拝見!プロのカメラバッグ
今元秀明:ライブ撮影のバッグとは
リモワのスーツケースをカメラ用に
(2014/4/9 11:50)
飛行機でも安心のリモワ
今元氏は宮崎県都城市出身。大学の経済学部に進むも、写真の道に進むために中退。上京してカメラ店でアルバイトをする傍ら、音楽のミニコミ誌の撮影などを行う。その後、六本木アートセンターとスタジオエビスでのアシスタントを経て、28歳で独立した。
現在はライブ撮影を始めCDジャケット、パンフレット、音楽雑誌などの撮影を行っている。中でも長年撮り続けているのがL'Arc~en~Cielで、今元氏はワールドツアーにも同行している。
早速ライブの撮影で使うバッグを見せてもらった。現場ではプロ用ボディ2台に超広角から超望遠レンズまでかなりヘビーな装備が必要になる。そこで活躍しているのが、リモワのハードケースだ。
リモワにはカメラバッグもあるが、今元氏が使っているのは「トパーズ」というスーツケース。
「以前は別のブランドのスーツケースを使っていましたが、ソフトタイプなので飛行機で預けるのに不安がありました。またそのケースは2輪だったので、機材が重いことに加えてケースの上にもう1つバッグを載せると動かすのが大変だったのです」。
「そこで、4輪だったハードケースのリモワを4年ほど前に買いました。リモワは軽くて丈夫。ゼロハリバートンも持っていますが、これは重いんです(笑)。ハードケースと言えばペリカンなども有名ですが、いかにも機材が入っています、といったケースは盗難が怖くて選びませんでした」と今元氏。
都内での移動は車だが、地方での撮影は新幹線での移動が多いとのこと。国内はもとより世界を駆け回るのだから、フォトグラファーにとって輸送時の保護は重要だ。
スーツケースなので、カメラをそのまま入れることはできない。そこで、シンクタンクフォトのバックパック「エアポートアクセラレーション」を“インナーケース”としている。これだと、現場ではバックパックのみで機材を運べるメリットもある。
シンクタンクフォトを選んだ理由を聞いてみると、「公式サイトで使用事例の写真がたくさん公開されていて、『こんな使い方もあるのか!』と興味を持ちました。周りのカメラマンと違うものを使ってみたいということもあり、そのころ使用者が少なかったシンクタンクフォトを選びました。実際に使いやすくて気に入っています。その後、シンクタンクフォトの背負えるローリングタイプのバッグも購入しました」。今元氏は、シンクタンクフォトのファンでもある。
ライブ撮影で使用するボディはニコンD3Sが1台とD3が2台。レンズはシグマ「15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE」、ニコン「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」、「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED」、「AF-S NIKKOR 200-400mm f/4G ED VR II」。ライブ撮影中はブラックラピッドのハーネス式ストラップに3台のボディを提げる。筆者も同じセットを装着させてもらったが、大変な重さであった。
実際、体には応えるということで、現地でマッサージするための自作アイテムもバッグに忍ばせてある。テニスボールを2つ繋げたものがそれで、この上に寝てストレッチをするそうだ。
今元氏はニコンD800も持っており、スタジオではこちらを使うとのこと。ただし、ライブ撮影では連写や長玉を付けたときのホールディングなどからD3系で臨んでいるという。
オールドテンバも
今元氏が30年近く使っているというバッグも見せていただいた。今では持ち出すことも少なくなったというオールドテンバだ。
「昔のテンバは頑丈ですね。後に買った別のブランドのバッグは縫い目がほつれたりしましたが、このテンバはそういうことがありません。アルバイトをしていた頃はこのバッグにキヤノンNew F-1を入れていました」
「昔はカメラが小さかったので、このくらいのバッグがちょうど良かったのです。その後は、ニコンF3、F4、F5、F5、F6と中身が変わっていきました」と振り返る。
奇しくも前回登場いただいた大浦タケシ氏もオールドテンバの愛用者だったが、やはり丈夫なことを挙げていた。何十年も持つカメラバッグというのは凄いものだと改めて感心した。筆者も機会があれば、いずれオールドテンバを1度使ってみたいと思うようになった。
今回の作品に登場したミュージシャン染谷俊さんについて(今元さんから)
「若干離れていた時期もありますが、デビュー以来20年間に渡って撮り続けているアーティストです。類い稀なメロディメーカーで、饒舌な詩人で超絶なピアニストで魂のこもったボーカリストです」http://someyashun.net/