写真展告知

高橋智史写真展:男鹿-受け継がれしものたち-

(OM SYSTEM GALLERY)10月27日~11月7日

秋田県男鹿半島。日本海に突き出した姿は、海に浮かぶ島のように見える。荒々しい奇岩群と美しい渚が連なる海岸線は、悠久の時が生み出した独特の景観を有する。そして、修験者の霊場として信仰を集めてきた「男鹿三山」と、火山活動を繰り返して形成された風光明媚な「寒風山」が、半島を見守るように鎮座する。その地には、継承された独自の伝統文化が息づいている。

冬の始まり。秋田の海に冬季雷が轟き、海が大きく時化る12月頃。「ハタハタ」が、深海から大群を成して産卵のために沿岸に押し寄せる。長く厳しい秋田の冬に恩恵をもたらすことから、ありがたい魚として貴ばれてきた。特に男鹿は、ハタハタの一大漁場として古くから名を馳せた。その姿を見た人々は、雷神が遣わす「神の魚」として「鰰」、または「鱩」や「雷魚」と綴り、特別な思いを文字に込めた。わずか一か月ほどの、限られた期間に行われる「季節ハタハタ漁」。神の魚を求め、荒れる海に挑む命がけの漁が、繰り返される。

男鹿半島全域で行われてきた伝統行事「男鹿のナマハゲ」。悪事を戒め、無病息災と五穀豊穣をもたらす「来訪神」は、大晦日の晩に山からやって来る。国指定重要無形民俗文化財であり、ユネスコの無形文化遺産にも制定されている、秋田の民間伝承を象徴する存在だ。最も古い記録は、江戸期の1811年。紀行家「菅江真澄」の旅行記に記されている。ナマハゲの起源はどこにあるのか。それは今もはっきりと分からない。

男鹿の風土を色濃く反映した「季節ハタハタ漁」と「男鹿のナマハゲ」。本展では、二つの物語を中心に、半島で受け継がれてきた人間の営みを描く。

(作品点数カラー35点予定)

写真展情報

会場

OM SYSTEM GALLERY
東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビル地下1階

開催期間

2022年10月27日(木)~11月7日(月)

開催時間

10時00分~18時00分(最終日は15時00分まで)

休館

11月1日(火)、2日(水)

入場料

無料

作者プロフィール

フォトジャーナリスト。1981年秋田県秋田市生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒。大学在学中よりカンボジアでの取材を開始。2007年から2018年までカンボジアの首都プノンペンに在住し、同国の社会問題、文化、歴史を広く取材。2013年からは、独裁を強める政権の弾圧に、公正な社会を求めて立ち向かうカンボジアの市民運動を集中的に取材した。2021年5月より、毎日新聞秋田面で「高橋智史が撮る故郷・秋田~受け継がれしものたち~」を連載。秋田で伝承されてきた人間の営みを見つめ、取材を重ねている。

主な受賞に
2014年「名取洋之助写真賞」
2016年「三木淳賞奨励賞」
2019年「土門拳賞」
2021年「The Prix de la Photographie Paris (PX3)ドキュメンタリー写真集部門 金賞」
2021年「International Photography Awards (IPA) 報道/その他部門 第2位」
2021年「Budapest International Foto Awards (BIFA) 報道/政治部門 銀賞」

著作に
写真集「湖上の命」(窓社)
フォトルポルタージュ「素顔のカンボジア」(秋田魁新報社)
写真集「RESISTANCE カンボジア 屈せざる人々の願い」(秋田魁新報社)

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