ミニレポート

フリッカーレス撮影が役立つ場面とは?

(EOS 8000D)

昨年の秋くらいから、当時小学6年生の息子が出場するミニバスケットボール(ミニバス)の試合を撮影する機会が増えてきた。そこで問題になるのが、屋内照明のフリッカー現象である。

ボクは主にニコンとキヤノンの一眼レフを使用しているが、つい最近までフリッカー対策(フリッカーレス機能)のあるカメラを所有していなかった。だから、どうしても露出や色調にバラツキが生じてしまう……。

しかし、2月開催の試合は小学校最後の試合になるので、それに合わせてフリッカーレス撮影機能のあるカメラを買おうっ!! と、決意する。だが、その時点では、ニコンからフリッカーレス機能を搭載したカメラは発売されていない。

一方、キヤノンからは、EOS 7D Mark IIとEOS 8000Dの2機種が発売されていて、3月下旬にはEOS 80Dも発売される。

ボクはこれまでEOS 70Dを使ってきたので、できればEOS 80Dに買い替えたいが、残念ながら試合日には間に合わない。撮影ジャンルから判断するとEOS 7D Mark IIがベストチョイスだが、予算的にちょっと問題が……(苦笑)。

そういう訳で、EOS 7D Mark IIの約半値のリーズナブルなEOS 8000Dに買い替えた。

フリッカーレス撮影とは?

蛍光灯など人工照明の明るさのちらつきを「フリッカー」と呼ぶが、その影響による露出ムラを回避できる方法が「フリッカーレス撮影」である。

フリッカーの影響は高速シャッターで現れるので、シャッター速度を遅くすれば影響を回避できる。だが、その方法ではスポーツ撮影は行えない。

そんな室内スポーツに「フリッカーレス撮影」機能は非常に有効。カメラが人工光源の点滅周期を検知し、明るさや色合いへの影響が少ないタイミングにシャッターが切れるのだ。

ちなみにこの機能を初めて搭載したEOS シリーズはEOS 7D Mark IIである。

フリッカーレス撮影は、撮影メニューで設定できる。

機能設定メニュー内の「ファインダー内表示」で、フリッカー検知を「表示する」に設定。

そうすれば、フリッカーの影響が出る状況で、動作状況が表示される。フリッカーレス撮影「しない」で点滅、「する」で点灯だ。

フリッカーレス機能のないカメラで撮影

昨年秋に、フリッカーレス機能のない一眼レフで撮影したシーン(連続撮影の中の並びカット)。カットごとの明るさの変化(露出ムラ)にガッカリだよ……。

フリッカーレス撮影を試す!

購入したEOS 8000Dで試し撮りを敢行!

シャッター速度1/250秒で高速連続撮影してみた。これはフリッカーレス撮影を「しない」に設定。カットごとの色あいの変化が激しい。

フリッカーレス撮影「しない」で連写

こちらはフリッカーレス撮影を「する」に設定したもの。その機能の効果は一目瞭然!

フリッカーレス撮影「する」で連写

そして、本番となる試合で、フリッカーレス撮影機能を設定して撮影したシーンである。

EOS 8000D / EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM / シャッター速度優先AE / 1/250秒 / F5.6 / ±0EV / ISO5000 / WBオート
撮影データは上に同じ

これも連続撮影の中の並びカットだが、全編で明るさや色あいのムラのない良好な結果を得ることができた。フリッカーレス機能のないカメラで撮った時のような、サムネイル画面でのちぐはぐさにガッカリすることもない。これは精神衛生上も好ましい。

フリッカー対策はとても有効!

今回購入したEOS 8000Dは、これまで使用していたEOS 70Dよりもワンランク下の機種になる。ファインダー倍率・視野率、連写性能(速度、連続撮影可能枚数)、防塵防滴仕様ナシ……と、基本性能・仕様で見劣りする点も少なくない。

しかし、ミニバスの撮影を契機に、あらためて屋内照明のフリッカー現象の厄介さや、それを回避できるフリッカーレス撮影機能の有効性に気づかされた。そう、蛍光灯の点滅するタイミングなんて、自分じゃどうにもできないからねぇ。

なお、フリッカーレス撮影を「する」にすると、「レリーズタイムラグがわずかに長くなる」「連続撮影速度がやや遅くなる」「連続撮影間隔にバラつくことがある」といったデメリットも生じるらしい。

しかし、今回のミニバスの試合を含めて何度かフリッカーレス撮影を行ったが、そのデメリットを実感することはなかったことを付け加えておこう。

吉森信哉

(よしもりしんや)1962年広島県庄原市出身。東京写真専門学校を卒業後、フリー。1990年からカメラ誌を中心に撮影&執筆を開始。得意ジャンルは花や旅。1970年代はカラーネガ、1980年代はモノクロ、1990年代はリバーサル、そして2000年代はデジタル。…と、ほぼ10年周期で記録媒体が変化。でも、これから先はデジタル一直線!? 自他とも認める“無類のコンデジ好き”