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ハクバGW-PRO BACK PACK

〜ユニークなギミックが特徴のプロ仕様バックパック

 ハクバはこれまで「GW-PRO」シリーズとして、ショルダーバッグとカメラホルスターを発売している。いずれもカメラマンにとって最適な仕様となるように作り上げた製品として、同社のフラグシップに位置している。

 今回、同シリーズの新製品として発売される「GW-PRO BACK PACK」は、そのコンセプトを引き継ぎ、細かいこだわりを詰め込んだバックパックタイプのカメラバッグだ。

見た目も素材もプロ仕様

 GW-PRO BACK PACKは、大容量なバックパックタイプのカメラバッグだ。外装生地は1680デニールナイロンという耐久性に優れた素材を採用しており、生地の縁もしっかりと縁取りがなされている。これらは同じくGW-PROシリーズのショルダーバッグと同じ素材で、擦れによる摩耗などにも強く、また撥水性も備えている。

 カラーはブラックのみで見た目、素材感ともにプロ向けカメラバッグの趣をそのままバックパックにしたという印象だ。

 まずはバッグ内に機材を入れず空の状態で背負ってみた。バッグの大まかな外寸は高さ50cm、幅30cm、厚み27cm程度となり、バックパックとしては大きい部類に入るだろう。しかし背負った印象はとても軽く、また背中に接する部材も柔らかく大型のバッグには思えないほどだ。

 次にカメラ機材をほぼ満タンに詰め込んで背負ってみたところ、もちろん機材分の重みを感じはするが、意外なほどに苦にならないレベルだ。幅広で厚みのあるショルダーベルトのおかげで肩への圧が分散されているのが判る。ショルダーベルトをきっちりと体に合わせ、またウエストベルトも正しく締めることで荷重を均等にすることができる。

バッグを背負ったところ。背中のほぼ全面を覆うほどの大きさ。厚みもかなりあることから大容量であることがわかる。
背当て部。背当て、腰当てに厚みのあるクッションと幅と厚みのあるショルダーベルトのおかげで体にしっかりとフィットする構造だ。
ウエストベルトは根元からバックルで簡単に取り外すことができる。必要に応じて付け外しできるのは嬉しい。

限られたスペースを効率よく活かした構造

 バッグ内の構造は、背当て側から大きく開口するメイン気室とバッグ表面から大きく開く前部気室、メイン気室につながる上部気室の3気室構成となる。

 メイン気室には中心部を支える背骨役の2枚の硬質な仕切り板があり、それに加えて可動式の柔らかい仕切り板が付属している。上部気室からはレンズを装着したままでカメラを収納できるようになっている。

メイン気室にはバッグの背当て側を大きく開いてエントリーする。中心にある背骨役の2枚の硬質な仕切り板がバッグの構造を保つ背骨の役割を持つ。これも含めすべての仕切り板は取り外し可能。
横板となる仕切り板は面テープでバッグ内壁と背骨仕切り板に固定する。張りつけ面は3面となっており、より安定した固定が可能だ。バッグを背負った際にも下向き加重を受けての緩みが起き難い構造だ。
メイン気室にカメラ機材を入れたところ。上部気室からカメラに70-200mm望遠ズームレンズを装着したカメラを差し込める。その他にレンズ6〜7本程度を収納可能。広角ズームレンズ、標準ズームレンズ、単焦点レンズ、マクロレンズ等と一通りの機材を収納できる容量。
背当て部の腰当ての部位がそのまま小窓のように開きメイン気室の下部にエントリーできる。背当て前面を開くことなく、ちょっとしたものを取り出すといった場合に便利。
メイン気室の蓋の内側に用意された面テープ付きの布状のもの。実はメイン気室の下部の仕切り板に貼付けることで、腰当て部を開いた際に、上部から小物などが転がり落ちないようにと蓋の役割となる。一見すると不思議な機能だが、歩行時にちょっと背中からバッグを下ろしたまま、立てた状態で使用するような状況では、中身が転がらない内蓋となるのでなかなか気の利いたアイデアである。
バッグ上部の蓋を開けてメイン気室へとつながる上部気室にレンズを装着したままのカメラを差し込む。バッテリーグリップ付きのカメラでも余裕で収納。実はこのバッテリーグリップ幅分の広がりがそのまま前部気室分の容量となっている。無駄のない構造だ。
バッテリーグリップを装着していないカメラを収納する際には、付属のスタビライザー役の仕切り板で固定することで安定した収納が可能。
上部気室の蓋はシッパーで固定する内蓋とバックルで固定するアウターの二重構造。アウター生地は撥水効果があるので、多少の雨なら水が内蓋のシッパー部より染み込むのを防いでくれる。
上部アウター蓋には小物を入れられるポケットがある。ポケットの内側は伸縮性のあるメッシュ生地。
バッグ表面から大きく開く前部気室には13型ノートPCやiPadなどのタブレットPCが収納可能。ただしクッションは薄いのであらかじめケースなどで保護した上で収納した方がよいだろう。尚、上部の段差は上部気室に収まるカメラのバッテリーグリップ部分の厚み。
前部気室は蓋のふくらみに余裕があるので、雨具や着替えなどかさばる荷物を収納することもできる。容量もそこそこ大きいので携行食などを持ち歩く山歩きなどにも便利。
バッグの両サイドにはフラップ式のポケットが用意されている。メッシュポケット付きなので、メディアケースや手帖、地図や携帯電話などを収納するのに便利。
バッグ前面蓋の下部にあるポケットの内部は防水生地となっており、濡れたものを入れておいても水が染出ないようになっている。
バッグ前面蓋には固定式のループと面テープで開放できるループがある。固定式ループにはカラビナなどを固定したり、開放式のループには小さなポケットバッグを固定したりすることもできる。
バッグ底面は防水生地となっているので、湿った地面にバッグを置いても水が染み込むこともない。上面下部にあるループテープは一脚や山歩き用のストックなどの先端を絡ませて固定することができる。その際には上部の開放式ループテープに一脚やストックの本体を固定するとよい。
バッグ上面には伸縮性のドローコードがある。歩きながら脱いだ上着など衣類や寝袋などをここに固定すると便利。
三脚を固定する際には蓋下部にある脚受けを引き出してバッグの蓋に用意されたストラップとバッグ本体に用意されたストラップで固定。
三脚の固定にはバッグの蓋に用意されたストラップとバッグ本体に用意されたストラップで二重に固定。まず蓋にストラップで固定したうえで、バッグ本体のストラップでさらに蓋ごとバッグ本体に引き寄せる。これによって蓋のふくらみによる遊びによってフラつくことなく、また三脚の重みでバッグ全体の重心が後ろに偏ってしまうことを防ぐことができるのだ。
三脚を固定したところ。横から見ると重心が偏っていないことが判る。

撮影シーンを選ばない

 このバックパックの使い勝手の良さは、実際に機材を入れて持ち歩くほどに段々と伝わってくる。必要十分を越えるほどの機材収納力を持ちながら、安定した重心によって背負い歩く者の疲れを最小限にとどめてくれる。

 また強靭な生地を採用したことで多少の擦れでも傷むこともない。撥水性があるのもプロ仕様として必須条件だ。本格的な雨などの際には別売りのレインカバーを使用する必要があるが、小雨や雪程度の湿りならばまず問題ないだろう。見た目がそれほど「アウトドアっぽく」ない点も街での使用時などに目立たなくてよい。

 様々なアドバンテージを持つGW-PRO BACK PACKは、プロ仕様の品質をクリアするバックパックタイプのカメラバッグとして、数少ないモデルのひとつといえるだろう。

(協力:ハクバ写真産業株式会社)

礒村浩一

(いそむらこういち)1967年福岡県生まれ。東京写真専門学校(現ビジュアルアーツ)卒。広告プロダクションを経たのちに独立。人物ポートレートから商品、建築、舞台、風景など幅広く撮影。撮影に関するセミナーやワークショップの講師としても全国に赴く。近著「マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド(玄光社)」「今すぐ使えるかんたんmini オリンパスOM-D E-M10基本&応用撮影ガイド(技術評論社)」Webサイトはisopy.jp Twitter ID:k_isopy