前回、GXR MOUNT A12におけるコシナの「Biogon T* 2.8/25 ZM」の使い勝手を報告した。今回は、同じくコシナ「SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical II」との組み合わせについて報告したい。新品で買えるMマウントで「リコー純正A12カメラユニットにない画角を補う」シリーズの第2弾だ
GXR、GXR MOUNT A12、VF-2(EVF)、SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical IIのフル装備状態。比較的小振りなレンズなので、GXR MOUNT A12にマッチしていると思う |
SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical II(以下15mm F4.5 II)は、ライカMマウント互換のVMマウントを採用する超広角レンズ。GXR MOUNT A12で使用すると、焦点距離約22.5mm相当の画角が得られる。コシナの現行フォクトレンダー製品では、ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical II(以下12mm F5.6 II)に次ぐ短焦点のレンズになる。
Mマウントの広角レンズは高価だ。すぐに思い浮かぶのは、ホロゴン、スーパーアンギュロンといったレンズで、いずれも気軽に入手できないイメージが強い。それに比べるとコシナの15mm F4.5 IIは、定価で6万8,250円と安い。オールドレンズに比べるとステータス性は低いかもしれないが、焦点距離1.5倍相当の画角になってしまうGXR MOUNT A12で広角撮影を行なおうとすると、いま真っ先に候補に上がるレンズといえるだろう
フードは組み込み式。52mmのレンズフィルターが装着できる | 後玉が飛び出しているタイプだが、GXR MOUNT A12付属のレンズチェッカーは余裕でクリアした |
このレンズの前身である、Lマウント版(SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical。以下、旧15mm F4.5)を、エプソンR-D1で愛用していた時期がある。コンパクトで軽量、見た目もかわいらしくて気に入っていたが、とにかく周辺光量落ちの面積がものすごい。画面の3分の1は光量落ちではないかというくらいだったので、凡人の私には、使い道がなくて持て余し気味だった。
今回の15mm F4.5 IIは、15mm F4.5の光学系を引き継ぎながら、カメラボディ内蔵の距離計に対応させたレンズだ。GXR MOUNT A12で使うにあたり、距離計への連動は関係ない。しかし、あの激しい周辺光量落ちについては、使うまでどうなるか不安だった。
実際使ってみると、拍子抜けするほど四隅は明るい。正直これには驚いた。2004年発売のR-D1から約7年、技術はしっかり進化していたわけだ。
GXR MOUNT A12には「周辺光量補正」という機能が用意されており、最初はこの機能のお世話になることを考えていた。しかしほとんど気にならないので、±0でいくことにした。厳密にいえば、+1補正でほぼ解消する程度の周辺光量落ちはあるのだが、個人的には無補正でも気にならない。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
同じことは歪曲収差にもいえる。補正なしだとわずかにタル型の歪みが感じられるが、こちらもあえて「ディストーション補正」をかけるほどではない。せいぜい1段階目の「樽側-弱」で十分だ。
超広角レンズであり、しかもAPS-Cセンサーなので、いわゆるパンフォーカスでの撮影が基本となるだろう。GXR MOUNT A12と15mm F4.5 IIの場合、F5.6で撮影すると、だいたい2m強からが過焦点距離だ(許容錯乱円をどう設定するかにより変化)。そのため、フォーカスを合わせることなくサクサクと撮り進められるのが楽しい。
ただしGXR MOUNT A12は、フォーカスアシストや拡大表示が使いやすいので、画面を見ながらマニュアルフォーカスで合わすのもそれほど苦にならない。被写体が待ってくれるなら、慣れない目測で頑張るより、フォーカスアシストに頼り切るという判断もありだと思った。
画質にもびっくり。R-D1で旧15mm F4.5を使っていたときは、線が太くてシャープネスに乏しい描写という印象だった。しかし、GXR MOUNT A12だと見違えるほど解像感が高い。デフォルトだとシャープネスがきつく、彩度が高く感じられるので、JPEGで撮る場合はこの辺りを調整するのも良いと思う。
弱点があるとすれば、逆光気味に斜め上から光を入れると、条件によっては半円状のゴーストが出ることだろう。これは、ハレ切りを意識して行なうことで防げる。GXR MOUNT A12+15mm F4.5 IIは比較的軽く、片手にカメラ、片手でハレ切りもそれほど苦にならない。
見た目も小ぶりでかわいらしく、近距離の被写体も画面拡大とフォーカスアシストで何とかなる。自分としては、GXR MOUNT A12の常用レンズとして最有力候補だ。他のA12ユニットと一緒に小さなバッグで持ち出し、ぶらっと散歩に出かけるのにぴったりなレンズだと思う。
2011/11/16 00:00