伊達淳一が徹底解剖!「OM-D E-M1 Mark II」の先進性
【高速性能編】一眼レフに迫る動体性能の秘密
連写・AF・EVF……それぞれの進化とは?
2017年2月3日 11:23
昨年末、ついに発売された話題のOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II。ミラーレスカメラの常識を打ち破る高性能はいかにして実現されたのか。その裏側に徹底的に迫ります。
この記事は、いち早く購入して使い込んだ伊達淳一さんが、ユーザー目線で開発陣にインタビューし、その内容を検証する連載の第1弾です。第1回目の今回は、連写やAFなど、E-M1 Mark IIの“動きモノ対応”について聞いてもらいました。
オリンパス株式会社の技術開発部門より、菊地哲央氏、高須隆雄氏、川口勝久氏の3名にお相手いただきました。
(編集部)
動く被写体を追うための進化
伊達:E-M1 Mark IIはすでに使っていて、「これは今までのミラーレスとは違うぞ」という実感を持っています。そうした感想をもとに、今日はユーザー目線での質問が多くなると思いますが、よろしくお願いします。
まず、E-M1 MarkIIを使ってみて驚いたのがEVFです。これまでのミラーレスカメラだと横方向に動く被写体を望遠で追ってもなかなかうまくフレーミングし続けることができなかったのですが、E-M1 MarkIIは、連写中でもEVFで被写体がよく見えるのと、連写スピードが速いので、かなり動体撮影が楽になりました。
高須:EVFで被写体を追うこと自体は、それほど高速表示でなくても可能です。ところが、連写するとブラックアウトのため、表示遅れが生じます。遅れた表示を見つつフレームを修正するからさらに遅れが生じる。その遅れを修正しようとすると、もう追いきれない。ようやく捉えられたと思った頃には被写体は通り過ぎてしまう。これが一般的なミラーレスカメラで動き物を撮る際に問題とされてきたことでしょう。
伊達:一眼レフカメラでもブラックアウトはありますよね。3コマ/秒〜5コマ/秒くらいの性能で、横方向に動く被写体を望遠で狙うと、ブラックアウトが目立って見えて、そのわずかな瞬間にフレーミングをし直さなくてはいけない。遅れはないものの、レートが遅いと追いきれないということがあります。これがフラッグシップ機など10コマ/秒以上の機種だと追えるようになる。像消失時間が短い一眼レフほど、楽に追えるようになるのですが、E-M1 Mark IIもまさにそんな感じですね。
川口:E-M1 Mark IIは、フレームレートが最高120fpsと高速化し、レイテンシー(表示遅れ)も10数ミリ秒から5ミリ秒と短くなり、肉眼で見るのとほとんどズレが感じられない程度の数値を実現しています。18コマ/秒の静音連写Lでは5ミリ秒のレイテンシーを維持したまま、フレームとフレームの間に、スルーのライブビューを表示しています。そのため光学ファインダーがミラーで隠れたときとほぼ同じような見え方になります。
また、ブラックアウト時間は一眼レフカメラのフラッグシップ機と同じくらいと認識しています。さらに一眼レフカメラではミラーがパタパタと動作すると多少像が歪むのですが、EVFではそれもありません。
伊達:そうですね。E-M1 Mark IIの18コマ/秒の連写中の像は、一眼レフカメラの14コマ/秒に近い。まさにあんな感じの、フリッカーがちょっと多めのライブビューというか、カクカク感が一切ない。本当にリアルの像が見えているという感じです。
川口:EVFなのでブラックアウトする時間に像を残しておくこともできますが、そこはあえて黒くなるようにしています。その方が続けてものを追うのに見やすいのです。
伊達:フレームレートは標準が60fps、高速が120fpsですが、18コマ/秒だと、そのうちライブビュー表示が占める割合はどれくらいですか?
川口:およそ半分と思っていただければ良いでしょう。120fpsの場合、連写をしないと1秒間に120コマ表示されます。18コマ/秒だとそのうち60コマくらいはライブビューです。
伊達:15コマ/秒や10コマ/秒で撮影した時は、ブラックアウト時間は18コマ/秒と変わらず、その分ライブビューが増えるのですか?
川口:はい。コマ速を落とすほどライブビューの時間が長くなります。ブラックアウトしている時間は撮像素子からデータを送り出す時間だけになるので、それ以外の時間はすべてライブビューで出せるようになっています。
伊達:あとEVFを覗いて気づいたのですが、シャッターボタンを半押しているときと押していないときとで、表示が違って見えます。シャッターボタンを押す前はハイライトがきれいに見えて、半押しするとコントラストが高くなったように見えるのですが。
菊地:C-AF使用でAFを行うときはセンサーの動作を変更して、AFに最適な動作モードにしています。
伊達:フレームレートを高速設定にすると、標準設定より滑らかに見えます。高速にすることによるデメリットはあるのでしょうか。
菊地:若干ではありますが、高速設定では低輝度のAF性能が落ちます。
伊達:イメージセンサーに入ってくる光の量が露出アンダー状態になるので、AFが効きづらくなると。
菊地:明るいシーンであれば、高速設定でなめらかな表示を優先してほしいのですが、暗いところでC-AFを使う場合などは、標準に落としていただいた方が良いと思います。
伊達:高速設定では表示が粗くなるようなことはあるのでしょうか?
川口:撮像素子から出てくるデータ量は60fpsのときと120fpsのときで違うのですが、最終的にEVFに出てくる画像については、画質が落ちないように処理を施しています。
伊達:結論としては、電池の持ちさえ気にしなければ、暗い時以外は高速設定にしておけばいいですね。ところで「OVFシミュレーション」とはどういう機能ですか?
川口:できるだけ光学ファインダーの見え味に近いように画像処理を行う機能です。PEN-Fなどにも搭載されていたのですが、それを今回の新しいエンジンと撮像素子にあわせて進化させています。120fpsでの処理が可能になったので、より光学ファインダーに近い見え味を再現しつつ、フレームレートも維持する設計になっています。
伊達:そのとき、暗所のAF性能はどうなるのですか?
菊地:OVFシミュレーションを使ったからといって、AF性能が落ちるわけではありません。AF中とAFしていないときの見え方も、できるだけ同じになるように設計しています。
伊達:ではライブビューの露出と、AFに必要な露出というのはその都度変えているのですね。
菊地:はい、その都度変化します。
伊達:では18コマ/秒の間、AF中に必要な露光量は確保し、ライブビュー中は露出設定に従って、あるいは見えが良い露出の読み出しをしつつ高速表示に切り替えるということですね。連写中、たまに露出がオーバーに見えるのは、それなのかなと思いました。極端に輝度がきゅっと変わった瞬間に、暗い像が見えたぞ、とか、明るい像が見えたぞ、という瞬間があるんですよね。そういう制御の遅れがあるわけですね。
川口:明るさを急に変えたりすると、追従までに少し時間はかかりますね。
伊達:でも、撮れた絵はそこまでひどくありません。
川口:撮影カットは1コマ1コマ適正な露出で撮っています。ライブビュー用の表示は、急激に輝度が変化しないように、滑らかに制御しています。
シャッタータイムラグも高速に
伊達:表示タイムラグは5ミリ秒という話でしたが、シャッタータイムラグは従来のE-M1とくらべてどうですか?
川口:こちらも速くなっています。半押しから押し込むときのタイムラグは、初代E-M1の40ミリ秒から30ミリ秒になっています。
伊達:それはメカシャッターのときの数値ですか? となると一眼レフのフラッグシップ以上ってことですよね。絞りの駆動はどうですか?
菊地:F8以下の絞りであれば、数値が保てます。低振動モードのときは先幕電子シャッターですので、少しタイムラグが大きくなります。シャッターも初代E-M1にはなかったフローティング機構が入りましたので、シャッター振動が大幅に減りました。
伊達:電子シャッターでのローリングシャッター歪みも減った印象です。どういう工夫があるのでしょうか。
菊地:連写速度を上げるために、撮像素子の読み出しを3倍程度高速化している効果が大きいですね。これまで電子シャッターでローリングシャッター歪みを抑えるための開発を続けてきましたが、今回やっと実用可能なレベルに達しました。撮像素子の読み出し速度とそれを受ける画像処理エンジンの処理能力、両方の高速化の恩恵です。
伊達:E-M1のときは、静音撮影の時にフラッシュ撮影はできたんですか?
菊地:E-M1は同調速度が1/13秒でしたが、今回は1/50秒に上がっており、より高速になっています。
伊達:高感度では少し同調速度が遅くなるという話を聞いたのですが。
菊地: ISO8000以上で低ノイズ読み出しをやるので、少々時間がかかります。それでも従来製品の幕速より十分速いです。
伊達:究極的にローリングシャッター歪みを抑えたければ、静音連写の18コマ/秒ではなく、メカシャッターを使った連写の方が効果的なのですが、そうするとAE/AF追従の連写は10コマ/秒になってしまいます。ただし、AE/AF固定の連写Hは15コマ/秒なので、シャッター自体は15コマ/秒で動かせる力があると思います。この5コマの差、静音ではAF追従できるのに、メカではできないというのは、どういった理由によるものですか?
菊地:シャッターの機構によるものですね。連写Lはライブビューですが、連写Hは完全にレックビュー(撮影後の画像)連写になっていて、露光用のシャッターの動きしかしていないのです。そのため連写Hはシャッターを1回閉じて、毎回スリットを動かすだけで済んでいます。一方連写Lは、そこにライブビューを取り込む必要があるため、シャッターを開ける機会が1回の連写で2回あります。連写Lはその分シャッター駆動が遅くなるので、10コマ/秒まで落ちるのです。
伊達:アフタービューだけでもいいから、15コマ/秒のAF/AE追従メカ連写はできませんか?
菊地:連写Hは様々なシーンでの利用が想定されますが、あくまでもAFが追従しきれない可能性もある。そのため連写Hは、あくまでもAFが追従しないレックビュー連写を前提に使ってください、という位置付けにしています。静音シャッターとメカシャッターは連写Lと連写Hそれぞれで設定が可能です。連写LであればAF追従しますので、動きモノを追従させたいときは静音連写を使っていただくことをお勧めします。
伊達:一度、飛行機の離陸を静音連写Hで撮ったのですが、あとで再生画像を見てみると、スローモーションのように離陸の瞬間が写っていて、ああ、これはこれでありだなと思ったことがありました。
川口:再生表示も速くなっているので、滑らかに表示されると思います。
伊達:ただ、1秒で18コマ撮れるのはいいんですけど、家に帰ってからが大変なんですよね。撮影時は一瞬で多くの瞬間を切り取れるんだけど、その画像をチェックするのに時間がかかってしまって(笑)。AF追従でもう少しコマ速を落としたモードや、連写速度を5コマ/秒、10コマ/秒、18コマ/秒と変えられるモードが欲しいですね。
川口:連写設定は、カスタムモードで連写速度を何種類か登録し、シーンごとに試していくうちに適切なものを見つけていただけるかと思います。
「プロキャプチャー連写」の由来
伊達:ところで、「プロキャプチャー」というのは、シャッターボタン半押し中から画像をバッファに溜め込んでおき、シャッターボタン全押しした瞬間にその前後の画像を記録するモードですよね? この機能って、一般的にプリキャプチャーと呼ばれていると思うのですが……
川口:プリキャプチャーとプロキャプチャーは違うものです。プロキャプチャーについて説明しましょう。プロの写真家の方は、自分の中で持っている反応のラグと、カメラの持っているシャッターラグを予想した上で、狙ったタイミングでシャッターを切ると思います。
伊達:ああ、予想して早めに切りますね。
川口:でもプロでない方はそれが難しい。これを実現するために考えたのがプロキャプチャーです。プロがシャッタータイムラグを先読みするように、カメラが先読みを行いプロに近いタイミングで撮影できる機能が「プロキャプチャー」です。
伊達:最初、よく読まずに「プリキャプチャー」って原稿を書いてて、よく読んだら「プロキャプチャー」って書いてあって、あれ? と思いました(笑)
川口:シャッターボタン半押しの状態から深く押し込むと、それが伝わりシャッターが動いて、取り込みが終わります。その間が(E-M1 Mark IIの場合は)大体30ミリ秒です。その30ミリ秒を遅れ分として逆算したバッファの画像を“1枚目”として記録します。
伊達:タイムラグがないのが基準で、そこからさらに14コマ前後も残せるという。
川口:そうです。先ほど伊達さんは「いっぱい撮れてしまう」と仰ったと思うのですが、そこを私たちも考えたうえで、いっぱい撮らなくても狙った絵が撮れることを目標に、プロキャプチャーを開発しました。まさに「撮りたい!」というタイミングで押すと、全てのタイムラグを取り除いた1枚が撮れます。人間の反応というものは、人工的に制御できないので、その微調整用に前後14枚を撮れるようにしています。
伊達:JPEGのみで記録すればRAW記録時よりも長く記録できますか? プロキャプチャーLのとき、C-AFが追従しますか?
菊地:RAWでもJPEGでも記録できる枚数は変わりません。C-AFは撮影前、撮影後ともに追従します。追従性能も通常の連写時のC-AFと変わりません。
伊達:なるほど。プロキャプチャーだと1コマ目以降はAFが追従しないと思っていた時期がありましたが、追従すると分かってからはプロキャプチャーL連写で動きモノを撮るようになりました。ただ、プロキャプチャーはある意味一発勝負じゃないですか。特に連写Hだと、後の書き込みの時間もかかりますし。
川口:UHS-IIに対応し、できるだけバッファ内の画像を速く処理することで対応しています。
伊達:連写のコマ数はバッファに溜め込るわけなので、UHS-IとIIの差はあまりないのでしょうが、やはりバッファがクリアになる速度はUHS-IIの方が圧倒的ですね。
川口:3倍くらい速いです。バッファがフルになった状態からでも、5秒くらいで全てクリアになります。
伊達:本当は、書き込み中でも、(その時点で)書き込み済みの絵が再生できたらいいんですけどね。それとバッファ処理中にメニューが動かないのは、システム上の制約とかで並行処理は難しいんですか?
川口:そこは課題として認識しています。E-M1 Mark IIの最初の取り組みとしましては、UHS-IIに対応することと、連写性能をしっかり活かせるようにすることに注力しました。書き込み中でもメニュー操作できるようにするといった機能は、今後検討していきたいと思っています。
伊達:まだ、可能性はあるわけですね。例えばダブルクアッドコアの処理能力を生かすファームウェアを作り込めば、並行処理ができるかもしれませんね。
川口:8つあるコアを全部最適な形で使うための設計はかなり難易度が高いのですが、それをなんとかやり遂げたので、18コマ/秒・AF追従のライブビューでの撮影を実現できました。今後、ダブルクアッドコアの処理能力を活かしてファームでできることがあるはずと、個人的には思っています。
強化された像面位相差AF
伊達:これまでの像面位相差AFは、基本的に縦線検出のみのラインセンサーで構成されている機種ばかりでしたが、E-M1 MarkIIは、121点すべてがオールクロス像面位相差AFなのもビックリしました。この像面位相差AFのクロスセンサー化についてお伺いできればと思います。
まずは像面位相差で画質を成り立たせるのが重要でした。その中で従来は、どうしてもラインセンサーを使うしかなかったのです。
菊地:高性能なC-AFを実現するためには十分な測距精度が必要です。必要とされるだけのレベルにするには、画素配置が今のままでは厳しいことがわかり、画像処理や光学処理、撮像素子の開発担当メンバーも交えて試行錯誤を重ね、クロスセンサーを採用しました。位相差画素の密度は縦横方向のAFが可能なことから、E-M1の2倍になっています。
伊達:位相差画素が増えて、画素数も上がった分だけ、やっぱり画質性能に対しては厳しいんじゃないかな、という懸念がありますが。
菊地:E-M1の実績を元に、縱橫の画素の配置の仕方を工夫し、画質も維持できています。
伊達:EVFの話のときに、「ライブビューが半分、ブラックアウトが半分」という話があったのですが、その半分の間に測距を行なう、というイメージでいいですか? それ以外の半分、いわゆるブラックアウトにあたるキャプチャーしている瞬間は、測距できないわけですよね。
菊地:測距はライブビューを出している最中、ずっと作動しています。ライブビュー用に取り込んだ画像を使って位相差情報を処理しているのです。また、静止画を読み出した撮影データも、測距に使われています。121点分のデータを処理するにもなかなかに大きな演算が必要になるのですが、その点に関しては短時間で演算できるようにすることで、18コマ/秒を実現しました。
伊達:一眼レフカメラだとミラーが上がっている瞬間は測距ができないけれど、E-M1 Mark IIはキャプチャーしている絵も位相差画素の情報があるから、それを使って測距を続けられると。
菊地:静止画の撮影画像データとライブビューとを全てAFデータとして使って、動体の追従性能を向上させています。ブラックアウト中も測距してないわけではなく、取り込んだ画像で演算しています。
伊達:AFターゲットモードで被写体がエリアから外れた場合、例えばC-AF+TRだと緑色のターゲットマークが出ますよね。この場合は、オールと同じ動作になるのですか?
菊地:緑の枠は「その部分でAFを行っている」という意味です。3×3の9点だと、その内部で被写体認識動作していることになります。もし緑の枠が横にずれた場合は、ずれた先の枠内でAFを行います。
伊達:ターゲットは真ん中になったままだけれど、ずれた先で捉えたら、被写体認識に従って、オールで範囲を追尾するのですね。
菊地:ただ、やはりトラッキングに関しては、緑枠の追従性能と、AFそのものの性能という変動要因があるので、基本的にはC-AFのグループの9点の中で捉えるのが良いです。また、追従感度の機能を使い分けていただくのも良いです。C-AF+TRの性能向上も今後に向けた課題だと考えています。
人物だけを撮るのであれば、顔優先AFを使っていただくのは有効ですね。C-AF+TRで緑枠を追従させる場合、色や明暗など、はっきりした被写体のときに有効です。
伊達:C-AFのときはコントラストAFは全く使わないのですか?
菊地:そうですね。あくまで像面位相差のみです。
S-AFでマイクロフォーサーズレンズを装着しているときはイメージャAFと位相差AFの情報を両方使っていますが、基本的にはイメージャAFをメインにして、位相差情報はサブで扱っています。
伊達:サブはレンズを動かす方向を判断するときに使って、最終追い込みはメインのコントラストAFを使うわけですね。
今回は「スモールターゲットAF」が無くなっていますが、もっとピンポイントで合わせたい場合はどうすればいいですか?
菊地:今回は121点測距を採用し、ひとつひとつのAFエリアのサイズが小さくなっているので、スモールターゲットをメニューから外しました。重要性は理解していますが、今回を見送りました。
伊達:「AFターゲットパッド」の話を聞かせてください。(液晶画面に)鼻が当たってもターゲットパッドが誤動作しないのは、どういう仕組みなんですか?
高須:あらかじめ鼻が当たっている場合は、そこを無視して指の方で動かせるようにしています。また、指で操作しやすい液晶右側のエリアの動きを識別するようになっています。当たりっぱなしのものは無視して、その近傍に当たったものを指だと認識します。
伊達:ダブルスロットの話に移ります。なぜ両スロットともUHS-II対応にできなかったのかは気になるところです。
高須:もちろん、2スロットの両方がUHS-II対応である方が便利だとは認識しています。今回は前提として「メイン」と「サブ」という考え方を前提に置きました。回路系、コスト、小型化などいろんな要素を含めて、今回はこちらを選択させていただいています。
伊達:まあ、大きさとコストは直結しますからね。何らかの理由で自動的に2スロットに切り替わった場合、メモリーカードを抜かないと、スロット1に空き容量があっても、2に記録し続けてしまう。メインとサブという考え方であれば、スロット1に記録し続けられた方が良いと思うのですが、そういう設定はあるのですか?
高須:あまり煩繁に切り替えてしまうと、どちらに入れたかな? と分からなくなってしまうこともあるかもしれません。今回は一度スロット2に移行したら、スロット2のメモリーカードが抜かれない限りはスロット1に戻らない仕様にしています。
伊達:では、最後になりますが、E-M1 Mark IIに関して特にアピールしておきたいポイントは?
高須:このカメラは、起動から撮影、再生までの流れでストレスを感じないような設計を目指して開発しました。ユーザーの方々が「遅い」と感じそうなポイントは思いつく限り課題点として挙げ、全てに目標値を定めていったのですが、それらをしっかり達成できたと思っています。是非、こういった背景も踏まえてレスポンスの良さを体感いただけたらうれしいです。
課題点は開発者側から自ら提案したものが多いです。商品企画や営業の担当者たちからは「本当にできるんですか?」と驚かれましたね(笑)
【高画質編】に続きます