特別企画

新しい「スプリングロードボール方式」を採用…操作性に優れる角型フィルターシステム「Cokin NXシリーズ」

※本企画は『デジタルカメラマガジン2022年1月号』より抜粋・再構成したものになります。

NXシリーズと出合ってまず驚いたのは、「スプリングロードボール方式」。圧力のかかった小さなボールがフィルターフレームを適度な力ではさみ込むため、フィルターが外れにくく安心感があった。調整のためにスライドする際も、とてもスムーズに動かせる。外すときは、前方向へ少し力を入れると外すことができるので素早い着脱ができる。

フレームは3サイズが用意され、規格に合えば他社の製品にも使用できる。風景写真では、もたもたしているとシャッターチャンスを逃すので、操作性が良いものでなくてはならないが、NXシリーズは期待に十分応えてくれるシステムだ。

Cokin NXシリーズ

発売日
2021年11月26日
価格
・Cokin NX スターターキット(3万2,800円前後)
・長時間露光キット(3万9,800円前後)
・ランドスケープキット(5万2,800円前後)
・エキスパートキット(7万9,800円前後)
・プロキット(9万9,800円前後)
全てのキットに含まれる共通アイテム
・NX フィルターホルダー
・PLフィルター(ポーチ付)
・アダプターリング(72、77、82mm)
・アダプターリングキャップ
・マイクロファイバークロス
・フィルターシステムウォレット
・小型のスクリュードライバー
・予備ネジ2個(フィルターフレーム用)

OUT LINE……素早くセットできるギミックが満載

ひと昔前はレールに差し込むタイプが一般的だったが、NXシリーズは「スプリングロードボール方式」を採用。小さな圧力ボールでしっかりとフィルターを押さえながらもスムーズに調整ができる。着脱も滑らかで激しく変化する風景にもスピーディーに対応できる。質感も良く操作性にも優れる魅力的なシステムだ。

①着脱が容易なスプリングロードボール方式

ホルダー両脇には小さな圧力ボールが並んでいる。その圧力によって、素早い着脱が可能なうえ、位置調整もスムーズで固定力も抜群だ。

②PLフィルターは前側の中央にはめ込んで装着する

PLフィルターは前面の四隅のくぼみに合わせて中央に装着する。そのくぼみの部分に指が入るので、取り外すときも簡単だ。

③ホルダーの着脱はバネ式のレバーでワンタッチ

ホルダーを付け変える際はバネ式のレバーを引くだけですぐに脱着できる。径の違うレンズにもワンタッチで装着が可能だ。

④回してPL効果を調整するメタルホイール

PLフィルターの効果は側面に搭載されたホイールによって調整する。ホイールは滑らかに回転するため効果の微調整もしやすくなっている。

⑤Cokin Lサイズアダプターリングに対応

49mmから95mm径をラインアップするCokin Lサイズアダプターリング(BZ100用アダプターリング)に対応する。幅広いレンズに装着でき、またすでにリングを持っているという人も無駄にすることなく使用できる

POINT 1……超広角15mmでもケラレずに撮影可能

これまでのフィルターホルダーは大きく厚いものが多く、16mmよりも広角のレンズではケラレていた。このNXシリーズのホルダーは薄い作りなので超広角の15mmで使っても全くケラレることはなかった。さらに、ハーフND+NDなど2枚を重ねてもケラレはない。

EOS R5/RF15-35mm F2.8 L IS USM/15mm/マニュアル露出(1/10秒、F11)/ISO 125
画像の左上部分を拡大してもケラレは見られない

POINT 2…前面からも着脱が可能 フィルター交換がスムーズに

スプリングロードボールは、小さな圧力ボールがスロットの溝のような役割も果たしている。着脱する際は、フィルターを上下にスライドするか、あるいは前面からも行える。着脱は容易ながらも安定した固定力があり、信頼性も機動性も抜群のシステムだ。

上下にスライドして着脱する
前面からも着脱が可能

ハーフNDフィルターを“素早く”使う

空の色が刻々と変わる美しい時間はわずかだ。急いでフィルターを装着しないとチャンスを逃してしまうが、本システムの優れた操作性は慌てていてもしっかりと対応できる。

ハーフNDフィルターなし
EOS R5/RF24-105mmF4 L IS USM/63mm/マニュアル露出(F14、6秒)/ISO 100
ハーフNDフィルターあり
(撮影データ同上)

フィルターなしの状態で撮ってみると、空の色が明るく薄くなっていたため急いでハーフNDを装着して、空の部分を減光する。夕暮れ時の空が美しい時間はわずかなため、素早いフィルター操作が求められるが、本システムの優れた操作性のおかげで空の色をより鮮やかに描写することができた。

ハーフNDフィルターにPLフィルターを重ねがけ

夕日の逆光で海面が反射しているのを抑えつつ、夕焼けの空色を濃く出したかった。はめ込み式のPLとハーフNDの2枚掛けで撮影できるので便利だ。風景を撮っているとそんなシーンに出くわすことが多いが、本システムはフィルターの足し引きもスムーズに行えるため、欲張りな表現も可能だ。

ハーフNDフィルター+PLフィルター
EOS R5/RF15-35mm F2.8 L IS USM/15mm/マニュアル露出(F11、1/15秒)/ISO 100/WB:オート

最大3枚を装着してぜいたくな悩みを解決する

今回の写真のように、水面が多い場面ではPLフィルターは必須だ。さらに朝や夕方の逆光では、空と水面や地上の輝度差が激しく、どちらも犠牲にしたくない場合は、ハーフNDも効果的だ。

フィルターは最大3枚まで装着可能なため、NDフィルターをプラスして長秒撮影もできるので、ぜいたくなフィルター効果を一度に得ることができるのだ。

制作協力:株式会社ケンコー・トキナー

館野二朗

若い頃からバックパッカーの旅やフライフィッシングを通して自然と向き合う。手つかずの自然美にインスピレーションを受け、2000年頃から本格的に撮影活動を開始。以降現在まで全国を行脚し、独創的な視点で撮影をおこなっている。