特別企画
雪景色を撮りに行こう! スタッドレスタイヤに挑戦(前編)
Reported by デジカメWatch編集部(2013/12/18 11:38)
紅葉のシーズンも終わりを告げ、いよいよ本格的な冬シーズンが到来する。秋には秋の写真があるように冬にも冬ならではの魅力的な写真があるが、中でも雪景色というのは、見慣れた景色さえも全く別物にしてくれ、デジカメユーザーならぜひチャレンジしてみたい写真と言えるのではないだろうか?
とは言え、雪景色の撮影には、防寒対策や防水対策はもちろん、どこで撮るか? どうやって行くか? など、初挑戦にはハードルが高いのも事実。そこで、デジカメ Watchでは、3人の写真家に雪景色の撮影を依頼。実際に雪景色の撮影を行なってもらい、その魅力とともに、雪景撮影のポイントを紹介していく。
撮影を担当してくれるのは、関東圏に在住ながら、雪景の撮影経験も豊富な礒村浩一氏と、一昨年に免許を取って行動範囲が広がったものの、雪景色の撮影は未経験のコムロミホさん。そして、関西出身ながら、北海道の魅力に魅せられ、美瑛に移住してしまったという中西敏貴氏の3名。雪景撮影初心者からプロ中のプロまで、それぞれの視点で雪景撮影の魅力を伝えてもらうとともに、それぞれの作例を紹介していく予定だ。
しかし、雪の中での撮影を安全に行なうためには、移動手段としてのクルマにスタッドレスタイヤが必須。そこで今回は日本ミシュランタイヤ様にご協力をいただき、同社の最新のスタッドレスタイヤ「X-ICE XI3(エックスアイス エックスアイスリー)」を装着。SUVに乗る中西さんにはSUV向けスタッドレス「LATITUDE X-ICE XI2(ラティチュード・エックスアイス エックスアイツー)」を装着して撮影に挑んでもらう。
まず今回はプロローグとして、カメラマンの紹介と、タイヤ交換などの事前準備について紹介していきたい。
おいしい食事のため、そして雪景色を撮るために履くミシュラン
雪景撮影をするためにクルマで移動するなら、欠かせないのがスタッドレスだ。今回装着したミシュランタイヤは、フランスに本社を構える世界でもトップクラスのタイヤメーカー。といっても、クルマに興味のない人にとっては、レストランを星付けするミシュランガイドのほうが有名かもしれない。
なんでタイヤメーカーのミシュランがレストランの星付けをしているのか疑問に思う人も少なくないだろうが、クルマで遠出してでも食べてもらいたいおいしい食事を紹介することで、もっとクルマで走ってもらい、タイヤを使ってもらいたいというのがその理由で、レストランやホテル以外にも、観光地や景勝地も紹介している。陸続きでどこまででもクルマで行けるヨーロッパならではの発想なのだろうが、この記事を読んで雪景撮影に興味が沸いたら、ぜひミシュランのスタッドレスタイヤ履いて撮影に出かけてもらいたい、と宣伝をしておこう。
ちなみに今回装着するX-ICEシリーズだが、実は北海道にあるテストコースを使って開発されている。フランスのタイヤメーカーなのになぜ? と思うが、これは日本が昼夜の寒暖差が大きく、雪、氷、シャーベット、乾燥路と様々なシチュエーションが混在しているためで、スタッドレスにとって最も過酷な状況だからなのだそうだ。日本の状況に耐えられるスタッドレスを開発すれば、世界で通用するのだとか。
中でも最新モデルであるXI3は、従来モデルよりもさらに氷上性能を向上したモデル。雪道経験のある方ならご存じだと思うが、冬の道で特に滑り易いのは氷だ。日中に気温が上がって一度解けた雪が夜中に再び凍るとアイスバーンになってとても滑る。こうしたスタッドレスが苦手なシチュエーションでの性能が底上げされているので、より安心感を持って走ることができるのだ。また、X-ICEシリーズは剛性感が高いことでも有名。ドライ路面でもスタッドレス特有のグニャグニャした走りではなく、しっかりと剛性感のある走りができるので、スタッドレスを履いてもドライ路面を走る時間が多いという人にもオススメできる。
それと今回利用した特徴的なサービスとして、ミシュランは「ミシュランストア」という直営の通販サイトを展開している。タイヤというと、普通はオープンプライスで、店頭に行かないと値段がわからない上に、装着工賃や外したタイヤの廃棄処理料金など、総額でいくらかかるのかがわかりにくいもの。だが、ミシュランストアだと、オンライン上で自分のタイヤサイズから製品が探せて、販売価格や在庫状況まで確認できる。決済はオンラインで行なわれ、タイヤ本体代はもちろん、交換工賃や廃タイヤ処理料なども一括決済できる。Webページ上から最寄りの店舗を探して予約を済ませれば、後は装着日までに商品が店舗へ送られ(送料無料)、お店に行けばそのまま装着できるという流れだ。あまりクルマに詳しくない人にとっても安心できるサービスだろう。
ということで、ミシュランタイヤを履いて雪景撮影に挑んでもらう3人の写真家を紹介しよう。
ベテランドライバー代表:礒村浩一さん
一人目の写真家は、弊誌のレビューでおなじみの礒村浩一氏。人物から建築物まで様々な被写体を撮るが自然風景の写真も得意分野。愛車はトヨタ ヴェルファイア。国産ミニバンの中ではもっとも大きな部類に入る。それだけ大きなクルマに乗るのは機材の多さもあるが、車中泊をするため。ラゲッジには簡易ベッドが用意され、キャンピングカー仕様のような状況になっている。今回は関東圏に住んでいる読者がすぐにでもまねできるような、雪景撮影の第一歩の指南役を務めてもらう。
磯村浩一さんのコメント
僕の場合は、北海道に行くことも多いですし、年に4〜5回は雪の中での撮影をしています。雪が積もった世界は、普段とは全く違う表情を見せてくれるのが魅力ですね。風景だけでなく、ポートレートの撮影なども行いますが、雪の降る中で撮るポートレートは特別な世界観ができてまた魅力的なものです。なので、僕としては風景撮影だけでなく、ポートレートの魅力も伝えたいですね。
雪の撮影で気をつけていることは、一番はなにより雪道の運転ですが、いつもよりも1〜2時間は余裕を持ってスケジュールを立てるようにしています。それによって運転にも余裕が生まれますし。
あとは機材が濡れたり、温度変化で結露するので、防水・防寒対策が必要です。バッテリーも寒いと減りやすくなるので、その対策も必要ですね。三脚はできればスノーシュー付きだとよいかな。雪雲が広がっているときは、普段よりも暗くなるのが早いので、三脚はあった方がよいと思います。
今回初めてミシュランのスタッドレスタイヤを使わせてもらいましたが、なかなかよさそうですね。装着早々に雪道を走る機会がありましたが、僕のクルマについている横滑り防止装置は、大きく滑ると警告音が鳴るというシステムなんですが、タイヤを変えてからはその警告音がなかなか鳴らない。上り坂でトルクを掛けても比較的ラクにタイヤがグリップしてくれて、安心感がありました。
それと普通スタッドレスはグニャグニャした印象なのが、このタイヤは結構硬いという感じでした。移動中の乾いたの高速道路でも高速安定性がとても高く、峠道などでもコーナーで踏ん張ってくれました。走行ノイズもスタッドレスはうるさいものだと思っていたのが気にならないし、うっかりスタッドレスを履いているのを忘れてしまうほどの乗り味でしたね。
初心者ドライバー代表:コムロミホさん
2人目の写真家は、弊誌の妹分「女子カメ Watch」で活躍中のコムロミホさん。世界中でスナップ写真を撮り歩くが、雪景撮影の経験は少ない。マイカーを購入し行動範囲が広がったところで、エントリーユーザーの代表として雪景写真の撮影に挑戦してもらう。愛車はミニクーパーS クラブマン。スタッドレスタイヤ自体、初めての体験だとか。一般的なサイズのFF車で、無理のない範囲で雪景撮影にチャレンジしてもらう。
コムロミホさんのコメント
運転免許を取得したのは去年の12月初め。ようやく1年になり、やっと初心者マークがとれました。
免許をとったきっかけは、車に乗って、いろんなところに写真を撮りに行きたいと思ったためです。おかげで、今まで行くことができなかったような場所も、楽しみながら撮影に行けるようになりました。
今回スタッドレスタイヤに交換してみて、最初はどうなるか心配していましたが……あまり違いが感じられません。高速道路でも通常どおり走行できましたし、違和感なく運転できました。
雪景色の撮影をしてみたいと思っていましたが、雪道の運転に自信がなく、行くことができませんでした。今回、スタッドレスタイヤをつけたことで、さらに行動範囲が広がることを期待しています! ステキな雪景色の写真を撮影できるように頑張ってきます!
北海道在住ドライバー代表:中西敏貴さん
3人目はより本格的な雪国での撮影をお願いするため、北海道在住の写真家、中西敏貴氏に依頼。本誌初登場となるが、北海道の景色に魅せられ移住してしまったという今回の企画にぴったりのカメラマンである。美瑛に「アトリエnipek」を構え、一般の写真好きのユーザーに北海道の撮影ポイントを案内、指南する撮影ツアーなども行なっている。愛車は三菱 デリカD:5。誰も踏み入れていない雪の降り積もった場所で撮影するために、車高が高い4WD車をセレクトしている。気温マイナス数十度という極寒地での撮影のポイントを指南していただく。
中西敏貴さんのコメント
私は普段からアマチュアカメラマン向けの撮影ツアーなどを行なっています。北海道はとても魅力的な景色が多いですが、四季折々でその表情を変えますから、決まったコースは設けず、その日の季節や天気などを見て、その日に一番よい景色が撮影できそうな場所を案内するようにしています。夏の北海道に来られた方は多いと思いますが、真冬の北海道もまた最高のロケーションです。特に、滅多に見ることはできませんが、冷え込んだ朝に発生するダイヤモンドダストなど、雪景色の撮影には最高のロケーションの北海道。今回の企画でそんな魅力もあわせてお伝えできればと思います。
それとスタッドレスタイヤですが、私の場合、撮影ツアーも行っているので、冬の期間だけでも毎年2万km以上走ります。もちろん圧雪アイスバーン、ブラックアイスバーンなど、人が歩くことも難しい路面があちらこちらにある北海道ですから、タイヤ選びは非常に慎重になります。今回ミシュランは初めての経験でしたが、まず、最初に強く感じた印象は、ドライ路面でのしっかり感。サマータイヤと言われても違和感のない印象でした。
そして雪道ですが、初めて装着したのが積もり始めの一番路面が滑るときでした。さすがに新しいタイヤといえどもABSが作動してしまうシーンはあるものですが、かなりのグリップ力をみせてくれました。12月頃まではまだまだ気温が高めで路面が締まらず、非常に滑りやすいのですが、そういった状況でも安心して走行できました。
-10度ほどに冷え込んだ日に、急制動のテストをしてみましたが、驚くほどのグリップ力で、乾燥路面かと錯覚するほどの制動性能を発揮してくれました。圧雪、新雪、シャーベット状の雪。この2週間ほどで様々な条件を走行しましたが、滑るという感覚はなく、なかなか期待できそうです。
後編では装着したタイヤが大活躍! 実際に雪山へ撮影に出かけてみました。お楽しみに!
協力:日本ミシュランタイヤ株式会社