写真展告知

菅野ぱんだ写真展「Planet Fukushima」

(ニコンサロン)

実家である福島を撮りはじめて以来、私の視界には遠景、中景、近景という三つの層が形成されるようになる。それは三つの違う次元といってもいいかもしれない。たとえば近景に人間がいて遠景に風景があり、かつてそれらは同じ空間に一緒くたに存在していたはずなのに、あの事故をきっかけに今では放射能という異物によって遮られてしまっている。そしてその目に見えない中景はこの先もずっと私たちと風景の間に居座りつづける。そんな分断された空間を意識するかたわら、六年の歳月を経て最近あらたに気づいたことは、それは人によって時間の感覚が違うということである。速かったり遅かったり、長かったり短かったり、切れ切れだったり、あるいは一挙に溯行して震災以前に戻っていたり…。時の流れが違うということは、あの震災の意味も人それぞれだということであり、むろんそれは福島以外のどの地域の人々にとっても時の概念、そして震災に対する思いは個々に異なるものだろう。ただ現在の福島という空間における目に見えない中景(異物)の存在が、それぞれの時の感覚に特別な影響をもたらしている気がしてならない。(菅野ぱんだ)

カラー・モノクロ約40点。

新宿ニコンサロン 2017年3月 - 写真展 - ニコンサロン|ニコンイメージング

会場・スケジュールなど

  • ・会場:新宿ニコンサロン
  • ・住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • ・会期:2017年3月28日(火)~4月10日(月)
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

2001年NYU Film Production課程修了。02年に帰国以降、ポートレート、ランドスケープを中心に活動。生まれ故郷である福島県伊達市霊山町は福島第一原発から北西に50キロほどのところに位置し、震災当時ホットスポットと呼ばれる高線量の地点がところどころ観測された。現在は東京と実家である福島を行き来しながら作品制作を行っている。

写真展に、98年「プライベートルームII―新世代の写真表現」(水戸芸術館)、01年「SEVEN ROOMS」(福島県立美術館)、12年「写真新世紀仙台展」(せんだいメディアテーク)などがある。

受賞歴に、第13回写真新世紀展2004荒木経惟賞がある。

写真集に『海、その愛...』『南米旅行』『パンダちゃん』『コパンダちゃん』(以上リトルモア)、『1/41、同級生を巡る旅』(情報センター出版局刊)がある。