OM-D E-M1 Mark IIで写す「0.0555555556秒の奇跡」

大好きなフィールドに立てる喜び。手の届く範囲もしっかりと見る…今浦友喜さんインタビュー

風景写真で役立つ機能も満載 50Mハイレゾショットの解像力

50Mハイレゾショットの威力。対岸の紅葉の1枚1枚まで確認でき、流れる水面も不自然にならないように描写してくれた。5,000万画素であってもM.ZUIKO PROレンズの持つ解像力にはまだ余裕を感じさせる。
オリンパス OM-D E-M1 Mark Ⅱ / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 52mm(104mm相当) / 絞り優先AE(F4、1/100秒、-1.0EV) / ISO 250 / WB:晴天 / ハイレゾショット

約18コマ/秒という連写速度をはじめ、圧倒的スペックを引っさげて登場した「OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II」(以下E-M1 Mark II)。

この連載では、E-M1 Mark IIを使用する若手写真家に、写真の世界に入ったきっかけや、自分の作品について語ってもらいます。もちろん、E-M1 Mark IIのインプレッションも。

第1回目に登場するのは、風景写真家の今浦友喜さんです。E-M1 Mark IIと風景写真とのとりあわせ、はたしてどんな話が聞けるのでしょうか。(編集部)

今浦友喜
いまうらゆうき:1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスに。各地の風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌執筆や写真講師として活動中。

※タイトルの「0.0555555556秒」とは、E-M1 Mark IIの秒18コマのコマ間速度。E-M1 Mark IIの性能を現すキーワードの一つとして選びました。カメラの高性能化が写真家とその作品にどんな影響をもたらすのか、今後のインタビューにご期待ください。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II

写真家として独立する前はどんなお仕事を?

写真雑誌『風景写真』を発行する株式会社風景写真出版で編集者をしていました。雑誌の編集・制作はもちろん、撮影会やトークイベントの開催、写真集制作や写真展プロデュースなど写真にまつわる幅広い仕事をしている会社だったので、いろいろな方と出会うことができ、とても刺激のある環境でした。

早朝の爽やかな色味を、ハイライト&シャドーコントロール機能を使って現場で仕上げた。今回の全作品、RAW現像をせず撮ったままのJPEGでこの色味と階調を描き出すことができている。
オリンパス OM-D E-M1 Mark Ⅱ / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 7mm(14mm相当) / 絞り優先AE(F5.6、1/80秒、+0.3EV) / ISO 200 / WB:5,000K / ハイレゾショット

写真を撮るようになったきっかけは?

実はしっかりと写真を撮り始めたのは、風景ではなく人物撮影から。というのも編集者のさらに前は、ギター製作学校の講師をしていたのですが、その仕事の際に実習授業の様子を記録するために一眼レフカメラを買ったのが写真のスタートなんです。でも、それから風景写真にどっぷりとハマるまではまったく時間はかかりませんでしたね。

写真を撮り始めてから思い出したのですが、僕の幼少期の趣味は風景写真の絵ハガキ集め。観光地で10枚セットなどで売っているあれです。昔から美しい風景に目がなかったようです。

紅葉の色を渓流に写し込んだ。ハイレゾショットは8枚を合成するため、高感度ノイズが減るメリットもある。感覚的には約2段分ノイズが減るのでシャッター速度を優先してISO感度を決められる
オリンパス OM-D E-M1 Mark Ⅱ / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 115mm(230mm相当) / 絞り優先AE(F5.6、1秒、-0.3EV) / ISO 800 / WB:晴天 / ハイレゾショット

影響を受けた写真家、写真集、メディアは?

写真家の名前も知らない少年時代から見続けていたのは、栗林慧さんや今森光彦さんの写真。僕は昆虫少年だったんです。小学校からの帰りは筆箱がいつも昆虫でいっぱいでした。だから写真を始めてから、「この図鑑の写真は栗林さんが撮っていたのか!」といった今さらな驚きがたくさんありました。

また風景写真家として好きな作家は森田敏隆さんや福田健太郎さん。みんなタイプが違うのが自分でも不思議です(笑)。

プロキャプチャーモードを使い、一番優雅な泳ぎ方をした瞬間のニシキゴイの姿をセレクトした。あっと思った瞬間から少し時間を遡って記録できる感覚は、魔法使いにでもなったかのようだ。
オリンパス OM-D E-M1 Mark Ⅱ / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 57mm(114mm相当) / 絞り優先AE(F5.6、1/80秒、-1.0EV) / ISO 800 / WB:晴天

その影響は自分の作品のどんなところに現れていますか?

撮影する際に大切にしていることは、手の届く範囲の風景もしっかりと見つめること。これは昆虫少年だったころのフィールドワークとよく似ています。興味を持てる範囲を自分の中で狭めず、常に自然の中にあるたくさんの出来事を見て触って楽しむスタイルは昔も今もきっとこれからも変わりません。

風に舞う紅葉を高速連写で捉えた。最良のタイミングというものは非常に限られているが、それを逃さない最大秒間60コマ、全画素記録の高速連写は風景写真家にとってもうれしい。
オリンパス OM-D E-M1 Mark Ⅱ / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 85mm(170mm相当) / 絞り優先AE(F5.6、1/200秒、-1.3EV) / ISO 1000 / WB:晴天

自分の作品とOM-D E-M1 Mark IIの相性は?

雄大な風景も、足元に広がる小さな風景も撮り逃したくない。そのためには高画質でありながらも小さなカメラシステムが必要です。OM-Dシリーズはボディー本体の小型軽量性や防塵防滴性能、手ぶれ補正技術を備え、常にトップを走り続けていますが、揺れ動く水や葉の表現まで可能となった50Mハイレゾショットも搭載したOM-D E-M1 Mark IIの存在は、鬼に金棒そのものです。

紅葉シーズンに突然降った雪。茨城県の花園渓谷では積雪20cm程の大雪だったが、防塵防滴に優れ、手ブレ補正の強力なOM-D E-M1 Mark Ⅱが風景との出合をサポートしてくれた。
オリンパス OM-D E-M1 Mark Ⅱ / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 130mm(260mm相当) / 絞り優先AE(F2.8、1/125秒、+0.7EV) / ISO 3200 / WB:晴天
枯れ葉の中にイエローとオレンジのツートーンカラーのお洒落なカエデが1枚。降り積もってくる雪がまたさらに美しいアクセントを加えてくれた。地面スレスレからのローアングルだが、バリアングル液晶モニターを採用したOM-D E-M1 Mark Ⅱは撮影姿勢も楽に維持できる。
オリンパス OM-D E-M1 Mark Ⅱ / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 29mm(58mm相当) / 絞り優先AE(F2.8、1/100秒、+1EV) / ISO 200 / WB:晴天

今浦さんにとってネイチャーフォトとは? 風景写真とは?

自然の中にいられる、美しい景色を見られる、いつも新しい発見をくれる。ライフワークであって、あえて特別な場所というわけでもない。フィールドに立っていることが何よりも好きなんだと思います。

道路脇で見つけた立派なモミジ。隣に据えてあった庚申塔と合わせて、林業や土地を見守るシンボルのようにも思えた。日陰であったがオートホワイトバランスでもカラーバランスが崩れず美しい仕上がりとなった。なお作品はすべてRAW+JPEGで撮影したうちのJPEGをそのままフルデータで掲載している。
オリンパス OM-D E-M1 Mark Ⅱ / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 7mm(14mm相当) / 絞り優先AE(F8、1/20秒) / ISO 800 / WB:オート / ハイレゾショット

今後取り組みたいシリーズやテーマは?

見た人がホッとできるような写真や、手に取りたくなる、香りをかぎたくなる、その場にたたずんでみたくなる、そんな写真を撮りたいと思っています。今は自分の中にいろいろな切り口が混在しているので、いずれ写真集や写真展にまとめたいですね。

ボリューム感のある手向山紅葉(タムケヤマモミジ)を50Mハイレゾショットで捉えた。色づきは7〜8割といったところだったので夕日の赤みをややプラスした。
オリンパス OM-D E-M1 Mark Ⅱ / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 31mm(62mm相当) / 絞り優先AE(F8、1/80秒) / ISO 200 / WB:オート / ハイレゾショット

デジタルカメラマガジン2017年1月号に、今浦さんの撮影テクニックが掲載されています

デジタルカメラマガジン2017年1月号には、今回ご紹介した今浦さんによる撮影テクニックの解説が掲載されています。こちらもあわせてどうぞ!

デジカメ Watch編集部