新製品レビュー

Polaroid Go Generation 3

「アナログ」を満喫できる、日々に寄り添う小さなインスタントカメラ

小型インスタントカメラ「Polaroid Go Generation 3」が発売された。名前の通り、Goシリーズの第3世代。ポラロイド製インスタントカメラには、従来の600フィルムを使う「Polaroid I-2」や「Polaroid Now」などがあるが、Goシリーズは小さなサイズのGoフィルムを使うカジュアルなシリーズとして近年人気が高まっている。

ポケットにサッと入れておける携行性、アナログならではの風合いある描写。何より、シャッターを切ったその場でたった1枚だけのプリントが物として出てくる、というアナログ体験を気軽に楽しめる点も注目だ。

Polaroid Go Generation 3の概要

使用するGoフィルムのサイスは47×46mm。慣れ親しんできた通常のポラロイドフィルム(600フィルム)は79×79mmで差はかなりある。そのぶんカメラ本体を小型軽量にすることができ、外形寸法は106.5×83.8×64.6mmで、重さは340gしかない。

さすがによほど大きなポケットじゃないとポケットインはできないが、バッグにはスッと忍び込ませられるし、軽量のため付属ハンドストラップを付ければ手首にぶらさげておいても苦ではない。

ポケットには入りきらないかもしれないが十分に小さい。そしてフィルムパッケージもかわいい

デザイン、外観、操作感

Polaroid Go Generation 3のターゲットに若者も含まれるであろうことは間違いない。そこで、まずもっともポイントになるであろう「かわいいか」「簡単か」という点に注目してみた。

パッケージは白基調で持ち手の部分がポラロイドらしくレインボーカラーになっている。そしてオープンすると、白く小さなボディが収納されており、正直これだけでも相当にワクワクする。カメラをそれなりに手にしてきた身からしてもかわいい。

箱から出して対面すると、丸みのあるルックス、最小限のボタン類しかないシンプルさもとても好印象だし、フラッシュ、レンズ、ファインダー、フィルム排出口の配置が顔っぽくもあり、思わず擬人化してしまい愛着も沸いてくる。

操作感については、20代女性に予告なしにPolaroid Go Generation 3とフィルムを渡し、初見で撮影までいけるかどうかを試してみるというドッキリ的な実験を敢行。すると、迷うことなくフィルム室をオープンし、フィルムに印字されている「This side inside the camera」を頼りにフィルムを入れ、電源を入れて撮影するまで難なく到達。このシンプルさはとても大きな魅力だ。

フィルムの遮光紙には注意書きがあるため入れる方向はわかりやすい
正しくフィルム装填成功。フィルムにもレインボーのデザインが施されている
カメラはシンプル。電源ボタンとフラッシュボタンがあるくらいだ
あとはシャッターを切るだけ。シンプルな操作感で誰にでもやさしいカメラ

インスタント写真の本質に迫るアナログ体験

撮影するとフィルムが排出されるが、その際に太陽光などを防ぐ「フィルムシールド」が伸びてくる。これについては先の20代女性も「?」だった。これは排出された直後の太陽光を防ぎ、写真の低コントラスト化や白飛びなどを防止するために存在する。

Polaroid Go Generation 3は完全アナログのカメラであり、撮影するとフィルム面が露光され、現像液は排出時に画面に引き伸ばされ、しばらくすると圧着して写真になるという仕組み。ポラロイド製フィルムはいま遮光層の機能スタートに少々時間を要するため、余計な感光を防ぐためにフィルムシールドがあるのだ。

近年はインスタントカメラも複雑化していたり、デジタル機となりプリンター機能なども有するようになっているが、Polaroid Go Generation 3は正真正銘のアナログ機。「アナログ風」ではないという点をしっかり把握しておきたい。

撮影すると遮光のためのフィルムシールドの下にプリントが排出される仕組み。数分はこのままにしておいたほうがいい

筆者のPolaroid Go Generation 3のファーストショットは、都心の写真展のギャラリートークに向かう最中だった。少し早く会場前に到着したためベンチに腰掛けたところ、隣に5匹の犬をオシャレなカートに乗せた方が。撮りたい、と思ったのと同時に、その方へPolaroid Go Generation 3なら写真をすぐにプレゼントできる、とも思った。

そこで、すぐに初めてフィルムを詰め、お声掛けをして2回シャッターを切り、1枚をプレゼント。写真についての見識もある方のようで、「チェキではなくポラロイドなんですね」や「この写真になる時間がとても楽しいものですね」などと言葉を交わし、数分ではあるもののとても思い出に残る時間となった。

きっと、Polaroid Go Generation 3がバッグに入っていなかったら声をかけずじまいだったはず。持ってきて良かった、と心の底から思った。

筆者のファーストカット。飼い主の方に1枚はプレゼントした

ポラロイドは「人生の最高の瞬間はアナログにある」というフィロソフィーを掲げており、それをPolaroid Go Generation 3へと落とし込んでいる。

アナログで撮ることという仕組みだけのことではなく、アナログというものを感覚的に捉え、カメラと撮影があることで生じる体験、視点の変化、興味の方向性なども含めて大切にするということ。まさに筆者はそれを使い始めたその瞬間に体験することとなったわけだ。

Polaroid Go Generation 3を持てば、日常生活の中でもカメラを通してさまざまな体験が生まれるはず。アナログは人生そのものを豊かにする。これは筆者自身がフィルムカメラ、音楽のライブ、レコード、ファッションなど、人によっては「無駄」でしかないものを愛する身としても声を大にして伝えたいことでもある。

Goフィルムのレトロさのある写り

肝心の写真のクオリティーもかなりのアナログ感。レンズはプラスチック製のためやわらかさがあり、これは加工では再現できないような独特の風合いだ。

写りすぎてしまうデジタル写真とは正反対で、風景やスナップを撮ってもどこか記憶とリンクするような仕上がりになるし、人物を撮っても少々の肌の荒れやシワなどは全く気にならなくなるようなアバウトな写りをする。

発色も少し赤みがかる傾向にありレトロ感が強め。これは往年のポラロイドフィルムのようには再現ができない事情もあってのことだが、現代には適度な個性としてちょうど良いのではないだろうか。事実、20代の方々に見せたところ、「この色と雰囲気が逆に好き」という言葉ばかりをもらった。

高円寺の日常風景。赤いスクーターの朱色がかった発色が好み
太陽を入れて撮影したがインスタントに起こりがちな、ハイライト部が黒く欠ける「現像欠け」は発生しなかった。おそらくフラッシュの跳ね返りによる現像欠けも起こらないはずだ
鮮やかなものもノスタルジックに淡く描写される
レトロなモチーフとの相性は抜群
青空もしっかり出る。平均的に露出は気持ち暗めで発色と階調重視になる
走る消防車と撮影している自分自身の影。マゼンタ傾向の色味が際立った
街ぶらや旅行との相性は抜群。積極的に人物を撮っていきたい
夕日が射す公園を半逆行で撮影。雰囲気をしっかりと残してくれた
自転車を撮るだけで雰囲気が出る。スマホ写真などとは明らかに違う写り
モデル女性がシャッターを切った1枚。初見でもこのように使いこなせる

先ほど、撮影した写真はフィルムシールドに守られるように排出されると話したが、20℃くらいの環境で10~15分ほどで現像は完了する。そこまでフィルムシールドの下から動かさずにいる必要はないが、引き続き直射日光を避け、振ったり強く指で押すようなことをせずに現像完了を待つのがいい。

撮影してすぐにプレゼントする場合は現像中になるはずなので、注意点を伝えつつ渡すようにしよう。この写真が完成するまでの時間はアナログインスタント写真のもっとも楽しい部分で、像が浮き上がってくる様を見るのはいつでもわくわくする。

ちなみにカメラ正面のファインダー部分はミラー状になっており、ここに自分を写すことでセルフィー時の構図決定ができる。どこかに行ったという記録を残すのもおもしろいし、Goフィルムの写りの淡さを活かしたセルフィーはぜひともチャレンジしたい。

正面向かって右のファインダー部は半ミラー状。ここに自分を写せばセルフィーでの構図決定ができる
しっかりと顔が中心にくるセルフィーを撮影することができた

「物」として残るプリントの楽しみ方

写真のサイズは47×46mmで、クリアなスマホケースの中に入れるとピッタリのサイズ感。スマホケースに写真やシールを入れてカスタマイズすることはすっかり定番となっているが、思い出に残る写真、お気に入りの写真を常に持ち歩けることができるのは若者にはうれしいポイント。

こんなデザインのプリントを入れたい、という逆算から撮影をしてみてもいいかもしれない。そして、鮮明すぎない味わいのある色味と軟らかさもスマホ向きだ。

プリントが溜まっていくのはコレクションのようでとても楽しい。思い出を物として残そう
スマホケースにGoプリントを入れてみた。サイズも質感もバッチリ

せっかくプリントという物として手にすることができるのだから、壁に貼る、アルバムに入れる、など物として残す楽しさを味わっていきたいが、SNSにもアップしたい、データを渡したいというときももちろんあるはず。

そんなときはポラロイドがリリースしているアプリ「Polaroid」を使うのがオススメだ。「Polaroid」にはスキャン機能があり、プリントをかなりのクオリティーと簡単な手順でデータ化してくれる。

実は今回掲載している作例は全て「Polaroid」にてデータ化したもの。自動補正機能も付いており、フレームの青みなどが気になるときはONにすると補正してくれる。

スマートフォン用のアプリ「Polaroid」が無償で配布されているのでインストールしよう
反射を避けるために斜めからスキャン。短時間で高精度なスキャンデータとなる
「自動補正」はONにするのがいい。写真そのものというより、フレームの白さを中心に補正してくれる

「Polaroid」ではSNS共有との連動も可能。スキャンして保存したデータのシェアを選択すると、Goプリントの背景が写真になる「フォトinフォト」のようなデータも作成可能だ。Instagramなどで共有する際のアレンジとしてかなり有効だ。

フォトinフォト風の加工も簡単に作成可能
SNSで人目を引くアレンジだ

まとめ

このデジタル時代において「アナログを愛すること」は生活費やインフラ代とは明らかに別物だ。フィルムは8枚パック×2個入りで3,500円ほど。つまり1枚200円超という計算となる。

得られる経験の対価として高いか安いかは人それぞれの感覚に拠るところだが、例えば1日に8枚と決める、など上限は決めてもいいかもしれない。または完全に1日1枚、その代わりに毎日1枚撮るなどもおもしろそうだ。

スマホやデジタルカメラのいくらでも撮れる感覚に慣れていると、ワンシチュエーションであっという間に1パックを使い切ってしまう。頭を切り替えて、1枚に対する価値を感じながら使うほうが楽しめるだろう。緊張しすぎてもよくないが、ここで撮る、と決定するまでの流れも「体験・選択」として大切にしたい。

繰り返しになるが、巷に溢れる「アナログ風」とは一線を画する、シンプルかつ徹底的にアナログに振り切ったPolaroid Go Generation 3。できることが限られているからこそ、使う側は工夫もするし、日々の生活の中に取り込みやすいはず。ぜひPolaroid Go Generation 3で日常を彩っていただきたい。

鈴木文彦

フィルム写真専門誌『snap!』を創刊したのち、『フィルムカメラの教科書』『中判カメラの教科書』『チェキit!』『オールドレンズの新しい教科書』『FUJIFILM画質完全読本』など、趣味の写真にまつわるムックや書籍を企画/編集/執筆/撮影。現在、『レンズの時間』『FILM CAMERA LIFE』を定期的に刊行中。