ミニレポート
花の色鮮やかさを引き出す「Velvia」モード
(FUJIFILM X-T1)
Reported by水咲奈々(2014/5/8 14:35)
富士フイルムのミラーレスカメラ「FUJIFILM X-T1」には、被写体や表現したいムードに合わせて同社のフィルムを選ぶような感覚で色再現や階調表現を選ぶことのできる「フィルムシミュレーション」という画作り設定機能が搭載されています。今回は、その中でも被写体をより鮮やかに描き出す「Velvia」モードに注目してみたいと思います。
Velviaは、自然な色再現の「PROVIA」や肌色を綺麗に描き出す「ASTIA」よりも彩度が高く、全体にコントラストの高いメリハリのついた画作り設定となっています。
光の状況などにもよりますが、花の色鮮やかさが引き立つので、画面いっぱいに花を描き出すときなどにオススメのモードです。
ここでは比較のため、Velviaモードを含めた3モードの作例を並べてみたいと思います。RAWで撮影し、カメラ内現像で各モードに変換してJPEGに出力しました。
例えば下の花畑の写真。上部の黄色いチューリップはそれほど変化が見られませんが、画面の大部分を占める紫色の花の色はVelviaが他の2つのモードよりも鮮やかに描き出しているのがわかりやすいと思います。
※XF 18-55mm F2.8-4 R LM OIS、+1/3EV、ホワイトバランスオートで撮影
また、赤いチューリップもモードの違いがわかりやすい発色となっています。ここでちょっと脱線。PROVIAとASTIAに注目して頂きたいのですが、この赤の発色だけを見るとASTIAのほうが鮮やかに発色しています。これは、ASTIAは単に全体をソフトな色調にするだけのモードではなく、肌色を健康的な色に、その唇も同じようにくすませない色を描き出していることが窺い知れます。
さて、次は空の青さにも注目してみましょう。Velviaの抜けるような青空の圧勝! 別に勝ち負けではないのですが、思わずそう言いたくなってしまうほど綺麗な青色です。遠方のピンクの桜の発色も良く、メリハリの利いた鮮やかな1枚になりました。
※XF 18-55mm F2.8-4 R LM OIS、+1/3EV、ホワイトバランスオートで撮影
次も青空をバックにした桜。手前の桜を浮き立たせたいのでしたらVelviaの鮮やかさとメリハリの強さが味方になってくれます。逆に青空に溶け込むような1枚画にしたい場合はASTIAのやさしい発色も素敵だと思いました。
※XF 18-55mm F2.8-4 R LM OIS、+1/3EV、ホワイトバランスオートで撮影
赤い花はこういう作例にとても向いていますね。光の当たっている部分だけでなく影の部分も色濃く鮮やかに、でも不自然ではない発色をしています。
※XF 18-55mm F2.8-4 R LM OIS、0EV、ホワイトバランスオートで撮影
主役の黄色い花の発色に大きな違いは見られませんが、脇役の赤い小さな花の発色の違いによって、全体のイメージが変わりました。Velviaはちょっと強気な、ASTIAはちょっと控えめなイメージになりました。
※XF 18-55mm F2.8-4 R LM OIS、0EV、ホワイトバランスオートで撮影
地味ながらもVelviaの本領発揮をしてくれたのがこの画でした。黄色と紫のコントラストはもちろん、チューリップの茎の部分の緑の鮮やかさが全体のイメージを左右する構図なので、Velviaの発色がハマりました。
※XF 18-55mm F2.8-4 R LM OIS、+1/3EV、ホワイトバランスオートで撮影
花を撮るならVelviaで!! とまでは言いませんし、シチュエーションによって使い分けるのがフィルムシミュレーションの楽しさなので、本機をはじめ「FUJIFILM Xシリーズ」をお持ちの方は色々遊んでみて頂きたいと思うのですが、“やっぱり花ってきれいね~”という気持ちにさせてくれるのはVelviaの良さだと思いました。