スマートフォンとの連携が可能になる無線LAN搭載型メモリーカードに、新しい製品が登場した。PQI Japanの「PQI Air Card」は、SDメモリーカードを拡張した既存のFlashAirなどと異なり、microSD→SD変換アダプターに無線LAN機能を搭載するという、一風変わったアプローチをとるのが特徴だ。
最大の特徴は、所有するmicroSDカードを使い回せることだろう。その場合、4,000円前後で購入できるアダプターだけを調達すれば良いわけだ。Android端末の普及により、microSD系メディアが手元に余っている人は多いと思う。そういう人にはうってつけのソリューションといえる。
価格はオープン。店頭予想価格は、アダプターのみの「6W21-0000R1」が3,980円前後。他に、16GBのmicroSDHCカードが付属する「6W25-016GR1」が4,980円前後、32GBのmicroSDHCカードが付属する「6W25-032GR1」が6,980円前後となっている。付属のmicroSDHCカードはいずれもClass10。
デジタルカメラでの使用は簡単だ。PQI Air CardにmicroSD系メディアを挿入し、デジタルカメラのSDメモリーカードスロットにセットする。この状態で電源を入れるとAir Cardがアクセスポイントとなり、スマートフォンからAir Card内の画像が確認できるようになる。
iPhone 4S(iOS 6)でPQI Air Cardに接続したところ。SSIDは変更できる |
画像の確認方法は、専用アプリ「AirCard+」を使う方法と、スマートフォン側のWebブラウザを使う方法がある。どちらもおおまかな手順は同じだ。Air Cardを入れたデジタルカメラの電源が入っている状態で、スマートフォンからAir Cardの無線LANにつなぐ。その後、専用アプリまたはブラウザ(URLは192.168.1.1/)を立ち上げると、Air Cardの中身がサムネイルで表示される。
専用アプリ「AirCard+」。無料でダウンロードできる(画像はiOS用) |
専用アプリでのサムネイル表示。もちろん全画面表示も可能 |
サムネイル表示で右上のアイコンをタップすると、画像の複数選択が可能になる。ただし筆者の環境では上手くダウンロードできなかった(Ver.1.6.3を使用) |
専用アプリからメールでの転送が可能。リサイズして送信できる |
ただしここで気になるのは、アプリ、ブラウザともサムネイルが表示されるまで時間がかかること。特にメモリーカードに大量の画像を貯めている場合、目的の画像が表示されるまでの時間がかかる。撮影画像をこまめにPCなどに退避させている人なら問題ないが、ひとつのメディアに貯め込みがちなユーザーには、今のところお勧めしづらい。
その代わり、画像そのものの転送時間は結構速い。今回は主に有効2,020万画素のソニーサイバーショットDSC-RX100で試用したが、iPhone 4Sへの転送は平均して2〜3秒で終了した(ブラウザでダウンロードした場合)。もちろん、画像サイズを1,000万画素や500万画素に落とせば、もっと高速に転送できる。
なお、専用アプリとブラウザの一番の違いは、専用アプリのみ複数画像の一括ダウンロードができることだ。
対応する静止画および動画フォーマットは、iOSがJPEG、PING、MP4、MOV。AndroidがJPEG、PNG、BMP、GIF、MP4、3GPとなっている。その他、音声ファイルの送受信にも対応している。
こちらはブラウザからアクセスしたところ。タブレット端末を想定しているようで、iPhone 4Sではピンチで拡大しないと使いづらい |
サムネイル下のDownloadをタップすると、デバイスへの保存が始まる | 等倍での表示も可能 |
試用中に意外だったのは、記録速度の速さだ。microSDでかつアダプター経由ともなると、速度面で不利なのは確か。しかし実際には、DSC-RX100のJPEG(2,020万画素)でも、記録を待たされることはなかった。使用したのは6W25-016GR1に付属する16GBで、表記通りClass10だけのことはある。microSD=遅いという認識は、そろそろ改めなければならないようだ。
なお、OLYMPUS Tought TG-1でFlashAirを使った場合、GPSロガーをONにするとFlashAirの無線LANが起動しない。おそらく電圧が足りないためと推測される。一方PQI Air Cardでは、GPSロガーONのままでも問題なく使えた。
アプリ、ブラウザのどちらからでもSSIDやパスワードの設定が可能。WPA2に準拠している |
アプリやブラウザにまだ荒い部分が残っているものの、転送自体は安定しており、WPA2に対応しているのでセキュリティが気になる人には安心感が高い。何よりも、使用していないmicroSDを流用できるというコンセプトは面白く、デバイスによってmicroSDを入れ替えて使うといった運用も可能だ。
今後はmicroSDの高速化と大容量化は必至なので、この製品を機に、コンパクトデジカメ用のメインのメディアを、SDからmicroSDへと切り替えていくのも面白いかもしれないと思った。
2012年10月18日:専用アプリにおけるエラーメッセージは、iOSの個別設定によるものと見られるため、関連する箇所を削除しました。
2012/10/18 00:00