気になるデジカメ長期リアルタイムレポート
ニコンD7100【第9回】
D800との快適な連係プレイ
Reported by 吉森信哉(2014/2/20 08:00)
同じレンズマウントで、APS-Cサイズのカメラだけでなく、35mm判フルサイズのカメラも使用している人は多いだろう。ボク自身も「D7100」を使いながら「D800」も使っている。そう、どちらかと言えばD800の方がメインカメラになる。別に「フルサイズだからメイン、APS-Cサイズだからサブ」と決めつけるわけではないが、自分は主に風景や草花などを撮影するので、連写性能や携帯性よりも描写性能を重視することが多い。そのため、フルサイズ機のD800をメインとして捉えているのである。
とはいえ、動物や乗り物(走る自動車や電車など)を撮ることも少なくないので、そういう場合には連写能力に優れるD7100の出番となる(D800は約4コマ/秒、D7100は約6コマ/秒。どちらも撮像範囲が最大の場合)。まあ、このD7100には、以前のレポートで指摘した“RAW+FINE設定時のデータ書き込み待ち”の問題はあるけどねぇ……。
D7100とD800を一緒に使う場合もある。その動機の多くは“レンズの違いによる画角変化を得る”という、ポピュラーな理由から。ちなみに、ニコンのFX(フルサイズ)機には「撮像範囲」設定の機能がある。だから、FXフォーマット(35mm判フルサイズ)からDXフォーマット(APS-Cサイズ)などに切り換えることで、同じレンズ(焦点距離)でも、より望遠の画角を得ることができる。
たとえば、D800のレンズキットにも指定されている高倍率ズーム「AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR」との組み合わせなら、広角28mmから超望遠450mmの画角までカバーできるのである。だが、状況が変化する撮影現場だと「撮像範囲」を頻繁に変えるのはけっこう面倒。ファインダー内に表示されるDXフォーマット範囲の枠も、倍率から言っても“快適な見え具合”とは言えないだろう。また、望遠側の画角は満足度が高いが、広角側の画角(広さ)には不満が残る。
そこで自分は、まずD7100ボディに「AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR」を装着して標準域から超望遠域までカバーする。そして、D800ボディに広角ズームの「AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VR」を装着して広角や超広角の撮影を行なうのである。この2台体制は、祭りや運動会などのイベント撮影などに向いていると思う。
さて、このメイン機とサブ機、使い分けたり両方を一緒に使ったりと、状況によって変わってくるだろうが、機種を選択する際にこだわりたいポイントがいくつかある。そのひとつに“基本的な操作性”がある。これがてんでバラバラだと、一緒に使う場合はもちろん、使い分ける場合にも少なからず混乱を招く。
D7100とD800の操作性を見比べると、撮影モードの選択方式が違う。D7100は基本露出モード(P、S、A、M)以外にシーン系の撮影モードも搭載しており、その関係で“ダイヤル選択方式”を採用している。
一方、D800はフラッグシップ機「D4」などと同様、基本露出モードしか搭載しておらず(だから、呼称も「撮影モード」ではなく「露出モード」である)、その選択は“MODEボタン+メインコマンドダイヤル”の操作で行なう。ただし、撮影モードの選択は「取っ掛りの機能」と言える部分ではあるが、操作のタイミングや頻度からみて、あまり混乱が生じる部分ではない(と思う)。
露出補正、メニュー&インフォ画面の構造(内容は一部違う)、AFモード&AFエリアモード、AFエリア数、ドライブモード、ライブビュー切り換え……といった主要機能に関しては、かなり共通している部分が多いので、2台を一緒に使用する際でも、けっこうスムーズに操作することができる。
WB(ホワイトバランス)、BKT(ブラケット)、ISOのボタン位置は大きく異なるが、自分の場合はWBやISOは「マイメニュー」に登録してそこから設定することが多いので、これらに関しても混乱することは少ない。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
年が明けて間もない1月3日、ボクはこのD800+AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VRとD7100+AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VRの2セットを持って、日帰りで撮影旅行に出かけた(実家のある広島県の山間部から岡山県にかけて)。
当然、携帯性を考えると、ボディは1台の方がいい。広角重視ならD800を選び、望遠重視ならD7100を選ぶ……という具合に。
だけど、この撮影旅行の移動手段は自家用車だったので、携帯性はあまり考えなくてもいいケース。ということで、より広い画角をカバーする目的と同時に、レンズ交換や記録メディアの入れ替えの手間を省く意味でも、D800とD7100の2台体制で臨んだ。撮影総カット数は同じでも、ボディが複数なら“片方の記録メディアがフルになる”タイミングは遅らせられるからね。
ボクの場合、一般的な撮影(前述の風景や草花など)だと、レンズは望遠よりも広角の方を多用する。そのため、D800には32GBのCFとSDHCメモリーカードを挿入し(合計64GB)、D7100には16GBのSDHCメモリーカードを2枚挿入した(合計32GB)。そう、D800とD7100はどちらもダブルスロットなので、極端に大容量な記録メディアでなくても、かなりの枚数を撮影できる。そして、使用バッテリーが同じ「EN-EL15」という点も、コンビを組む上での好条件となる。
D7100の方を「DXフォーマットで使うか? 対DX1.3×クロップを使用するか?」は、被写体や撮影状況によって変わってくるが、「D800+AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VR」のような広角セットと2台体制で臨むのは、思った以上に効率的で快適だった。
また、D7100とD800のどちらか一方を使う際にも、撮像素子のフォーマットの違いに注目しつつ、それぞれに搭載された「撮像範囲」設定の機能も駆使したい。同じレンズで望遠効果を高めたり、DX専用レンズをFX機で使用したり……といった撮影が堪能できるからだ。このように撮影バリエーションが拡大できるのも、ニコンDシリーズの魅力の1つなのだから。