写真展告知

中悠紀写真展:積み木の都市 BLOCKPOLIS

幼少の頃僕はブロック遊びをよくしていて、作っては壊し、作っては壊しと遊んでいた。

ある時、今までの自分が作り上げたものの中で最高のものができたと確信し、これは残しておこうと決めた。

そのことを知った父が、お前に5,000円あげるからこれを分解させて欲しいと頼んできた。

当時の僕にとって5,000円はとても大金で、月のおこずかいの何ヶ月分にもなる金額だったが、このブッロクたちは壊したくないと思い頑なに拒んだ。

数ヶ月が経ちふと散らかった部屋の片隅を見ると、そのブロックの塊は元の形を思い出せないほど小さくなり、別の形になっていた。

自分が素晴らしいと思っていたものが、異形のものとなって転がっている様は当時の僕にとって大きな衝撃だった。

無意識のうちにブロックの塊から少しずつパーツを剥がし、新しいものを作っていたのだと後になって気づいた。

僕が持っているブロックの数には限りがあり、新しい何かを作るには今あるものを崩さなければならない。

それから十数年後写真を始め、街をぶらぶら歩きながら写真を撮る生活が始まった。

無造作に感覚や本能のまま現実を切り取り収集し、それを家に帰り編集し、構成を考え構築していく。

幼少の頃に行っていたブロックを積み上げて何かを作るという行為と、写真を撮り発表するという行為がリンクして見えた。

ブロックの数には限りがあったが、写真には限りがない。

再構築された現実たちはまるで積み上がった平面の都市のようで、無限に増殖を繰り返す。

都市というものは想像もつかないほどの大きな流れの中で日々変化している。

大きな建物ができ、人々の流れが変わり、いずれ無くなり、新しい何かができる。

まるで僕が幼少の頃に行っていたブロック遊びのように積み上げられたものが分解され再構築される。

構築と分解、そして再構築を繰り返す都市の中で、僕は写真を撮り僕だけの都市を作り上げる。

中 悠紀

写真展情報

会場

Gallery Niepce
東京都新宿区四谷4-10 メイプル花上2階

開催期間

2018年10月20日(土)~11月11日(日)
日曜日・土曜日のみオープン

開催時間

12時~20時