イベントレポート

あの青山裕企さんがポートレート撮影をアマチュアに指導

ドスパラのクリエイター支援イベントを体験

左が青山裕企さん。右はモデルの丸井桜子さん

パソコン専門店のドスパラが主催する写真撮影イベント「第6回DCPフォトウォーク in 稲毛海浜公園」が7月26日(土)、千葉市美浜区の稲毛海浜公園で開催された。講師には写真家の青山裕企さんを迎え、女性モデルの丸井桜子さんと小杉ゆんさんを被写体としたポートレート撮影の基礎技術を学んだ。

写真作品「スクールガール・コンプレックス」「絶対領域」「少女礼讃」などで知られる青山裕企さんが、講師を務めるフォトウォーク。著名なプロの写真家から直接撮影技術を学べる貴重な機会として、多くの参加者が集まった。

まず、レンズ選択と焦点距離について、青山さんは「50mmの単焦点レンズを使っているが、ズームレンズでも全然大丈夫」としながらも、「上手くなりたいなら何mmで撮っているかを自覚してほしい」と述べた。「ズームレンズをずっと使っていて構図の力がつかない最大の理由は、何mmで撮っているかがわからないこと」と指摘し、焦点距離を把握することの重要性を説いた。

つづいて、コミュニケーションの重要性も強調。「相手の名前をちゃんと覚えて、名前で呼ぶことが大切」と語り、人見知りやシャイな参加者に対しても「名前で呼ばれて悪い気はしない。相手のことを知っていて、尊重していることが伝わる」とアドバイス。「喋りが下手でも、盛り上げられなくても大丈夫。それよりも相手のことを気遣う気持ちが大事」と参加者に語りかけた。

「面白く喋って盛り上げているけど、モデルさんが疲れているのに気づかずに撮り続ける、というのが1番良くない」と具体例を挙げ、相手への配慮の重要性を説いた。

コミュニケーション術の1つとして、「ペット飼ってますか?」という問いかけを紹介した。「飼っていたら家の猫を想像して良い表情になるし、飼っていなくても会話のきっかけとなる。どちらに転んでも話しやすく、表情も良くなる」と解説。

また褒めることの重要性を強調し、「褒めれば褒めるほど間違いなく良い表情になる」と語った。「バストアップで撮ります」「全身撮ります」など、撮影範囲を事前に伝えることで「モデルさんがリラックスできる」ことも重要だと指導した。

モデルは小杉ゆんさん

光の扱い方については、「太陽が真上にある時は基本的に撮影しない方がいい。影が下に落ちて、特に女性には良くない」と説明し、目の下のクマが強調されたり、ほうれい線が出やすくなることを理由に挙げた。撮影時の光の管理には「サン・サーベイヤー」などのスマートフォンアプリ活用し、「太陽の軌道が分かるので、30分後にビルに隠れるといった予想が立てられる。これはマストで持っていってほしい」と語った。

レフ板を活用した撮影技術も伝授

実際の撮影では、日陰と日向の境界を活用したテクニックも実演。「モデルが日陰にいて、カメラマンが日向にいる状態で前後に動くことで、光のコントロールができる」と解説した。

参加者から最も多く寄せられた質問は、ポートレート撮影に最適なカメラの設定に関するものだった。特に真夏の晴天下では、ISO感度を100から200に設定しないと白飛びしやすい状況があり、青山さんは「絞りは小さくした方が背景がボケるので良いが、白飛びの原因になるため気をつけた方がよい」とアドバイスした。「ポートレート、特に女性は肌を綺麗に写す必要があるため、白飛びには気をつけましょう」と繰り返し強調した。

プロから直接指導が受けられるスタイルは参加者からも好評だった

初心者向けポートレート撮影で最も重要なポイントについて、青山さんは「モデルさんが撮られて嬉しいような写真を撮ること」と語った。「撮った写真をデジカメのモニターで見せながらコミュニケーションして、喜んでもらえるような写真が撮れるようになれば、また撮ってくださいと言われるようになる。経験が増えていって、どんどん上手くなると思う」と参加者に向けてメッセージを送った。

今回のイベントは、ドスパラのクリエイティブ支援プログラム「ドスパラクリエイティブプロダクション(DCP)」の一環として実施された。カメラ歴を問わず参加可能で、撮影機材もカメラからスマートフォンまで幅広く対応している。参加者が撮影した作品は後日、青山さんによる講評動画としてDCP公式YouTubeチャンネルで公開される予定だ。

本誌:佐藤拓