交換レンズ実写ギャラリー

ソニーE 35mm F1.8 OSS

NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約4.6MB / 4,000×6,000 / 1/40秒 / F1.8 / +2.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm(モデル:夏弥

 「E 35mm F1.8 OSS」は、NEXシリーズ用のEマウントに準拠した単焦点レンズである。APS-Cサイズ専用のレンズなので画角は35mm判換算で52.5mm相当となり、標準域のレンズということになる。開放絞り値はF1.8と明るく、いわゆる大口径レンズの類いだ。レンズ構成は6群8枚で、レンズ内手ブレ補正機構も搭載されている。

発売は2012年12月。実勢価格は4万4,800円前後

 大きさは最大径で63mm、全長は45mmとコンパクト。質量も150g程度と軽量だ。今回撮影に使用したNEX-7との組み合わせでは、とてもシンプルでソリッドな印象の見た目となる。NEXシリーズの持つイメージに沿った洗練されたデザインだ。

 標準域の大口径レンズとなれば、やはりポートレートレンズとしての期待が膨らむ。

 開放F1.8での描写はその期待を裏切ることのない柔らかなものだ。浅い被写界深度のなかに浮かぶ人物の目元など、フォーカスの合った箇所の解像感は十分でありながらもカリカリということもない。むしろ、若干のハロが現れているかのような柔らかさがインフォーカスからアウトフォーカスにかけての自然な溶け込みを演出してくれる。それにより背景のボケも、どこか水彩画が滲んでいくような優しいボケとして表現されている。

 一方、F4~F8に絞り込んで撮影すると、深くなっていく被写界深度とともに被写体の輪郭をきっちりと解像してくれる。中遠景の被写体では画面全域が均一な描写となり安定感が増す。また、最短撮影距離近くまで近づきシャッターを切るようなクローズアップ撮影では、主体となる被写体をきっちりとした輪郭を描写しつつ、雑味のない前後のボケとして表現できる。

 このように描写というものを数値で表現するのではなく、表現目的に沿うように選択肢を提供してくれるレンズは、最近の製品としては希有な存在だと思う。それでいて強めの逆光や光源が直接画面内に入るようなシーンであっても、フレアをうまく抑制していることにレンズ設計のレベルの高さを感じ取れる。

 オールドレンズのような柔らかな描写を楽しみながらも、最新のハイクオリティなレンズ性能を活かした撮影が可能な、ちょっと欲張りなレンズといえるだろう。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約4.6MB / 6,000×4,000 / 1/400秒 / F1.8 / +1.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約5MB / 4,000×6,000 / 1/2,000秒 / F1.8 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約10.7MB / 4,000×6,000 / 1/1,250秒 / F5.6 / +2.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約5.2MB / 4,000×6,000 / 1/2,000秒 / F1.8 / +1.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約4MB / 6,000×4,000 / 1/1,250秒 / F2.8 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約3.8MB / 4,000×6,000 / 1/50秒 / F2.8 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約3.8MB / 6,000×4,000 / 1/50秒 / F2.8 / +1.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約3.9MB / 6,000×4,000 / 1/4,000秒 / F1.8 / +1.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約5.6MB / 4,000×6,000 / 1/4,000秒 / F1.8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約8.5MB / 4,000×6,000 / 1/100秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約4.9MB / 4,000×6,000 / 1/160秒 / F4 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約5.5MB / 4,000×6,000 / 1/60秒 / F1.8 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約4.9MB / 4,000×6,000 / 1/320秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
NEX-7 / E 35mm F1.8 OSS / 約4.8MB / 6,000×4,000 / 1/60秒 / F5.6 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm

礒村浩一

(いそむらこういち)1967年福岡県生まれ。東京写真専門学校(現ビジュアルアーツ)卒。広告プロダクションを経たのちに独立。人物ポートレートから商品、建築、舞台、風景など幅広く撮影。撮影に関するセミナーやワークショップの講師としても全国に赴く。近著「マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド(玄光社)」「今すぐ使えるかんたんmini オリンパスOM-D E-M10基本&応用撮影ガイド(技術評論社)」Webサイトはisopy.jp Twitter ID:k_isopy