特別企画
EOS 7D Mark IIにマッチする三脚を探る
3種類のカーボン三脚と望遠レンズの相性は?
Reported by上田晃司(2014/12/24 13:05)
期待のEOS 7D Mark IIがついに発売された。秒10コマの高速連写に加え、オールクロス65点AFセンサーの採用、被写体に合わせて選択できる7つの測距エリア選択モードなど、とにかく動く被写体には最適なカメラ。すでに購入された方や、今から購入予定の方も多いはずだ。
今回はこのEOS 7D Mark IIで動体を撮影すると同時に、そのときマッチする三脚について考察してみた。使用するレンズにあわせてどんな三脚を選べば良いのか、参考なると幸いだ。
その前に、動体撮影で三脚を使うメリットとは何か。まず、ファインダー像が安定する。そして、重量のあるレンズでも疲れにくい、といったところだろう。
軽量レンズにあわせたセッティング
まずレンズにチョイスしたのは、EF70-300mm F4-5.6 IS USM。幅広い焦点域ながら軽量な鏡筒を実現した人気を博し、望遠撮影の現場でよく見るレンズだ。
これを装着したEOS 7D Mark IIをベルボンの三脚、ジオ・カルマーニュE535Mと組み合わせてみた。EOS 7D Mark IIとこのレンズの重量は計1,540g。三脚の推奨積載質量は3kg。これで空港に着陸する旅客機を撮ってみる。
このレンズは広い焦点距離域を持ち、APS-Cサイズ機であるEOS 7D Mark IIで使用すると112-480mm相当のレンズとして使用できる。望遠ズームレンズとしては価格も抑えてあるので入門者には最適だろう。
一方、ジオ・カルマーニュE535Mは中小型に分類される比較的コンパクトなカーボン三脚だが、EV(エレベーター)無しで全高1,409mmあるため、使い勝手は悪くない。身長178cmの筆者の場合はEVを少し伸ばすことで対応できる。雲台も三脚もしっかりしており、安心して載せることができた。
動画用の三脚ではないが、パン(左右に振る動作)も自由に行なえ、安定したフレーミングのまま連写撮影が可能だった。
こうした撮影の場合、手持ちでも十分と思う方もいるだろう。ただ、三脚を使用するとファインダー像が安定するため、被写体を捉えやすい。より的確に被写体を撮影できるのが便利だ。
さらにこの三脚の縮長は665mmとコンパクトになるため電車移動もこなせる。EF70-300mmも軽量なので、気軽に撮影に出かけられる組み合わせだ。
超重量級レンズに適した三脚とは?
次に使用したレンズは、EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×だ。EOS 7D Mark IIに装着すると計4,530gと、かなりヘビーな組み合わせとなる。
EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×は、世界初となるエクステンダー(テレコンバーター)内蔵のレンズ。エクステンダーを使用するとテレ端の焦点距離は560mmになり、APS-C機であるEOS 7D Mark IIだと、896mm相当の超望遠レンズとして使用できる。
このクラスのレンズは300mm F2.8や500mm F4など単焦点が多いが、本レンズは2倍ズームを実現。近づいてくる飛行機などもズームしながらフレーミングできるのはとても便利。EOS 7D Mark IIのAF補足能力と連写性能にも助けられ、存分に撮影を楽しめた。レンズのAF速度も十分に速く、EOS 7D Mark IIとの相性は抜群のレンズだろう。
画質はズームレンズとは思えないほど高画質で、機体のディテールまでしっかりと描写。エクステンダーを使用しても、コックピットの中のHUD(B787などに搭載されるヘッドアップディスプレー)などまで確りわかるほど解像している。
ただし、計計4,530gの重量ともなると、やはり長時間手持ちで撮影するのは辛い。三脚があった方が断然楽に撮影できる。
まずは、持ち運びが楽な中型カーボン三脚ジオ・カルマーニュE645Mといっしょに使用してみた。
この三脚、カタログでは推奨搭載質量は4kgとなっているが、使用感は悪くない。脚経も28mmあり、意外にも頼りなさは感じなかった。
ただ、さすがに重量があるためチルト(上下の動作)を少し締めつつ、適度なテンションをかけて撮影した方が楽な印象だ。また、全高が1,376mmなので基本的にはEVを少し伸ばして使用した方が楽な印象。となると、ブレも若干気になってくる。
次に、ジオ・カルマーニュE740を使用してみた。これはかなり重量級のカーボン三脚で、脚径は32mm。堅牢製に優れ、雲代には大きなPH-275を採用している。推奨搭載質量は7kgと破格だ。
そのため、EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×とEOS 7D Mark IIを搭載しても余裕がある。全高も1,660mmと高く、筆者でもEVを使うことなく撮影可能。飛行機のアプローチに合わせて素早いパンなどをしても、よじれもみられず安定した撮影が可能だ。
結論としては、この望遠レンズを使用するのであれば、E645クラスでもよいが、E740クラスがなお安心だ。
また今回は、ビデオカメラやフィールドスコープ用に作られた雲台FHD-71QNをE740に装着して使用してみた。
この雲台、オイルフリュードのため適度なトルク感があり、スムーズに飛行機を追従できる。パン方向だけでなく、チルト方向にも自由に動かせるので、動く被写体に対してより的確なフレーミングが可能だ。
EOS 7D MarkIIの秒10コマの高速連写と組み合わせて使用すれば、すべてのフレームに安定して被写体を写すことも可能だろう。雲台自体の推奨積載質量は4.5kgと、今回使用したセットも十分使用可能だ。
かなり贅沢だが、本格的に動体を追従したい場合はE740とFHD-71QNの組み合わせは、最高のな組み合わせといえる。
まとめ:7D Mark II、望遠レンズ、三脚の組み合わせは“○”
今回、旅客機をEOS 7D Mark IIで撮影して改めて思ったのが、動きものの望遠撮影で、ここまで使いやすいカメラはないのではということ。EF200-400mm F4Lの画質も素晴らしく、あらゆる被写体をこの組み合わせで狙ってみたくなる。
ただEF200-400mm F4Lについては、なるべく三脚と組み合わせて使いたいとも思った。これだけ重いレンズの場合、手持ち撮影に比べ断然楽で、長時間撮影していても体力の消耗度合いも少ない。
飛行機が肉眼で豆粒くらいで見える時からずっとフレーミングしても安定。また、被写体を追尾しながら構図などを考える時間も有効活用できる。作品の質にも良い影響を及ぼすだろう。
特に望遠レンズを使用した撮影に慣れていないユーザーは三脚を使うことでブレを抑えられるので、安心して撮影に臨むことができるはずだ。常に三脚が使えるとは限らないが、撮影に行くときは、可能な限り三脚を用意したいと感じた。
加えて、自身の使用する望遠レンズの大きさに合わせて、ある程度しっかりした三脚を選択することが大事。予算と体力の範囲内で、しっかりした三脚と雲台を選びたい。それだけで作品が変わってくるはずだ。
制作協力:ベルボン株式会社