交換レンズレビュー

タムロン 25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2(Model A075)

幅広い対応力の「25mmF2.8」スタート 進化を見せる高倍率ズームレンズを試す

タムロンが意欲的な製品をラインアップに加えてきた。「25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2」(Model A075)だ。ソニーEマウント用、フルサイズ対応の高倍率ズームレンズになる。

同社には「28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD」(Model A071)という人気モデルが存在するが、本レンズは単なるG2(第2世代)モデルへのアップデートにとどまらない。「広角端25mmスタート」という大きな進化を遂げている。

高倍率ズームにおいて、ワイド側の数mmの違いは撮影体験を大きく左右する。従来の28mmでは捉えきれなかった風景の広がりや、室内での引きのなさを、25mmがカバーしてくれる意義は大きい。

しかも、広角端の開放F値はF2.8を維持。AF駆動系には従来のRXDに代わり、高速・高精度なリニアモーターフォーカス機構「VXD(Voice-coil eXtreme-torque Drive)」を採用。G2モデルとして鏡筒の質感や操作性も向上しており、まさに全方位に進化した1本と言える。この「1本で何でも撮れる」を高いレベルで実現しようとするレンズの実力を、ソニーα7R Vとの組み合わせで試した。

デザインと操作性

外観は、近年のタムロンG2レンズ群に共通する、光沢感を増したブラック塗装が特徴だ。傷が付きにくいメリットもあり、質感も高く、高級感が向上している。

外形寸法φ76.2×121.5mm、質量575g。25mmスタートながら、サイズアップは最小限に抑えられている。α7系のボディともバランスは良好だ。

ズームリング、フォーカスリングともに適度なトルク感があり、スムーズな操作が可能。ズームロック機構も備えている。

広角端
望遠端

操作性の面では、専用ソフトウェア「TAMRON Lens Utility」を介して、PCやスマートフォン(別売のTAMRON Connection Cableが必要)から機能のカスタマイズが可能だ。フォーカスセットボタンにAF/MF切り替えなどを割り当てられ、動画撮影にも配慮した機能をアサインできる。

またフィルター径は、タムロンのEマウント用フルサイズミラーレスレンズの多くと共通のφ67mmを堅持。NDフィルターやPLフィルターを使い回せるメリットは非常に大きい。

付属する花形フードを装着

実写インプレッション

高倍率ズームというと、どこか描写に妥協が必要というイメージがあったが、本レンズはその懸念を払拭してくれる写りを見せてくれた。操作感もよく携行性も高いので、旅行や移動の多い撮影で活躍する1本になっている。

広角端
ソニー α7R V/25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2/25mm/マニュアル露出(1/250秒、F8.0)/ISO 100
ソニー α7R V/25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2/200mm/マニュアル露出(1/250秒、F8.0)/ISO 100

ちなみに、広角端の絞り開放での周辺光量落ちはこんな具合だ。

ソニー α7R V/25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2/25mm/マニュアル露出(1/200秒、F2.8)/ISO 100

望遠端200mmの絞り開放F5.6でも、解像感は十分だ。カリカリにシャープすぎず、適度な柔らかさも感じさせるため、ポートレート撮影にも向いている。

ソニー α7R V/25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2/200mm/マニュアル露出(1/250秒、F5.6)/ISO 320

広角端25mm、そして開放F2.8というスペックは想像以上にアドバンテージがある。ナイトシーンはもちろん一般的な風景撮影でも有効だろう。

ソニー α7R V/25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2/25mm/マニュアル露出(1/30秒、F2.8)/ISO 2500

たえず動く馬の目にジャストフォーカス。VXDは優秀である。写し撮られた毛並みの描写も良い。シャープすぎずソフトすぎず、どちらかというと優しい雰囲気である。

ソニー α7R V/25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2/157mm/マニュアル露出(1/160秒、F5.6)/ISO 500

望遠端でのきめ細かい写りが気に入った。木々の葉や水面の描写が良い。ハイライト部とシャドウ部の粘りも良い感じだ。

ソニー α7R V/25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2/200mm/マニュアル露出(1/250秒、F8.0)/ISO 200

逆光で透ける葉脈がしっかりと写し撮られている。ボケ感もまずまずで整った印象を受けた。

ソニー α7R V/25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2/200mm/マニュアル露出(1/250秒、F8.0)/ISO 200

広角端で太陽をフレーム内に入れてα7R Vのシャッターを切ったが、BBAR-G2(Broad-Band Anti-Reflection Generation 2)コーティングがクリアなカットを提供してくれた。

ソニー α7R V/25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2/25mm/マニュアル露出(1/640秒、F8.0)/ISO 100

広角端25mmにおける最短撮影距離0.16mという近接撮影能力は魅力だ。広々とした画角と大きく豊かなボケ味を楽しむことが可能だからだ。手前の小さい招き猫に接近してフォーカスし、F2.8で背景をググッとぼかしてイメージどおりのカットを撮ることができた。

ソニー α7R V/25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2/25mm/マニュアル露出(1/50秒、F2.8)/ISO 100

まとめ

このレンズは従来の高倍率ズームの常識を打ち破る「25mm F2.8スタート」というスペックを実現した魅力的なレンズだ。これまでの28mmスタートでは諦めていた風景や建築物、狭い室内での撮影を可能にし、広角端F2.8の明るさが表現の幅を広げてくれる。

またVXDによる高速なAFで、静止画・動画を問わず、あらゆるシーンでの撮影体験が向上した。描写性能もG2クオリティにふさわしく、妥協を感じさせないレベルにある。

25mmの広角から200mmの望遠までを1本でこなし、しかも広角側はF2.8。旅行、スナップ、家族写真、そしてVlog制作まで、機材を最小限にして最高の結果を求めるフォトグラファーやクリエイターにとって、これ以上ない「究極のパートナー」となるだろう。

1966年神奈川県生まれ。新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナー、コンサルティングなどで活躍中。有限会社サスラウ代表。著書にはiPhoneで撮影した写真集「iPhonegrapherー写真を撮り、歩き続けるための80の言葉(雷鳥社)」「iPhone フォトグラフィックメソッド(翔泳社)」などがある。公式サイト:http://www.sasurau.com