イベントレポート

シグマ、新作映画の上映会を本社で開催。新製品貸出し体験会も

山中有監督(左)とシグマの山木和人CEO(右)

シグマは新レンズ「SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art」の発売を記念して、6月24日に「新製品貸出し体験会・新作映画プレミア上映会 at 新本社」を開催した。ここではその模様をお伝えする。

イベントが開催されたのは神奈川県川崎市のシグマ本社。新作映画のプレミア上映会と製品体験会の2部構成で、多くの来場者が訪れていた。

会場のシグマ本社
レンズのデザインを取り入れたのぼりが出ていた

インタビューだけの異色作

新作映画はシグマのブランドムービーとなるオリジナル短編映画『WHAT’S A GOOD PHOTO TO YOU?』。これまでシグマの映像作品『Aizu, Japan』三部作や『blur』『しんしん』などを担当した山中有さんが監督を務めた。

「あなたにとって良い写真とは?」という質問を一般の人や写真家に問いかけて、その答えを集めた作品。インタビューシーンのみという珍しい構成で、それぞれの”良い写真”に対する考えがいろいろあって興味深く見ることができた。改めて、写真について考える機会を世に問う作品となっている。

制作期間は足かけ2年と、当初の予定を大幅に上まわる時間をかけたそうだ。出演している著名人(出演順)は、今井田彩那さん(写真家/カメラ収集家)、澤田知子さん(アーティスト)、齋藤陽道さん(写真家)、深田志穂さん(写真家/映像作家)、上田義彦さん(写真家)、藤井保さん(写真家)。

上映後には山中有監督とシグマの山木和人CEOによるトークショーが行われた。

山木さんから「新しい映像をお願いしたい。おまかせします」という話があり、それを受けた山中さんが企画を提案する形で制作が始まったという。

山中監督: 「おまかせ頂いてありがたいんですが、それ以上に凄く迷うんですよね。今回だと”このレンズを使えば良い写真が撮れますよ“というのは簡単なのですが、そもそも”良い写真て何ですか?”と思うユーザーが多いのだろうと思ったんです。それは人によって違うはずです。それをきっかけに、迷いながら自問自答しているスタイルを見てもらいたいと思いました」

山木CEO :「たったひとつの質問だけで、こんなにバラエティのあるコメントがあって驚きました。もともとこの企画は、10-15分くらいのショートムービーを作りましょうというものでした。ところが山中さんがノリにノってしまい、最初は半年くらいでできる予定が、1年経っても納品してくれない(笑)。そのうちに『30分以上になっても良いですか?』と聞いてきました。それで、『もう好きにやってください』という感じになりました(笑)」

山木CEO :「30分以上“あなたにとって良い写真とは何ですか?”と聞いて応えるだけの映画なんて見きれないと思ったのですが、見られますね。もっと長くても良いくらいです」

山中監督 :「私も15〜20分が限界かなと思っていたんです。あまりこういうスタイルのドキュメンタリーは無いですし、人がしゃべっているだけというのは一番眠くなるんです。それで、無理があるかなと思ったのですが、実際撮影してみると予想より色々な答えが返ってきて、やり始めたら面白くなってしまって、皆さんにご迷惑をおかけしました(笑)」

山中有監督作品「WHAT’S A GOOD PHOTO TO YOU?」より

山木CEO :「今回、ぎゅうぎゅうに切り詰めてこの時間だったんですよね。もっと入れたかったというのもあるんですよね」

山中監督 :「撮影したのがトータル100人くらい。採用したのが40人くらいです。採用できなかった人も素晴らしいお答えが沢山ありました。泣く泣くバッサリ切ったという感じです。ですから、良い形でディレクターズカット版にトライしてもいいかなと思っています。撮り終わって思うのは、人は心が動いた瞬間が人生の節々にあって、シャッターを切っているんだなということです。本当にみなさん写真に対する想いを持っていて、それを知ることができたのが今回の大きな収穫だと思います」

体験会は「SIGMA 14mm F1.4 DG DN|Art」が人気

トークショーの後は社員食堂に移り、製品の体験会が行われた。希望するレンズやボディを2時間まで借りることができ、使い勝手などを確認できた。

体験会が行われた社員食堂
会場には塩澤一洋教授も。SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Artをリクエスト
スタッフから説明を聞くこともできた
参加者には軽食が振る舞われた

もちろん目玉となったのは6月23日に発売されたばかりのSIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art。世界最広角の開放F1.4レンズということで、注目度が高いようだ。このレンズの試用が目当ての来場者も多かったようで、貸出機材でも一番の人気機種となっていた。35mmフルサイズセンサーに対応しており、LマウントとEマウントが用意される。実勢価格は税込22万円前後だ。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art
三脚座が付属する
後部にフィルターを装着可能
カメラへの装着例

レンズキャップがユニークで、レンズ後部に装着するフィルターを収納できるようになっている。

キャップの裏側に2つのフィルター収納部がある
収納部を開けたところ

貸し出されるボディはSIGMA fp/fp Lの用意もあり、こちらも人気だった。

SIGMA fp
参加者は敷地内で思い思いに撮影を楽しんだ

会場にはグッズの販売コーナーも設けられ、Tシャツ、帽子、ルーペなどが会場特価で提供されていた。

レンズ構成図が描かれたTシャツ
同社レンズに採用している光学ガラスを用いた「SIGMAルーペ」

参加者にはお土産として、コンセプトブック、SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Artのパンフレット、ステッカー、バッグが手渡された。

シグマの本社は2022年5月に落成したばかり。小田急多摩線の黒川駅から徒歩10分ほどの場所で、周りには緑も多い。白を基調とした爽やかな作りで、大きな窓が印象的な建物になっている。

レンズを一面に並べた「レンズセラー」も見ることができた

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。