コシナ「SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical II」

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by 河田一規

M8 / 約7.6MB / 2,634×3,916 / 1/360秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オート


ライカM8ブラックに装着。ファインダーはライカの21mm用を使用。フードは固定式

 SUPER WIDE-HELIAR(スーパーワイドヘリアー) 15mm F4.5 Aspherical II(以下、SWH 15mm II)は、フルサイズ時の画角が110度という超広角レンズ。10年前の1999年に発売されたライカスクリューマウント(Lマウント)のSUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical(以下、初代SWH 15mm)と光学系は同じだが、鏡胴が大幅にリニューアルされている。

 初代SWH 15mmは目測でのピント合わせを前提としていたため、距離計には非連動だったが、SWH 15mm IIでは距離計連動カムが内蔵され、∞〜0.7mの範囲でカメラ側のレンジファインダーと連動するようになった。絞り開放でも被写界深度は十分に深いレンズのため、基本的には目測使用でもそれほど問題はなかったが、やはり距離計連動というのは確実性の面で安心感があるのは事実だ。ただし、初代SWH 15mmでは0.3mだった最短撮影距離が0.5mと遠くなってしまったのはちょっと残念。

 マウントも変更された。初代SWH 15mmではライカスクリューマウントだったが、SWH 15mm IIではライカMマウントと互換性のあるVMマウントになり、現行BESSA各機や、M型ライカ、エプソンR-D1などではMLマウントアダプターを介することなく、直接装着することが可能になった。当然、ライカIIIG以前のバルナック型ライカやBESSA-Lなどのスクリューマウントボディには装着できなくなったわけだが、しばらくは初代SWH15mmも併売されるようだ。

 また、初代SWH15mmではフィルターが装着できなかったが、SWH 15mm IIでは52mmのフィルターが装着できるようになったのも大きな改良点だろう。こうしたもろもろの変更により鏡胴はやや大型化され、重さも105gから156gへと増えたが、それでも絶対的にはとても小型軽量なレンズである。

 写りは実にシャープかつクリアで、歪曲収差も非常に少ない。10年前の光学系をそのまま踏襲ということで、デジタルではもしかするとコントラストが低く感じるのでは? と思ったが、それは杞憂に過ぎなかったようで、非常に現代的な写りを得られる。今回はM8と組み合わせたので画角的にはフルサイズ換算で約20mm相当となる。この状態でも周辺光量の低下は確実にあるが、思ったほどドラスティックではなかった。フルサイズのM9ではどうだろうか。

 デザインは個人的にはかなりカッコいいと思う。鏡胴はくびれがセクシーだし、新しいフードの形状もメカっぽくてクール。M8やM9との相性ももちろんいいけれど、マウントアダプターを介してマイクロフォーサーズ機に装着したときの視覚的なバランスもかなり良好だ。試しにオリンパスPEN E-P1にも装着してみたが、とてもよく似合っていた。レンジファインダーユーザーだけでなく、マイクロフォーサーズユーザーも注目の1本だ。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
  • 作例の撮影はすべてライカM8を使用。RAWモードで撮影し、Capture Oneでストレート現像およびJPEG保存しています。


M8 / 約7.4MB / 2,634×3,916 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オートM8 / 約8.2MB / 2,634×3,916 / 1/1,502秒 / F5.6 / 0EV / ISO160 / WB:オート
M8 / 約10.6MB / 2,634×3,916 / 1/180秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オートM8 / 約10.4MB / 2,634×3,916 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オート
M8 / 約12.0MB / 3916x2634 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オートM8 / 約7.1MB / 3916x2634 / 1/1502秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オート
M8 / 約6.9MB / 2,634×3,916 / 1/750秒 / F5.6 / 0EV / ISO160 / WB:オートM8 / 約6.8MB / 2,634×3,916 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オート
M8 / 約6.8MB / 2,634×3,916 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オートM8 / 約6.6MB / 2,634×3,916 / 1/750秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オート
M8 / 約7.7MB / 3916x2634 / 1/750秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オートM8 / 約8.3MB / 2,634×3,916 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オート


M8 / 約6.4MB / 3916x2634 / 1/180秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オート







河田一規
(かわだ かずのり)1961年、神奈川県横浜市生まれ。結婚式場のスタッフカメラマン、写真家助手を経て1997年よりフリー。雑誌等での人物撮影の他、写真雑誌にハウツー記事、カメラ・レンズのレビュー記事を執筆中。クラカメからデジタルまでカメラなら何でも好き。最初に買ったデジカメはソニーのDSC-F1。

2009/9/30 00:00