デジカメドレスアップ主義:X100レザーケース百花繚乱(後編)

富士フイルムFinePix X100
Reported by澤村徹

 前回に引き続き、レザーケースをメインに据えたFinePix X100ドレスアップをお届けしよう。今回はユリシーズとAki-Asahi.comのレザーケースを使い、ドレスアップを考えてみた。どちらもカメラアクセサリーブランドとして定評あるだけに、ケースを装着するだけでスタイルが引き締まる。FinePix X100のネオクラシックスタイルをご覧あれ。

  • ボディ:FinePix X100
  • ケース:ユリシーズ X100ボディスーツ
  • ストラップ:ヴァイヒィェ・ブリーゼ ラップアラウンドストラップ[ラウンドスタッズ]
  • フード:ユーエヌ スクエアーフード 専用キャップ付
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 ユリシーズのレザーカメラケースは、一見するとオーソドックスなハーフケーススタイルだ。ただし、ディテールにはかなりのこだわりがある。まず、今回の前後編で紹介したケースの中で、もっともフィット感がよい。厚手のバケッタレザーを使っているものの、ボディに寸分なく吸い付き、カメラを直に握るような感触だ。内側にセームスキンが貼ってあるため、スムーズに着脱できる点も好感が持てる。

 本製品はレンズまわりのデザインにもこだわっている。FinePix X100は鏡胴の根元に絞りリングがあり、ケースの革が近いと絞り操作がやりづらい。X100ボディスーツは絞り操作を妨げないぎりぎりのカッティングラインを割り出し、デザインと操作性を高次元で両立している。デザイナーと職人の努力の賜物だ。

 フードはユーエヌのスクエアーフードを選んでみた。ライカファンであれば、このフードを見てライカ純正の12501を想起したにちがいない。スーパーアンギュロンや初期型エルマリート28mm F2.8用フードに似たデザインだ。フード本体と装着用リングの2ピース構成になっていて、ねじ込み式ながらフードの取り付け角度を微調整できる。ここではFinePix X100に対応した49mm径のリングを使用しているが、これ以外に46mm径、37mm径のリングを同梱したモデルもラインナップしている。

 ストラップはヴァイヒィェ・ブリーゼの個性派ハンドストラップを装着している。長い革紐とフィンガーストラップを組み合わせたストラップだ。フィンガーストラップに指を通し、革紐を手首に巻き付ける。いわばブレスレット感覚のストラップだ。同ブランドはオーダーメイドに対応しているので、革の種類やカラー、スタッズの種類は好みのものが選択できる。

同ブランドお得意のマテリアル、バケッタレザーを使用している。価格は1万4,490円フォーカスモード切換レバーに直接アクセスできる。底面に厚みがあるため、三脚穴はない
背面は操作ボタンと干渉しないデザインになっている。両サイドのスナップボタンでカメラに固定するカラーバリエーションはチョコレートとブラックの2色展開だ
スクエアーフードはフードキャップが付属している。価格は6,480円純正アダプターリング、もしくはユーエヌ製49mmリングにベースリングをねじ込む
ベースリングの上にフードをかぶせ、側面のネジを付属ドライバーで締めるヴァイヒィェ・ブリーゼのラップアラウンドストラップは9,450円
革紐を手首に巻き付け、ブレスレット風スタイルでカメラを携行する

  • ボディ:FinePix X100
  • ケース:Aki-Asahi.com FinePix X100用レザースナップケース
  • ストラップ:ユリシーズ レザーストラップSLINGSHOT2
  • フード:エツミ メタルインナーフード 49mmシルバー

 Aki-Asahi.comのレザースナップケースは、カラーバリエーションが豊富なことで有名だ。FinePix X100用も従来通り、多様な種類をラインナップしている。さらにカスタムメイドにも対応しており、ステッチとスナップボタンのカラーが選択可能だ。ストラップやカメラバッグの色などに合わせ、好みのスタイルをオーダーできる。

 レンズフードはエツミのドーム型フードを選んでみた。元々はソニーのE16mmF2.8向けに発売されたフードだが、広角フードなのでFinePix X100でケラレなしで使用できる。純正アダプターリングを介して装着しよう。なお、本製品はブラックバージョン、46mm径、37mm径といったバリエーションが用意されている。

 ストラップはユリシーズのスリングショット2を合わせてみた。革紐を用いたシンプルなデザインで、さりげないドレスアップに最適なアイテムだ。肩当てのカラーは全5色から選択でき、サイズもS/M/Lの3サイズに加え、受注生産でLLサイズにも対応する。二重リング以外は金具を使っていないので、カメラを傷つける心配も少ないだろう。

レンズ外周を広く見せたデザインを採用している。価格は9,800円フォーカスモード切換レバーに直接アクセスできる親切設計だ
シャッター側のスナップボタンでボディに固定する。ステッチは7色から選択できる手染めのダークタン、ブライドルレザーなど、マテリアルにもこだわりがある
メタルインナーフードは純正アダプターリングにねじ込む。価格は3,150円スリングショット2にはリングガードが付属する。価格は5,880円

 前後編の2回にわたり、ハンドメイド系のFinePix X100ケースを紹介してきた。各社の製品に共通しているのは、仕上がりとフィット感が普段にも増して優れているという点だ。デジカメドレスアップはミラーレス機やコンパクトカメラを中心に流行っているわけだが、そうしたカメラに比べ、FinePix X100はボディがひとまわり大きい。この大きいという点がケース作りに良い影響を与えている。

 レザーの厚みやステッチの幅を考慮すると、小さいカメラのケース作りはけっして楽な仕事ではない。直近のカメラを例に挙げると、NEX-5用ケースは各社とも相当に苦労した跡が見受けられた。手仕事である以上、技術力云々とは別に、適正サイズというものがあるはずだ。その点FinePix X100はサイズ的に無理が少なく、どのケースもバランスのとれた造形になっている。また、ボディが大きいだけに革の面積が広く、ケース装着の醍醐味を実感しやすい。いわばFinePix X100は、レザーケースが“アタリ”のカメラである。



(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp

2011/10/13 00:00