イベントレポート

PHOTONEXT2025:最新LEDライトやAIバーチャルプロダクションなどがお披露目

ソニーの新シネマカメラ「FX2」も展示

ソニーのCinema Line新製品「FX2」

写真館やウェディングなどのフォトビジネスおよびプロフォトグラファーを対象としたイベント「PHOTONEXT 2025」が6月10日(火)と6月11日(水)にパシフィコ横浜で開催された。主催は株式会社プロメディア。

このページでは、会場で見つけた主に動画撮影に関する機材をレポートする。写真関係の機材については別記事を参照されたい。

会場の様子

Cinema Line入門機「FX2」を展示(ソニー)

ソニーが5月28日(水)に発表したばかりの動画向けカメラ「FX2」がさっそく展示されていた。発売は8月1日(金)で、価格は41万6,900円となっている。

ソニーのブース
発売前の製品とあってFX2を手に取る来場者が多い

FX2は、同社のプロ向け動画カメラである「Cinema Line」の下位モデルとして加わったモデル。ハイスピード撮影などの一部スペックを落とすことで、上位モデルとなる「FX3」よりも安価になっており、本格的な動画カメラの入門機として訴求している。

FX2

ソニーによると、FX3は完全なプロ機だがFX2はその裾野を広げる役割があるとのこと。これから映像制作を学ぶ人にも適しているという。冷却ファンも搭載していることからウェディングなどでも長回しができるそうだ。

グリップ部分
前面にも録画ボタンがある

外観では、FX3には無かったEVFが搭載された。日中の屋外で液晶モニターが見にくいという声に応える装備だという。

EVFをチルトしたところ

また、FX2、FX3ともにフルサイズセンサーを搭載しているが、FX2の方が約3,300万画素と高画素で写真撮影にも向く。そのためαシリーズのようにEVFを覗いて写真が撮れるようにしたそうだ。

Cinema Lineのステータス表示も
底面

なおFX3は画素数が少ないぶん、高感度の画質はFX2よりも優れるということだった。そのため、ライブハウスなどの撮影にはFX3がより向いているそうだ。

FX3(左)とFX2(右)

またブースではスマートデバイス用のアプリ「Monitor & Control」のデモも行っていた。

最大4台までのカメラを繋ぎ、映像をモニターできるほか録画の開始/停止やフォーカスといった各種の操作が行えるアプリとなっている。会場ではFX3、FX6に加えてビデオカメラ「PXW-Z200」を接続していた。

Monitor & Controlの画面
会場のデモはワイヤレス接続で行っている
FX6
PXW-Z200

PHOTONEXTで動画機材をアピールすることについて同社は、「写真館でも今後、動画撮影を行うというビジネスの発展が考えられる。その時にソニーとしてサポートできることを示したい。ブライダルでは1人で数台のカメラを回すケースも多く、アプリですべてのカメラを確認しながら撮れる便利さを見て欲しい」と話していた。

100Wの小型フルカラーライト(ZHIYUN)

ケンコー・トキナーが扱うZHIYUNの新製品としてLEDライト「MOLUS X100 RGB COB LIGHT」が展示されていた。6月13日(金)発売で通常のキットが4万4,800円、ソフトボックスなどが付属するPROエディションが6万7,800円となる。

付属のリフレクターを装着したところ

100Wのパワーながら本体が薄く持ち運びに向く。従来モデルは同じサイズでバイカラーだったが、新モデルではフルカラーにアップグレードした。小型軽量のため、特に屋外ロケに持ち出す際にバッグへの収まりが良いという。

本体部分はかなり薄い
背面。冷却ファンも内蔵している
LED部分

取り外し式のバッテリーも備えており、グリップも兼ねることから持ちやすさもポイントだ。独自のZYマウントを採用しており、リフレクターやソフトボックスを装着可能。PROエディションにはボーエンズマウントアダプターも付属する。

バッテリーのほか付属のACアダプターやUSB Type-Cでの給電も可能
ソフトボックスの装着例
ボーエンズマウントアダプター

またスポットライトアタッチメントも発売する。木漏れ日のような光などを作れるアタッチメントで、光のパターンを決めるプレートが10枚付属する。ライトへの装着はZYマウント。

スポットライトアタッチメントを装着したところ
付属のプレート
照射例

シャープに光を絞れる汎用アクセサリー(NANLITE)

VANLINKSが扱うNANLITEでは、ボーエンズマウントのプロジェクションアタッチメント「PJ-BM-25-45」を展示していた。6月末に6万9,800円で発売する。

灯体に装着したプロジェクションアタッチメント

こちらも光のパターンを投影できるアタッチメント。マウントにLEDライトやストロボで多く採用されているボーエンズマウントを採用したことで、NANLITE以外のライトでも使用が可能。対応する灯体は800W以下となっている。

青い部分を出し入れして光を四角に成型できる
照射例

最近ではこうしたアタッチメントで背景紙に色を付けたり、パターンを照射して動画を撮る例が多いという。また人物撮影時にスポットライト的に演出を加えるといった使い方もあるそうだ。

低価格のタッチスクリーンモニター(PortKeys)

PortKeysを扱うケンコープロフェショナルイメージングでは、5型の外付けモニター「PT5 III」を参考展示していた。発売時期と価格は未定。

かなり軽量なのも印象的だった

タッチパネルでメニュー操作が行えるHDMI対応のモニター。価格についても比較的安価になるという。インターフェースは日本語対応となっておりわかりやすさもメリットになる。

メニューが外国語の製品も多いが本品は日本語対応

HDMIは入出力を備えるため、数珠つなぎにもできる。バッテリーはNP-Fタイプで、USB Type-C端子での給電にも対応している。

背面
USB Type-C端子も備えている

フレアの色が特徴的なシネマレンズ(トキナー)

トキナーのシネマレンズでは、新モデル「VISTA-C」が10月頃に登場する。価格は未定。焦点距離は18-135mmの9本がラインナップされ、すべてT1.5と大口径タイプになっている。

T1.5ということでそれなりに大きい

VISTA-Cシリーズは敢えてフレアを出しやすくしており、赤や青といった特徴的なフレアが現れるという。また柔らかいエッジの描写などクラシックレンズをイメージしているようだ。

前玉

PLマウント対応ということで、高価格帯のシネマカメラではよく使われているマウントになる。スチルカメラユーザーにはなじみの薄いマウントだが、今後スチルカメラマウントのレンズに応用されれば面白みのあるアプローチだ。

28万円からのAIバーチャルプロダクション(Redefine Arts)

Redefine Artsが開発したバーチャルプロダクション「特撮スタジオ」がお目見えした。9月に発売する。

特撮スタジオのデモ。手前の小さな四角い装置がトラッキングセンサー

実写の人物に背景を合成するバーチャルプロダクションシステムで、従来数百万円かかっていた合成映像を28万円からという低価格で提供するのが特徴となっている。

背景はAIで生成可能となっており、プロンプトを入力するとそれに応じた世界観が生成されるのも注目ポイントだ。背景はカメラや人物の動きに合わせて動くため、実際の風景の中で撮影したような自然な合成ができるようになっている。

人物の動きに応じてアクションが起きるインタラクティブな機能もあり、手でハートを作るとハートが画面に生み出されるといったことができる。またキャラクターと人物を戦わせたりもでき、例えば七五三の撮影で子供が喜びそうな仕掛けとなっている。

ハートを出したところ

カメラからHDMIで出力し、UVCアダプターなどで変換してPCに映像を入力する。簡単な動画編集機能も備えており、完成映像はMP4で書き出せる。フォトモードも利用できる。

トラッキングセンサー。オプションで4台に増やすとさらに広いスタジオに対応できる

パッケージに含まれるのは2台のトラッキングセンサーとソフトウェア。ユーザーはPC、照明、グリーンバック、カメラなどを用意する。

Redefine ArtsはVRゲームなども制作している企業で、「特撮スタジオは写真館の新しい商材になる」とアピールしていた。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。