イベントレポート
PHOTONEXT2025:最新LEDライトやAIバーチャルプロダクションなどがお披露目
ソニーの新シネマカメラ「FX2」も展示
2025年6月12日 11:33
写真館やウェディングなどのフォトビジネスおよびプロフォトグラファーを対象としたイベント「PHOTONEXT 2025」が6月10日(火)と6月11日(水)にパシフィコ横浜で開催された。主催は株式会社プロメディア。
このページでは、会場で見つけた主に動画撮影に関する機材をレポートする。写真関係の機材については別記事を参照されたい。
Cinema Line入門機「FX2」を展示(ソニー)
ソニーが5月28日(水)に発表したばかりの動画向けカメラ「FX2」がさっそく展示されていた。発売は8月1日(金)で、価格は41万6,900円となっている。
FX2は、同社のプロ向け動画カメラである「Cinema Line」の下位モデルとして加わったモデル。ハイスピード撮影などの一部スペックを落とすことで、上位モデルとなる「FX3」よりも安価になっており、本格的な動画カメラの入門機として訴求している。
ソニーによると、FX3は完全なプロ機だがFX2はその裾野を広げる役割があるとのこと。これから映像制作を学ぶ人にも適しているという。冷却ファンも搭載していることからウェディングなどでも長回しができるそうだ。
外観では、FX3には無かったEVFが搭載された。日中の屋外で液晶モニターが見にくいという声に応える装備だという。
また、FX2、FX3ともにフルサイズセンサーを搭載しているが、FX2の方が約3,300万画素と高画素で写真撮影にも向く。そのためαシリーズのようにEVFを覗いて写真が撮れるようにしたそうだ。
なおFX3は画素数が少ないぶん、高感度の画質はFX2よりも優れるということだった。そのため、ライブハウスなどの撮影にはFX3がより向いているそうだ。
またブースではスマートデバイス用のアプリ「Monitor & Control」のデモも行っていた。
最大4台までのカメラを繋ぎ、映像をモニターできるほか録画の開始/停止やフォーカスといった各種の操作が行えるアプリとなっている。会場ではFX3、FX6に加えてビデオカメラ「PXW-Z200」を接続していた。
PHOTONEXTで動画機材をアピールすることについて同社は、「写真館でも今後、動画撮影を行うというビジネスの発展が考えられる。その時にソニーとしてサポートできることを示したい。ブライダルでは1人で数台のカメラを回すケースも多く、アプリですべてのカメラを確認しながら撮れる便利さを見て欲しい」と話していた。
100Wの小型フルカラーライト(ZHIYUN)
ケンコー・トキナーが扱うZHIYUNの新製品としてLEDライト「MOLUS X100 RGB COB LIGHT」が展示されていた。6月13日(金)発売で通常のキットが4万4,800円、ソフトボックスなどが付属するPROエディションが6万7,800円となる。
100Wのパワーながら本体が薄く持ち運びに向く。従来モデルは同じサイズでバイカラーだったが、新モデルではフルカラーにアップグレードした。小型軽量のため、特に屋外ロケに持ち出す際にバッグへの収まりが良いという。
取り外し式のバッテリーも備えており、グリップも兼ねることから持ちやすさもポイントだ。独自のZYマウントを採用しており、リフレクターやソフトボックスを装着可能。PROエディションにはボーエンズマウントアダプターも付属する。
またスポットライトアタッチメントも発売する。木漏れ日のような光などを作れるアタッチメントで、光のパターンを決めるプレートが10枚付属する。ライトへの装着はZYマウント。
シャープに光を絞れる汎用アクセサリー(NANLITE)
VANLINKSが扱うNANLITEでは、ボーエンズマウントのプロジェクションアタッチメント「PJ-BM-25-45」を展示していた。6月末に6万9,800円で発売する。
こちらも光のパターンを投影できるアタッチメント。マウントにLEDライトやストロボで多く採用されているボーエンズマウントを採用したことで、NANLITE以外のライトでも使用が可能。対応する灯体は800W以下となっている。
最近ではこうしたアタッチメントで背景紙に色を付けたり、パターンを照射して動画を撮る例が多いという。また人物撮影時にスポットライト的に演出を加えるといった使い方もあるそうだ。
低価格のタッチスクリーンモニター(PortKeys)
PortKeysを扱うケンコープロフェショナルイメージングでは、5型の外付けモニター「PT5 III」を参考展示していた。発売時期と価格は未定。
タッチパネルでメニュー操作が行えるHDMI対応のモニター。価格についても比較的安価になるという。インターフェースは日本語対応となっておりわかりやすさもメリットになる。
HDMIは入出力を備えるため、数珠つなぎにもできる。バッテリーはNP-Fタイプで、USB Type-C端子での給電にも対応している。
フレアの色が特徴的なシネマレンズ(トキナー)
トキナーのシネマレンズでは、新モデル「VISTA-C」が10月頃に登場する。価格は未定。焦点距離は18-135mmの9本がラインナップされ、すべてT1.5と大口径タイプになっている。
VISTA-Cシリーズは敢えてフレアを出しやすくしており、赤や青といった特徴的なフレアが現れるという。また柔らかいエッジの描写などクラシックレンズをイメージしているようだ。
PLマウント対応ということで、高価格帯のシネマカメラではよく使われているマウントになる。スチルカメラユーザーにはなじみの薄いマウントだが、今後スチルカメラマウントのレンズに応用されれば面白みのあるアプローチだ。
28万円からのAIバーチャルプロダクション(Redefine Arts)
Redefine Artsが開発したバーチャルプロダクション「特撮スタジオ」がお目見えした。9月に発売する。
実写の人物に背景を合成するバーチャルプロダクションシステムで、従来数百万円かかっていた合成映像を28万円からという低価格で提供するのが特徴となっている。
背景はAIで生成可能となっており、プロンプトを入力するとそれに応じた世界観が生成されるのも注目ポイントだ。背景はカメラや人物の動きに合わせて動くため、実際の風景の中で撮影したような自然な合成ができるようになっている。
人物の動きに応じてアクションが起きるインタラクティブな機能もあり、手でハートを作るとハートが画面に生み出されるといったことができる。またキャラクターと人物を戦わせたりもでき、例えば七五三の撮影で子供が喜びそうな仕掛けとなっている。
カメラからHDMIで出力し、UVCアダプターなどで変換してPCに映像を入力する。簡単な動画編集機能も備えており、完成映像はMP4で書き出せる。フォトモードも利用できる。
パッケージに含まれるのは2台のトラッキングセンサーとソフトウェア。ユーザーはPC、照明、グリーンバック、カメラなどを用意する。
Redefine ArtsはVRゲームなども制作している企業で、「特撮スタジオは写真館の新しい商材になる」とアピールしていた。