デジカメアイテム丼
往年の名フィルムをデジタルで再現!
DxO FilmPack 4
Reported by 本誌:武石修(2014/8/25 11:00)
今回は、銀塩フィルムのテイストを再現することができるソフト「DxO FilmPack 4」(ソフトウェア・トゥー扱い)を紹介する。
DxO FilmPack 4は、汎用RAW現像ソフト「Optics Pro」で知られる仏DxOが開発したソフトだ。実際のフィルムの写りをシミュレートできるほか、さまざまなエフェクトを適用できる。特にレトロ系のエフェクトに強いのが特徴となっている。
現行のFilmPack 4では、65種類のプリセットとエフェクトが新たに加わった。また、テクスチャ、光漏れ、ブラーヴィネット、フレームといった機能も追加され、より多彩な作風に加工できるようになっている。
FilmPack 4にはエキスパート版と機能を制限したエッセンシャル版があり、テクスチャ、光漏れ、ブラーヴィネット、フレームなどはエキスパート版でのみ使える。今回のレビューはエキスパート版を使用した。
まずは、基本となる銀塩フィルムのシミュレーションを試した。ポジフィルム26種類、ネガフィルム13種類、モノクロフィルム27種類が収録されている。以下はその一例だ。
DxOでは、実際のフィルムを元にカラーキャリブレーションと粒子の測定を行ったとのことだ。それなりに各フィルムの特徴を捉えたテイストになっているのではないだろうか。粒子感もよく表現されている。
すでに入手できないフィルムが多い中、往年の名フィルムの味わいを楽しめるのが嬉しい。
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さて次は、デザイナーズ・プリセットの紹介だ。これは今回加わったテクスチャ、光漏れ、フレームと言った機能を含めて作られたプリセットだ。39種類あり、「60年代の写真」、「ガラス板」、「ロー・ファイ」、「1900年代の写真」といったわかりやすい名称で登録されている。
これらは、ワンクリックで手軽にいろいろな効果を適用できる。自分が撮った写真がまったく違って見えるのがおもしろい。
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このようにデザイナーズ・プリセットだけでもかなり楽しめるが、FilmPack 4の醍醐味はマニュアルでパラメーターを設定していき、自分だけのオリジナルテイストを作れることだろう。
マニュアルで設定するといっても操作に難しいところは無く、ベースとなるフィルムの種類を選んだら、画面右の設定パネルにある項目を上から順番に設定していけば完成するようにできている。
クリエイティブヴィネットでは周辺減光を設定でき、トイカメラのような減光も再現できる。クリエイティブブラーヴィネットでは、写真の周りをぼかすことで、被写界深度の浅い描写が作れる。いずれの効果も中心点の位置は変更可能。
テクスチャでは、紙の質感、傷、しみといった効果を付加できる。どちらかというとダメージ系の効果が多い。
光漏れでは、フィルムの光線漏れをシミュレーションできる。さまざまなパターンから選べるので、テクスチャの設定と組み合わせることで、よりレトロ感の高い作風にすることができる。
最後の設定はフレームだ。一般的な白/黒枠のほか、フィルムのパーフォレーション、インスタントカメラの枠、古いプリントの枠などがある。
下記は、筆者がマニュアル設定で効果を適用した例だ。少し試しただけだが、多彩なエフェクトを作り出すことができた。なお、今回は使用しなかったが、トーンカーブやチャンネルミックスなどの編集機能も備えている。
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スマートフォンではInstagramなどレトロなエフェクトが使えるアプリが流行し、デジカメもさまざまなエフェクトを搭載するようになってきた。
しかし、FilmPack 4を使えばデジカメのエフェクトよりも多彩で個性の強い効果をアイデア次第でいろいろと適用できるのが強みだ。とりわけレトロ系のエフェクトには強いと言えそうだ。
さっそく使ってみたいと思った人は、1カ月試用できるデモ版が用意されているので、ダウンロードしてみてはいかがだろうか。「あーでもない、こーでもない」と試していると、時間を忘れる楽しさがある。