写真展

西山功一写真展「PINK ORANGE RED」

(Gallery RAVEN)

今回展示する写真の集まりは5、6年前に撮影したものと、震災の後のある数ヶ月間に撮影したものです。

夕方近くの時間に東京郊外の自宅の近くや、少し足をのばして奥多摩などに行って撮影しました。

撮影したものは花だったり、人物だったりガラスだったり様々なものです。すべてカメラを縦にして撮影しています。

使用した機材は一般的なAPS-Cのデジタル一眼レフで、全体の周波数のようなものを合わせるためにプリントの明るさはある程度統一されています。

このような制作過程の表面をなぞった言葉を羅列してみても、たぶん大事なものに近づけることはないでしょう。

そしてどちらかといえば寡黙なルックスをした作品の場合は、もっと哲学的な省察を含んだ言葉や詩的な言葉でその周りを周りながら近づいてく手段があります。

残念ながら私にはそのような素養が無いので、深みのある言葉を選んで作品に添えることができそうにありませんが。

撮影した時にどのようなことを考えていたの?と聞かれたことがあります。

この撮影をしていた時期には10代の頃の夜の寝室の感じを考えていたことが多かったはずです。

しかしそのような作者の私的で他者と共有不可能な部分から切り離された所に、作品と呼ばれる物はあるのかもしれませんし、私個人はそうあって欲しいと願っています。

そして人生に密着した心情や時代性を含んだ生活とかを読み取るには、良い文学作品を読んだほうが適切でしょう。

これらの写真の集まりには、作品という名札を付ける前から言葉を与えることを避けてきました。

数年前に無理にタイトルらしき言葉を与えてみましたが、やはりしっくりとしたものにはなりませんでした。

そしてこの文章も何も語っていないはずです。

言葉を避け続けてきたのは、それらをどこかに着地させる為の時間をできるかぎり引き延ばしたいからなのかもしれません。

(写真展情報より)

  • Gallery RAVEN
  • 住所:東京都杉並区下高井戸1-20-8
  • 会期:2013年10月20日日曜日〜2013年10月27日日曜日
  • 時間:16時〜19時(月曜日〜金曜日)、13時〜19時(土曜日・日曜日)
  • 休館:10月23日水曜日、10月24日木曜日

(本誌:折本幸治)