写真展告知

夏季オリンピック報道の世界 Photo by アフロスポーツ

キヤノンギャラリーS(東京・品川)7月2日~8月25日

本展は、日本オリンピック委員会の公式記録の撮影を担当し、過去のオリンピックでも様々なシーンを撮影してきたアフロスポーツが主催する写真展です。今回は夏季オリンピックの撮影において、これまで多くの人の目に触れてきた報道目的の作品とは異なる、独自の視点で撮影した作品をメインに展示します。数多くの報道媒体へ写真を提供し続けてきたフォトグラファー達の、1992年バルセロナ大会から2016年リオ大会までの作品、約300点を展示します。いつの時代も変わらず白熱するアスリートと、時代とともに移りゆくスポーツシーンを楽しむことができます。

展示作品は、キヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントします。

写真展情報

オリンピック史上はじめて延期となった東京オリンピック。56年ぶりが57年ぶりとなった2回目の大会ですが、実は日本人としてはじめてIOC委員になった柔道の祖、嘉納治五郎の多大な尽力により、1940年に東京でオリンピックが開催されることに決まった矢先、第2次世界大戦で返上となったことをご存知の方も多いと思います。

私がオリンピックという言葉を初めて知ったのは1956年 コルテナ・ダンペッツォ(イタリア)冬季オリンピックでアルペン種目の猪谷千春選手が銀メダルを獲得したというニュースでした。オリンピックの本当の凄さを知ったのは中学校に入学したときの新入生体力測定で走り幅跳びが学年で1位だったのですが、県内では10位。それを聞かされた時、頭に浮かんだのはそれでは国内では300位くらいだろう。そしてその中の1位だけがオリンピックに行けるという途方もない事実を思い知った時でした。

1964年東京オリンピックで私が見たかったのは100mのボブ・ヘイズや体操の小野喬ではなく、裸足の王者といわれたビキラ・アベベでした。その当時、新聞社が発行していた大きなグラフ誌の中にローマ大会のマラソンを裸足で走るアベベを見て、完全に魅了されてしまいました。競技当日に国立競技場に入るコーナーのところに朝早くから陣取って、まるで偉大な哲学者のように淡々と走るアベベ、そしてその後方から首を傾けながら走ってきた円谷選手を目に涙をいっぱいためながらカメラのシャッターを押したのが私の初めてのオリンピック体験です。

世界200以上の国から各国のトップアスリートが一堂に会して世界で誰が一番かを競うオリンピックほど面白い競技はありません。また、大会選手団を通して各国の文化・豊かな民族色に触れられるのもオリンピックの楽しみだと思います。オリンピックを撮影できるプレスカードを手に入れるのは並大抵のことではありません。私がようやくオリンピックを撮影できるようになったのは1986年サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)冬季大会。夏季大会は1992年バルセロナ(スペイン)大会でようやく夢がかないました。それ以来オリンピックを撮影し続けており、1998年冬季長野オリンピックの前に、アフロスポーツという撮影仲間の組織を作ってオリンピックに臨むようになりました。それ以降、日本オリンピック委員会(JOC)の公式記録の撮影チームとしてアフロスポーツの仲間と共に撮影をつづけています。オリンピックごとにJOC公式写真集を編集・制作し、出版という楽しい仕事も続けさせてもらっています。

オリンピックの撮影は撮影以外のことはすべて忘れて毎日朝から深夜まで撮影に没頭し、寝るのはオリンピックが終わってからにすればいいと思ってしまうほど楽しい日々です。私たちの1番大事な仕事はオリンピックに参加する全ての日本選手を漏れなく撮り、それをテレビや出版などの報道に使ってもらうことですが、時間の隙間を見つけて極力自分のための映像を残そうという活動も忘れないで続けています。今回の写真展では日本選手の映像、時代時代のオリンピックの変遷、スポーツ文化の変遷、そして普段は見てもらうことがほとんどない私たちの思い思いの映像を合わせてみていただきたいと思っております。

アフロスポーツ 青木 紘二

作家メッセージ

会場

キヤノンギャラリーS
東京都港区港南2-16-6 キヤノンSタワー1階

開催期間

2021年7月2日(金)~8月25日(水)

開催時間

10時00分~17時30分

休廊

日曜日・祝日、夏季休業8月7日~8月15日

作者プロフィール(敬称略・順不同)

青木紘二

富山県魚津市出身。
20代前半よりスイス留学、哲学を学ぶ。スイス連邦公認国家スキー教師の資格を持ち、スイス及び日本でプロのスキー教師を5年間経験。1976年からカメラマンとして仕事を始める。語学力を生かしてスポーツを中心に広告・出版撮影を行う。
1998年長野オリンピック以降は日本オリンピック委員会(JOC)公式記録の撮影チームのリーダーとして常に新しい映像を追求し撮影に臨んでいる。
夏冬合わせて18回のオリンピックを経験、東京2020大会に向けては東京2020組織委員会にて2017年1月から2020年3月までフォトチーフを、同年4月から2021年3月までフォトアドバイザーを務めた。現アフロ代表。

YUTAKA

1974年東京都出身。
1995年東京工学院専門学校卒業後、(株)マイスポーツ出版でアシスタントを経て、99年カナダに渡る。
2000年帰国後、サッカー、ラグビーを中心にフリーランス活動を展開。
2002年よりアフロスポーツに所属。
オリンピックや世界選手権など、国内外を問わず精力的に撮影している。

日本スポーツプレス協会(AJPS)会員
国際スポーツプレス協会(AIPS)会員

長田洋平

1986年、東京都出身。
2009年、早稲田大学教育学部卒業後、アフロに入社。
スタジオアシスタントを経て、2012年よりアフロスポーツ所属。ロンドンパラリンピックではパラスポーツの素晴らしさを知る。以降、夏冬オリンピック・パラリンピックを経験。2018年には念願だったサッカーW杯を経験。ジャンルを問わず、主に報道のフィールドでアスリートのストーリーを追い続ける。車いすバスケットボールのスポーツドキュメンタリーも撮影中。

松尾憲二郎

1985年東京生まれ。
都立工芸高校デザイン科卒業。
バックカントリースキーの撮影にあけくれ雪山を登ってきた。
2014年より「アフロスポーツ」に所属。現在は様々なスポーツを撮影している。

日本スポーツプレス協会(AJPS)会員
国際スポーツプレス協会(AIPS)会員

西村尚己

1969年、兵庫県生まれ。
大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。大学卒業後は国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも、どうしてもプロの世界で挑戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じ取れる作品作りに励む。

森田直樹

1993年、奈良県生まれ。
2014年、ビジュアルアーツ専門学校・大阪卒業後、アフロに入社。
4年間のスタジオアシスタントを経て2018年よりアフロスポーツ所属。
スポーツ選手の心情を追い、選手たちの努力、成長や挫折、感動を写真で表現することを目指す。
スポーツ撮影を中心にポートレイトなどジャンルを問わず活動中。