リコーGXRスペシャル企画【第2回】吉住志穂「Flower」


 4人の写真家にリコーGXRを使ってもらい、作品を撮っていただきました。第2回は吉住志穂氏です(編集部)。

GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO

 


 花が好きだから、きれいに撮りたい。ただ美しく撮るだけではなく、花それぞれの個性を引き出したい……シンプルですが、それが一貫して私のテーマになっています。花を静物として撮るのではなく、人物のポートレートだと思って撮ることを信条にしています。そのために、いつも新たな方法を考え、撮影現場で試行錯誤しています。

 色々な花を撮りますが、屋内で撮るよりも、屋外に咲いている花を自然光で撮るのが好きです。撮っているときは夢中になっているため時間を忘れ、長いときには1つの花の撮影に1時間ほどかけることもあります。天候の悪い中撮るときもありますが、きれいな花と向き合っている時間は、自分の中ではとても楽しい時間です。

 私の場合、花の全体か一部をクローズアップし、周囲をぼかすことがほとんどです。さらに背景には、花が映える色を持ってくるようなアングルを探します。レンズはマクロレンズか望遠ズームレンズを使います。100mm前後の中望遠マクロレンズを多用していますが、50mm前後の標準マクロレンズも使いやすい場合が多く、持ち歩くことがよくあります。アシスタント時代から35mmフィルムカメラで作品を撮ってきたので、今でも基本的な画角や被写界深度の感覚は、35mm判になっています。

 今回のGXRスペシャル企画でも、主にマクロレンズユニットのA12(GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO)を使って撮影しました。ボディとレンズを合わせても小さく、手持ちでぐっと花に近づいて撮れるのが面白い。撮影後のレスポンスも良く、試したい構図を次々と試せるのが新鮮でした。コンパクトデジカメより少し大きい感じですが、絞り開放にするとしっかりボケるところが大きく違うところです。ワイドでしか寄れないコンパクトデジカメと違い、寄りたい距離に寄れるのも、一眼レフカメラを使っているような感覚を受けました。


GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO

GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO

GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO

 自然の中で咲く花がテーマでしたが、最近は街中で咲く花を少しずつ撮り集めています。人と一緒に生きる花の可憐さやひたむきさを表現したいのですが、ある程度背景を入れて撮るのに、A12はちょうど良い気がします。もちろん近づいてぼかしても良いし、少し離れたり絞っても良い雰囲気に。見つけた被写体との距離感が楽しいユニットです。これからも使い込んでみようという気になりました。

 これから出てほしいユニットは、APS-Cサイズの中望遠マクロレンズユニットと、大口径広角レンズユニット。いまのところスナップ派のためのカメラといった印象ですが、ネイチャーフォトグラファーのサブカメラとしても、使いやすいシステムになればうれしいです。


GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO

GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO

GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO




(よしずみ しほ)1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、竹内敏信事務所に入社。 2005年4月に独立。自然の「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。日本自然科学写真協会(SSP)会員。

2010/2/24 00:00