スタジオJin「HUSKY専用グリップ」

~定番三脚にジャストフィットのスポンジグリップ

 クイックセットのハスキー三脚といえば、昔からの定番三脚の1つとして愛用者も多いだろう。数十年前からほとんど変らないスタイルで生産され続けており、現在でもその完成度の高さは健在だ。

HUSKY専用グリップを装着したハスキー3段

 とはいえ、最近の三脚はさまざまな便利機能を盛り込んでおり「ハスキーにもこんな機能があったら……」と思うものは少なくない。例えば今の季節、パイプにグリップが付いていないことが惜しまれたりする。ハスキーはアルミ製パイプ故、素手で触ると単に冷たいだけに留まらず氷点下だと皮膚が貼り付いてしまうこともある。

 そんな折り登場したのが、スタジオJinの「HUSKY専用グリップ」だ。ニトリルゴム製のスポンジパイプで、これをハスキーに装着すれば寒冷地での撮影でも心強いというアイテム。今回は、装着の仕方なども含めてレポートする。

グリップ装着前のハスキー3段

 直販価格はロングタイプ(HTG-360)が1本630円、ショートタイプ(HTG-220)が1本525円。ロングタイプ(長さ360mm)はハスキー3段/4段/5段用。ショートタイプ(長さ220mm)はハスキーのセミショート3段/セミショート4段/ショート4段/四段一脚用となっている。

HUSKY専用グリップのロングタイプ。今回は3本の脚に装着した

 三脚用のグリップとしてはパイプに巻き付けてベルクロで固定する製品もあり、取外しが必要な場合はこちらを選ぶのも手だ。一方グリップをずっと付けた状態で良いなら、HUSKY専用グリップが比較的安価な選択と言える。特定の三脚専用のグリップというのは、純正品を除くと今まで見かけたことのないアイテムと言えそうだ。

重量は3つで88gと軽量

※この記事を読んで行なった行為によって生じた損害はデジカメWatch編集部、スタジオJinおよびメーカー、購入店もその責を負いません。

“買い物袋で滑り込ませる”

 今回は、編集部にあるハスキー3段にロングタイプを装着してみた。

 グリップは内径30mm、スポンジの厚みは5mm。ハスキーへの装着は2つのロックナット(3段の場合)を外して行なう。そのまま少しずつパイプに挿していくのが本来の装着方法だが、それだと滑りが悪く装着しづらい。

 そのため、スーパーマーケットなどでもらえる買い物袋を利用した方法がスタジオJinのWebで“裏技”として紹介されており、今回は袋を使う方法で装着してみた。

グリップ装着に必要な道具類。けが防止と作業性向上のため、滑り止め付軍手は必須だ。定規は棒状のものであれば代用できる。保護用の幅広テープは住友スリーエム製「スコッチ313」を使用したが、なかなか具合が良かった。テープの種類によっては引っかかることも考えられる

 まずは、グリップの中に買い物袋を通す。

袋に定規を入れるこのように袋を束ねる
グリップに少しずつ通していく反対側に達した
出た側の先端を切って袋に穴を開ける三脚のパイプに通しやすいように袋を広げておく

 ここから、パイプにグリップを通していく。

ハスキー3段の場合、石突と2つのロックナットを外す必要がある石突は周りからずらすようにして外す。結構堅いので、力を入れて少しずつ行なう
石突が外れた続いて小さい方のロックナットをはずす
ロックナットの下には白いリングがある。これは外さなくても作業はできるが、今回は1つ目のみ外したさらに大きい方のロックナットを外す
石突とロックナットがすべて外れた状態グリスが付くのを防ぐため、テープで巻いて保護する
先ほど用意したグリップを三脚のパイプに滑らせていく。このとき買い物袋をつまんで引くと良い
パイプの根元までグリップが移動した。このあと買い物袋のみを雲台側から引いて引き出す。袋が縦方向に裂ける性質を利用してパイプの片側に寄せる感じで引く。かなり力がいるので、勢い余ってけがをしないように注意したい。袋が抜けたら、グリップを石突方向にしごいて当初の長さに伸ばす。ロックナットと石突は元と逆の手順で戻しておく
3本とも同じように装着すると完成だ

 グリップの装着で最も難しいのは、袋を抜き去る工程かもしれない。袋を引いた時にグリップも一緒に動いてしまう、という動作を何度か繰り返しているうちに徐々に抜けていく。どうしても難しい場合は、あらかじめ縦に裂け目を入れた袋をグリップに通して行なうとうまくいく場合もある。筆者は1本はその方法で行なった。

 ちなみに、本製品は基本的に一度装着するとそのまま外すのは困難だ。一度付けたらずっと使うことが前提になっている。

 なおハスキーのパイプ径は約32mmで、同じ径の三脚であればほかのモデルにも装着できる。ジッツオの3型はパイプ径が32mmなので、HUSKY専用グリップを装着可能だ。

ジッツオの3型カーボン三脚「GT3541LS」にHUSKY専用グリップのショートタイプを装着したところハスキーと同じ太さなのでぴったりだ

使い勝手がさらに向上

 グリップの装着は一手間ではあるが、付けてしまえばそのままでずっと使える。三脚のグリップは、着脱しなければならないシーンはあまり思い浮かばないので、こうした専用品は合理的と言えそうだ。

 今回は短い時間しか使用できなかったため近所の公園に持ち出して試してみたが、全く冷たさを感じることなく素手で持つことができた。また、三脚が開いた状態で移動させようとグリップを持ったところ以前より持ちやすく感じた。一回り太くなったのとスポンジによるグリップの効果だろう。

グリップを着けても脚はぴったりと閉じる。専用品なので当然なのだが、少しの隙間もないお誂え向きの仕上りだ

 1段目にスポンジがあると、三脚を肩に担いで移動する場合(カメラを付けたままは危険)も肩への負担が少ないメリットがある。畳んだ状態で肩に載せて短時間だが歩いてみたところ、スポンジの有る無しでは負担が雲泥の違いだった。

 グリップを握って三脚を持ち上げても、グリップがずれるようなことはない。内面は接着性の部材ではないが、強い摩擦が働いているようだ。パイプ径32mmに対してスポンジの内径30mmというのが絶妙の寸法、というのが正直な感想だ。スタジオJinによると、ジッツオなどカーボン三脚に装着した場合は少し動く場合があるという。そのときは両面テープで両端を着けると良いそうだ。

 このグリップは“ユーザーが自分で装着できる”ため、劣化したら自分で交換できるのもメリットだ。最初からグリップを装着している他メーカーの三脚の場合、グリップの交換でも修理に出さなければならないからだ。

 ちなみにスタジオJinによれば、このグリップはハスキー三脚販売元であるトヨ商事の公認アクセサリーとのこと。装着してもトヨ商事でアフターサービスを受けることができる。

 なおスタジオJinが取り扱うハスキー3段および4段のKIRKモデルを購入する場合、グリップ装着済の製品を購入することもできる。その場合、グリップ装着料が別途1,050円かかる。

 グリップが欲しいと考えているハスキーユーザーは、検討してみては如何だろうか。




(本誌:武石修)

2011/2/16 13:08