交換レンズ実写ギャラリー
オリンパスM.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II
Reported by 礒村浩一(2013/7/29 08:10)
オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II」は35mm判換算にして150-600mm相当という、望遠域を幅広くカバーするマイクロフォーサーズカメラ専用の望遠ズームレンズである。それでいてレンズのサイズはとてもコンパクトで、ぱっと見た程度ではこのレンズが600mm相当という超望遠レンズとは思えない。まさしくマイクロフォーサーズならではのレンズだといえる。
本レンズは、2010年12月に発売された「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7」のリニューアル版となる。レンズ構成はスーパーEDレンズ1枚、EDレンズ2枚、HR(高屈折率)レンズ3枚を含む13群18枚と、旧レンズのものをそのまま継承している。
ただし、この新型レンズには「ZEROコーティング」(Zuiko Extra-low Reflection Optical)と呼ばれるレンズコーティングが採用されており、ゴーストやフレアといった画質劣化に繋がる要素がより抑えられている。そのおかげで撮影画像は全体にクリアとなり特に晴天時の逆光における撮影でも、ハイライト部が滲むことなく、またシャドウ部の締まりも良い。夜景や夕景において直接光源をレンズに入れての撮影であってもゴーストの発生が抑えられているので、積極的に光源を構図に取り込んだ撮影が行なえる。
レンズ鏡筒のデザインが一新されているのも新型の特徴だ。旧型レンズではズームリングの滑り止めパターンがシンプルな直線で構成されていたが、この新型レンズではダイヤモンドパターンに変更された。また旧型はそれまでのオリンパスのPENシリーズとの組み合せを念頭にデザインされたものであったが、今回の新型レンズのデザインは、OM-Dとの組み合せをイメージしてデザインされたという。カラーバリエーションはブラックのみだ。
最大の特徴は、やはり最大600mm相当の超望遠ズームレンズであるということだ。600mmという超望遠域ともなれば、一般的な使用においては大概のものを大きく撮影することができる。動物園の動物や運動会の子供など柵の中に入れないシチュエーションをはじめ、鳥や飛行機などの近づいて撮影することが難しい被写体を離れた位置から捉えることも容易となる。
また背景をぼかして人物を浮き上がらせるポートレート撮影や、強烈な圧縮効果を活かし遠景を大きく見せるといった撮影にも良い。一般的な望遠撮影によく使う150mm相当という焦点距離から使用することができるのも嬉しい点だ。
さらに最短撮影距離も1.5m(75mm以外。75mm時は0.9m)と短いのでテレマクロ的な撮影が可能なのも嬉しい。それだけに手ブレが気になるところだが、E-M5やE-P5に搭載された5軸対応の強力な手ブレ補正機構と組み合わせることで手ブレを最小に抑えることができる。またハイスピードイメージャーAF(MSC)にも対応しているので、動きの激しい被写体でも十分にAF撮影が可能だ。
これだけの超望遠レンズが最大径69mm、全長116.5mm、質量423gというサイズで収まってしまうのは驚くべきことだ。これぞ撮影時の焦点距離が実焦点距離の2倍となるマイクロフォーサーズの利点といえるだろう。開放絞り値が若干暗めとはなるが、最近のマイクロフォーサーズ機は高感度特性も飛躍的に向上しているので、ISO感度を1~2段上げることでシャッタースピードを落とす事無く撮影することができるだろう。
このようなレンズが日常的に使用できるサイズで、また超望遠レンズとして比較的手にしやすい価格で登場したことは非常に嬉しいことだといえる。少し前までは一般家庭に600mmレンズがあるといった時代が来るとは正直思ってもいなかった。デジタルカメラでの撮影がますます楽しくなる、そんなレンズだといえるだろう。
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