ニコン「D600」の発表会レポート
ニコンは13日、デジタル一眼レフカメラの新モデル「D600」などの発表会を都内で開催した。ここでは発表会の模様をお伝えする。
D600。発売は9月27日。ボディのみの店頭予想価格は22万円前後の見込み |
新製品の詳細は、ニコン、FXフォーマット最小最軽量の「D600」およびニコン、大口径単焦点レンズ「1 NIKKOR 18.5mm F1.8」を参照されたい。
■中級機ユーザーの3人に1人が中級FXフォーマット機を欲する
D600は、ニコンが2012年に発売したFXフォーマットのデジタルカメラとしては「D4」、「D800」、「D800E」に続く4機種目。冒頭でニコンイメージングジャパン取締役社長の五代厚司氏は、「D600はFXフォーマットの良さを存分に発揮するモデル。画質や機動性で幅広い支持を頂けると考えている」と挨拶した。五代氏によると5月に発売したDXフォーマット機「D3200」も好評とのことだ。
ニコンイメージングジャパン取締役社長の五代厚司氏 |
続いて登壇したニコン映像カンパニー開発本部長の山本哲也氏は、作例を示してD600の有効約2,426万画素センサーの高精細な描写を訴えた。特に被写体のディテールの表現に優れるとする。
ニコン映像カンパニー開発本部長の山本哲也氏 |
精細感や高感度画質をアピールした |
また山本氏は、中級機ユーザーの3人に1人が中級のFXフォーマット機を欲しているとのデータを提示し、「D600は、価格やサイズなどFXフォーマット機へのステップアップのハードルが下がる。D600の投入で(FXフォーマット機の)アドバンストアマチュアからプロフェッショナルまでをカバーするラインナップが完成した」とした。
D600のポジショニング。中級DXフォーマット機からのステップアップ層を狙う | D4、D800、D800E、D600でFXフォーマット機のラインナップがより拡充 |
なおD600は新ラインのカメラであり、特定モデルの後継機ではないとしている。同社ではD600の大きな特徴を、「FXフォーマット史上、最小・最軽量」、「約2,400万画素とニッコールレンズによる高画質」、「上位機種に迫る高い基本性能」の3つだと説明した。
D600の3大特徴 |
中級機のユーザーは高い割合で中級FXフォーマット機を欲するという | D600はFXフォーマット機購入の障壁を下げたとする |
■「D600はバランスの良い高級セダン」
企画をまとめたニコン 映像カンパニーマーケティング本部 第一マーケティング部ゼネラルマネジャーの笹垣信明氏は、「D600は、より身近にFXフォーマットの世界を感じて欲しいと思って企画した。写欲をかき立て被写体のありのままを表現する」と説明した。
ニコン 映像カンパニーマーケティング本部 第一マーケティング部ゼネラルマネジャーの笹垣信明氏 |
D600では、光学ファインダーの低背化やシャッターユニットの小型化などでボディを小型化。「D800より一回り小さい」(笹垣氏)。光学ファインダーは視野率約100%。D800と同等の見えとしている。光学ファインダーの小型化と併せて、新設計のボディにより軽量化も図った。ボディ外装はマグネシウム合金だが、内部は耐久性を確保した上でプラスチック部品も使い軽くしたという。
グリップ部分の赤い意匠も健在 | 上部ダイヤルにロックが付いた2段ダイヤルは初めてとのこと |
バッテリーはEN-EL15 |
またAFも一新し、フォーカスポイントが39点になるのはFXフォーマット機では初めてという。なお電子水準器はD800などと同じく2軸タイプを搭載しているが、ファインダー内表示は水平のみとなっている。また、アイピースシャッターも省略した。
画素ピッチがD800より広いため信号のセンサー出力はD800より有利だとするが、トータルの高感度性能としてはD600、D800のいずれも優れているという。
撮像素子は新設計 |
ローパスフィルターは使用している | マウント部 |
撮像素子、画像処理エンジン、ニッコールレンズで高画質を実現したとする | EXPEED 3のチップ |
AFは開放F8まで動作する。超望遠レンズとテレコンバーターの組み合わせで野鳥などを撮るのに適するとアピールした |
AFセンサー | 測光センサーは2016分割RGBセンサー |
連写速度は5.5コマ/秒 | D800同等の防塵防滴性能を備えた |
外装はマグネシウム合金製 | 縦位置グリップMB-D14もマグネシウム外装とした |
ファインダーもD800と同等の見え方を確保した | ガラスペンタプリズム |
シャッターも新規に開発。小型化などのため最高1/4,000秒に抑えた | レリーズ耐久回数は15万回となっている |
動画撮影機能「Dムービー」もD800と同等にしている | シャッターボタン脇に動画撮影ボタンを備えた |
微速度撮影はカメラ内で動画ファイルを自動生成できる |
UHS-I対応のダブルSDXCスロットを採用 |
内蔵ストロボは外部ストロボのコマンダーにもなる | 縦位置グリップMB-D14は4万2,000円。EN-EL15×1個または単3電池6本が使用できる |
MB-D14を装着したところ |
D600の撮影体験ができるイベントを東京・秋葉原で開催する。データ持ち帰り可 |
ボディのみで実売22万円という価格については、小型化技術の投入、D800と同じ画像処理エンジン「EXPEED 3」の搭載、防塵防滴設計などを考えると妥当であると説明した。「D4は海外のスポーツカー、D800は海外の高級車とすれば、D600は高級セダンに当たる。スポーツカーは必要ないが、手の届く範囲でしっかり写真を撮りたいという方にはバランスが良いのではないか」(同社)とする。
背後にあるD800より小型化を図った | 重量はD800比16%の削減を達成 |
D800(右)との比較 |
スマートフォンからのリモートレリーズや画像の転送などが行なえる「ワイヤレスモバイルアダプターWU-1b」(5,250円)も用意する。 |
WU-1bの機能は「D3200」用の「WU-1a」と同等。WU-1aは専用端子だったが、WU-1bはUSB端子に装着するようになった |
ニッコールレンズの優位性もアピール | 「AF-S NIKKOR 24-85mm F3.5-4.5 G ED VR」のキットも用意する |
D600にさまざまなレンズを装着した展示を行なっていた |
レンズ装着例(AF-S NIKKOR 50mm F1.8 G) | AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED |
AF-S NIKKOR 300mm F2.8 G ED VR II | AF-S NIKKOR 600mm F4 G ED VR |
一方、同日発表したNikon 1用(CXフォーマット)の交換レンズ「1 NIKKOR 18.5mm F1.8」は、CXフォーマット用レンズでは一番明るいレンズ。開放F1.8の標準レンズになり、「背景がきれいにボケるので、ポートレートに最適」(笹垣氏)だとする。鏡胴は金属外装を採用している。山本氏によれば、「明るいレンズを欲しいというユーザーの要望に応えた製品」という。
1 NIKKOR 18.5mm F1.8をNikon 1 J2に装着したところ |
マウント部分 |
Nikon 1シリーズの高速シャッターと組み合わせると明るい場所でもボケを楽しめるという | 各フォーマットにF1.8の標準レンズが揃った |
D600を持つ五代氏(中央左)と山本氏(中央右) |
会場の様子 |
【2012年9月14日】記事初出時「なおD800などでは2軸だった電子水準器は、1軸(水平)になっている。」と記載しておりましたが、正しくは「なお電子水準器はD800などと同じく2軸タイプを搭載しているが、ファインダー内表示は水平のみとなっている」です。
2012/9/13 19:35