写真展

小野田桂子写真展「笠井 叡 陸前高田に舞う」

(オリンパスギャラリー)

©小野田 桂子

「私に時間をくださいますか?ここで踊ります。」

ここからすべてが始まった。場所は陸前高田。2013年2月17日。

日本で生まれた新たなダンス・舞踏を、その草創期から土方巽・大野一雄と共に担ってきた天才・笠井叡(かさい・あきら。2014年、『日本国憲法を踊る』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞)は、津波にさらわれて、町がそのまま消え失せた陸前高田の海岸で、観客不在のまま踊り続けた。それは、舞踏がなしうる魂鎮めの秘技だったのではないか。

偶然、その場に居合わせた私は、憑かれたようにシャッターを切り続けた。それは、幼少期からカメラと共に育った私が立ち会うことができた、この上ない瞬間であり、生と死の境を垣間見る瞬間であったのだと思う。

1960~70年代、舞踏・文学・写真を含む美術が、相互に刺激し合い、新たな芸術を立ち上げていったように、21世紀の現代においても、再び芸術が交差する場面を「写真」から始めたい。

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:オリンパスギャラリー東京
  • ・住所:東京都千代田区神田小川町1-3-1NBF小川町ビル1階
  • ・会期:2015年1月29日木曜日~2015年2月4日水曜日
  • ・時間:10時~18時(最終日15時まで)
  • ・休館:日曜日・祝日
  • ・入場:無料

(本誌:河野知佳)