを圧迫しにくい

縦表示にも対応可能

縦位置で撮影した作品を横向きのディスプレイで鑑賞すると左右のロスが大きく、写真が小さくなってしまう。ディスプレイを縦位置に回転して表示することで縦向き作品を大画面で鑑賞でき、撮影のモチベーションアップにもつながる。

画面を回転すれば縦位置になる

接続性:96W給電にも対応するUSB Type-C端子を搭載

私はMacBook Proをメインにしており、外部ディスプレイにつなぐ際は電源やHDMIケーブルなどケーブル類の多さに煩わしさを感じていた。PA279CRVには給電可能なUSB Type-C端子が搭載されていることで映像表示と電源供給をケーブル1本でまかなえる。

最大96Wの給電が可能なので、外部GPUを搭載した要求ワット数の大きいノートPCでも使用可能。ディスプレイ用の電源ケーブルと、ノートPCとディスプレイをつなぐUSB Type-Cケーブルがあれば、それだけで写真の編集環境が整う。

MacBook Proからディスプレイへの映像出力とディスプレイからMacBook Proへの給電がケーブル1本でまかなえる
USB Type-C以外にもDisplayPortが2つ、HDMIのポートが2つ搭載されている。さらにUSBハブも搭載されているので周辺機器も1カ所にまとめられ、作業スペース全体がコンパクトに収まる

画面下部の手が届きやすい位置にも端子を搭載

背面だけでなく画面向かって左下にもUSBハブが設置されているためカメラやスマートフォンの充電も行うことが可能だ。最近ではUSBを電源とした充電器も増えているので相性がとても良い。

着脱しやすい配置なので一時的に接続したい場合などに便利だ
USB Type-CとUSB 3.2 Gen 1 Type-A端子が備わっている

拡張性:簡単にマルチディスプレイできるデイジーチェーンに対応

アプリを立ち上げて作業をしているときにもっとディスプレイの作業領域を広げたいなと思ったことは誰しも経験があるだろう。デイジーチェーン機能を使うことでケーブル1本で同機能に対応する複数台のディスプレイを接続し作業領域を拡大することが可能だ。

デイジーチェーンは複数台のディスプレイをつなぐ方法なのでそれぞれの配置も自由であり、例えばメインPCに対して両サイドにディスプレイを1台ずつなど自分にとって最適な作業スペースが構築できる。

大画面を2台横に並べるなど作業内容に応じた配置が可能だ

大画面の4K32インチや16:10の24.1インチも選べる充実のラインアップ

同シリーズはほかにも4K対応の32インチモデルとWUXGAの24.1インチモデルがラインアップされている。バランスを考えると27インチがちょうど良いと感じるが、より大きなサイズで鑑賞したり作業を行いたい場合は32インチをすすめたい。

アスペクト比16:10の24.1インチは16:9と比較すると縦に作業スペースが広いのが特徴。色精度も上位モデルと遜色ないので、4K不要でsRGB環境で十分という人に最適だ。

ProArt Display PA329CRV(4K 32インチ)
ASUS Store価格:8万8,920円(税込)
最大解像度:3,840×2,160
ProArt Display PA248CRV(WUXGA 24.1インチ)
ASUS Store価格:4万1,220円(税込)
最大解像度:1,920×1,200
木村琢磨

はち株式会社代表取締役。岡山県在住のフリーランスフォト&ビデオグラファー。広告写真スタジオに12年勤務したのち独立。主に広告写真(風景・料理・建築・ポートレートなど)を撮影。ライフワーク・作家活動として岡山の風景を撮影。12mのロング一脚Bi Rodやドローンを使った空撮も手がける。