デジカメドレスアップ主義:定番アダプターのニュースタイル

ソニー NEX-C3 + Tessar 50mm F2.8
Reported by澤村徹

  • ボディ:ソニーNEX-C3(シルバー)
  • レンズ:カールツァイスイエナ テッサー50mm F2.8
  • マウントアダプター:三晃精機 Eマウント用M42マウントアダプター
  • ストラップ:203 Camera Straps カラフルな革のドットとオイルレザーのストラップ
  • レンズフード:エツミ メタルインナーフード 49mm シルバー
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 ミラーレス機用のマウントアダプター、特に一眼レフカメラ用レンズを装着するマウントアダプターは、数cm程度の厚みがある。マウントアダプターは本来機能性重視のアイテムだが、これだけの厚みがあればデザインを施す余地が十分にある。こうしたことを背景に、昨今はデザイン性を意識したマウントアダプターが増えてきた。三晃精機のEマウント用M42マウントアダプターも、そうした製品のひとつである。

 本製品の特徴は大胆なスリム設計だ。マウントアダプターの外径は鏡胴と同サイズに設計するのが一般的だが、本製品は軽量化とデザイン性に配慮し、M42マウントレンズよりもひとまわりほどスリムに仕上げてある。単にスリム化するだけでなく、ボディ側に向かってテーパー状に削り出しており、三晃精機ならではの芸の細かい仕上げだ。

 本製品はピン押しタイプになっているので、A/Mスイッチ(自動絞り切り換えスイッチ)がないM42レンズでも実絞りで撮影できる。また、レンズ指標調整機能を搭載している点も特徴だ。底面に10度の間隔で5つの穴があり、マウントアダプターの固定位置を調節できる。これによってレンズ指標の位置が調整できるわけだ。スクリューマウントのレンズは、マウントアダプター装着時に必ずしも指標が真上にこない。このような場合に本機能で指標位置を調整しよう。

テッサー50mm F2.8は薄型の標準レンズだ。ある種のパンケーキレンズといえるだろうマウントアダプターの根元には、着脱用の指標として切り欠きが施してある
背面から見ると、レンズに比べてマウントアダプターがいかにスリムかがよくわかる三晃精機のEマウント用M42マウントアダプターはシルバーが1万円、ブラックは1万1,000円
アダプターの内側にはピン押し用のせり出しがある。このせり出しが自動絞り連動ピンを押し込む仕組みだ裏面に5つの穴が並ぶ。ボディのロックボタンを押しながらマウントアダプターを回して調節しよう

 ドレスアップ面は203 Camera Strapsのハンドストラップを組み合わせてみた。ハンドストラップはシンプルなスタイルの製品が多いが、本製品はドットをあしらったワイドタイプという個性的なデザインだ。オールドレンズ付きのミラーレス機はそれなりに重量があるので、ハンドストラップを選ぶときはこうした安定感のあるものが安心だろう。なお、203 Camera Strapsは昨今ハンドストラップのラインナップを増やしており、本製品以外にもデザイン性の高い製品がそろっている。

右がブラウン、左がナチュラルだ。価格はともに4,150円。白やシルバーのカメラと好相性だ右がブラックで左がダークブラウンだ。カラーバリエーションは全4色となる
ドーム型のレンズフードはエツミ製だ。レンズガード的な意味合いで装着してみたエツミのメタルインナーフードは3,150円。49mm径のねじ込み式で、ブラックタイプもある

 先端が革巻き(合成皮革)のテッサー50mm F2.8は、1960年代のオールドレンズだ。いわゆる普及価格帯レンズに相当するため、開放では滲みが目立つ。描写が安定するのはF4〜F5.6あたりで、特にF5.6以降の力強いコントラストが特徴だ。一方、シャープネスは絞ってもマイルドで、ハイコントラストな画作りのわりに粗野な印象が残る。一般にイエナ製レンズはどことなく野暮ったさが見え隠れし、ここに魅力を感じているイエナファンであれば、革巻きテッサーはかなり楽しめるレンズといえるだろう。なお、作例はJPEG撮って出しを掲載している。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなしの撮影画像(JPEG)を別ウィンドウで表示します。
NEX-C3 / Tessar 50mm F2.8 / 4,912×3,264 / 1/80秒 / f4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mmNEX-C3 / Tessar 50mm F2.8 / 4,912×3,264 / 1/80秒 / f5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm
NEX-C3 / Tessar 50mm F2.8 / 4,912×3,264 / 1/125秒 / f5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mmNEX-C3 / Tessar 50mm F2.8 / 4,912×3,264 / 1/1,250秒 / f4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm
NEX-C3 / Tessar 50mm F2.8 / 4,912×3,264 / 1/125秒 / f5.6 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート / 50mmNEX-C3 / Tessar 50mm F2.8 / 4,912×3,264 / 1/4,000秒 / f8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm

 さて、今回ははじめてNEX-C3をドレスアップしてみた。第一印象はやはり、小型軽量なボディが際立っている。ここでは一眼レフ用レンズを付けているが、サイズ感を考えると、小振りなレンジファインダー機用レンズの方がバランスよく装着できるだろう。前モデルよりもオーソドックスなカメラデザインなので、スタイリングしやすいはずだ。

 操作面では、新搭載のピーキング機能がオールドレンズ撮影時のMF操作を手助けしてくれる。特にある程度絞ったスナップ感覚の撮影で役立つだろう。被写体をスピーディに被写界深度内にとらえることができ、MFでもテンポよく撮影できる。逆に被写体をピントの芯でとらえたいときは、従来通り拡大表示を使った方が確実だ。



(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp

2011/8/23 00:00