新製品レビュー
PENTAX Q-S1
クラシカルなデザインがハマるシリーズ最新作
水咲奈々(2014/10/22 11:00)
リコーイメージングから8月28日に発売された「PENTAX Q-S1」はQマウントを採用する超小型のミラーレスカメラです。実勢価格はボディのみが4万円前後、「02 STANDARD ZOOM」のレンズキットが5万円前後、「02 STANDARD ZOOM」と「06 TELEPHOTO ZOOM」のダブルズームキットが7万円前後となっています。
また、Qシリーズらしくボディ5色(オンラインストアではさらに限定の2色も選択可能)とフロントシート8色を組み合わせて自分好みのボディをオーダーすることができます。「01 STANDARD PRIME」のレンズも本体色に合わせて5色用意されているので、レンズまで完璧にコーディネートできるのはカラバリの先駆、ペンタックスらしいサービスですね。
本機は合皮素材の革張りを施したクラシカルなデザインで、「ちっちゃいデジカメ」というイメージだったQ7のデザインから一変して、「ちっちゃい銀塩カメラ」のイメージになり、シックな装いになる秋冬に向けてファッション的にも購買意欲がくすぐられるデザインに仕上がっています。
撮像素子は1/1.7型のCMOSセンサーで、有効画素数は約1,240万画素、液晶モニターは3型で46万ドット、ISO感度は100~12800までで連写撮影は約5コマ/秒と、デバイスはQ7と共通です。電池もQシリーズが始まってから変わらずD-LI68を使用しているので、前機種をお持ちの方は電池の使い回しができます。
大きさは約105×58×34mmと、Q7より幅が約3mm、奥行きが0.5mmほど大きくなりました。重さも約203gと、Q7より約3gだけ重くなりましたが、本当に微々たる差なので使用時に重さや大きさを感じることはまったくありませんでした。
ひっかかりのいい突起状のグリップ
本機とQ7のデザインのテイストが違うのはもちろんですが、操作性での大きな違いはグリップ部の変更です。Q7には盛り上がったカメラらしいグリップがありましたが、本機はボディはフラットになり、代わりに丸い突起が付きました。ここに指を引っ掛けてグリップせよということらしいのですが、最初に見たときは、反対サイドにあるクイックダイヤルと同じような大きさなのでまるで目のように見えて、レンズ部が鼻と見ればいいのかしら?なんて冗談のように受け取ってしまいました。
ところが意外にも使いやすかったんです、このグリップ! 右手の中指をこの突起に引っ掛けるようにすると、たいした力もいらずに安定感のあるグリップができ、縦位置の撮影でも横位置の撮影でもカメラボディをしっかりホールドできました。冗談なんて言ってしまってごめんなさい……。クイックダイヤルと同様にアルミ製なので見た目も触った印象も高級感があるのもうれしいところです。
Q7と同等の高画質
外観はずいぶん変わりましたが中身はQ7と同等。画像処理エンジンも「Q ENGINE」を採用しています。画質に関しては申し分なく、遠景の撮影でも高精細な画を作り出してくれます。特に大井川鉄道の陸橋のシーンでは白く煙る靄を繊細に描き出してくれました。
レンズは「02 STANDARD ZOOM」を使用しましたが、このレンズはワイド側で使用すると四隅に歪曲収差が出やすいので、ディストーション補正はONで使用することをお勧めします。
通常使用の最高ISO感度のお勧めはISO1600
薄暗い室内でカーテンの隙間からこぼれる弱い太陽光を受けるシチュエーションで撮影。手前のオブジェのてんとう虫をご覧ください。
ISO感度はISO800までまったく問題ありません。ISO1600になるとほんの少しノイズが乗ってきたかな?と感じますが、全紙サイズに印刷する訳でなければ気になりません。
ISO3200以降は画像に荒れが見られてくるので常用は避けたいですね。それでもISO6400は普通ならもっとがくっと画質が落ちるのに、よく頑張って粘っていると思います。暗いシーンでの記念写真などでは使用できるレベルでしょう。ISO12800に関しては緊急回避的にどうしても写したいシーンでのみの使用にとどめたいです。
新搭載のスマートエフェクトはレトロ&シック!
中身はQ7とよく似た本機ですが、レトロなイメージの「アンティーク」と、プリントが退色したような「フェードカラー」という、2種類のスマートエフェクトが新たに搭載されました。
スマートエフェクトの設定はボディ前面のクイックダイヤルに割り当てて行います。ダイヤルには4種類のエフェクトを登録することができます。また、フェードカラー、アンティークそれぞれに2パターンのエフェクトがさらに選べるようになっています。操作方法は、エフェクト選択後に十字キーの下を押すと画面中央部下寄りに十字キーの左右で選択できる項目が現れるので、そこで設定します。
作画の色調としては新しいスマートエフェクトは両方ともシックな大人っぽさを感じます。アンティークはフェードカラーよりも温かみのある色合いに仕上がり、パターン1よりも2のほうが明るく淡く仕上がっているように見えました。フェードカラーのパターン1はシアン系なので色が抜けてクールなイメージに、パターン2はオレンジ系なので少しアンティークに似た温かみのある色の抜け方を表現した作画でした。
まとめ
Q7と同等の画質でデザインは通好みのクラシカルとくれば、購買意欲をくすぐられている方は多いと思います。その通り中身の問題点はほとんど見当たりません。レンズによってディストーションが気になることもありますが、ディストーション補正を常時ONにしておく弊害は特にありませんので、その方法での使用をお勧めします。
また、新搭載のスマートエフェクトは文句なしに楽しく、クイックダイヤルで簡単に切り替えもできるので気軽に使用することができます。どちらのエフェクトも変更するのがめんどくさければパターン1のままで撮影して、2種類の違いを見て楽しむといいでしょう。
筆者のクイックダイヤルの割り当てのお勧めは、アンティーク、フェードカラー、あでみやび、ハードモノクロームです。この順番で登録して撮影することにより、アンティークでノスタルジックな気分に浸り、フェードカラーで少し寂しくなり、あでみやびで一転してあでやかな気分になって上昇して、ハードモノクロームで硬派な世界に……そして忘れずに通常撮影モードに戻して本来の自分に戻りましょう。本機のオーナーになった方は、良かったら試してみてください!