フォトコンテスト
AIが写真を格付け?「花フォト」勝ち抜きコンテストがスタート!!
2019年11月14日 12:40
小社インプレスが運営する写真投稿サイト「GANREF(ガンレフ)」は11月14日、Microsoft AIを活用した「花フォト」勝ち抜きコンテストの応募受付を開始した。
このコンテストは、花の写真を投稿すると、その写真にMicrosoft AIが点数をつけ、その点数をもとに入賞者が決まるというもの。Microsoft AIにはGANREFに投稿された花の写真・約10万点を読み込ませ、GANREF Pointの高い写真の傾向を機械学習させている。
コンテストの選者がAIという、フォトコンテストとしては異例の試み。といっても実験的な要素も多分にあるため、難しく考えず「自分の写真をAIがどういう点数をつけるのか?」「どんな写真が高得点になるのか?」といった気持ちで気軽に参加してみてほしい。
せっかくなので、今回の審査をおこなうAI開発の指揮をとった株式会社ネクストスケープの上坂貴志さん(システムインテグレーション事業本部クラウド推進部部長)にお話をうかがった。
——まずは機械学習とはどのようなものなのか、という辺りからお聞きしたいと思います。
現在、機械学習の画像解析の多くでベースに用いられているのは、Convolutional Neural NetworkというDeep Learningの手法です。この方法は畳み込みという処理をおこない、画像を幾つかのエリアに分割してエリアごとに抽象化をしつつ特徴を抽出することを繰り返します。この特徴が従来は人間が用意していた解析時のルールに相当するわけです。
抽象化した上で特徴で抽出するため位置ズレにも強く、トリミングした画像や、カメラ位置をわずかに動かして撮影した画像も類似として選び出しやすくなります。顔認識・顔検出もこの技術の応用といえるでしょう。
——実際の学習ではどのようなことをおこなったのでしょうか?
機械学習というのは突き詰めて言ってしまえば、関数を作り出す作業です。例えば「花」と「それ以外」の写真を分別するとなると、まず最初に適当な位置で関数の曲線を引き、そこにサンプルをどんどん増やしていくことで曲線を変化させます。うまく学習できると、ある形で曲線が収束します。曲線によって分断されたエリアの1つが「花」でもう1つのエリアが「それ以外」となります。今回のサンプルはGANREFに投稿された写真約10万点を使用しました。
ただ、一口に「花」の写真と言っても、被写体に思い切り寄った作品もあれば、一面に広がった花畑を撮影した作品もあります。これは機械学習にとってはまったく別のカテゴリであると考えたほうが自然であるため、同じ土俵で比較するわけにはいきません。そこで、まずクラスタリングと呼ばれるカテゴリ分けのためにタグ付けを自動的におこなうようにしました。そのために用いたのが、まず写真ファイルの中にあるメタデータEXIF情報ですね。
もう1つ利用したのが、MicrosoftさんのCognitive Servicesです。このサービスは検索情報サービスBingなどを通して得られたであろう膨大な量の様々なデータによって構築された学習済みのエンジンで、自分で関数を作る必要はありません。これを使用して物体検知をおこないました。具体的にはこの写真に何が写っているのか、どの位置に「花」があるかといった構図の情報ですね。
あとは指標としてのGANREF Pointです。これらを加味して、関数を作っています。
——機械学習を行う上で、環境の構築は大変なものなのでしょうか?
開発にはMicrosoftさんのAzureを使用しています。今回使用したのは3つの環境です。
先ほどお話ししたCognitive Services、これは環境というかAPIです。外部から呼び出して使用します。
そして、今回はクラスタリングのために使用した「Machine Learning Studio」。これはブラウザで動作する機械学習ツールですが、ブラウザで動かしているとは思えないほどしっかりとした動きとインターフェースをしており、とても便利です。
そして、一番最後となる採点のためのDeep Learningのモデル学習作業では、Azure上で動くバーチャルマシン「IaaS」を利用しました。これは機械学習の開発環境が全部入りになってまして、簡単に環境が整います。なので、環境の構築に関してそれほど苦労はありませんね。
実は開発にあたって、ほとんどAzureに触れたことのないエンジニアに担当してもらったのですが、1カ月でやり遂げました。
——さて、最後になりますが、お遊び企画かと思いきや意外にも賞品が豪華なので応募する方の熱も上がってしまうかと思います。開発に携わった立場から「こういう写真が高ポイントになりやすい」というアドバイスはありますか?
いや、まったくつかめませんね(笑)実際に自分で試しても、どうしてこちらの写真の方が点数が高いんだ? と思うことが間々ありました。
編集部:私も自信のある写真を試しましたが、酷い点数でした(笑)
——ということですので、読者の方も肩の力を抜いて参加して頂けたらと思います。