RING CUBE、夏休み特別企画「海獣たちとにらめっこ」の会場を事前公開

~「イルカ」「クジラ」「アシカ」などを大判プリントで展示

 リコーフォトギャラリーRING CUBEは2日、夏休み特別企画「海獣たちとにらめっこ」の開催に先立ち会場をメディアに公開した。

海獣たちとにらめっこの会場風景

 海獣たちとにらめっこは、水中写真家・越智隆治氏の作品約60点からなる写真展。開催概要は以下の通り。

  • 名称:夏休み特別企画「海獣たちとにらめっこ」
  • 会場:RING CUBE
  • 住所:東京都中央区銀座5-7-2三愛ドリームセンター8・9階(受付9階)
  • 開催日:2011年8月3日~9月4日
  • 時間:11時~20時(最終日は17時まで)
  • 休館:火曜
  • 入場料:無料
RING CUBEがある三愛ドリームセンターRING CUBEの窓に大きなアシカの作品を掲示した

「会場を海の中にしたい」

 RING CUBEといえば、扇型の会場を活かした他では見られないコンセプトの写真展を開催することで知られる。中でも毎年実施している「夏休み企画」では、これまでもさまざまな工夫を凝らした展示を行なってきた。その夏休み企画が今回、「海獣たちとにらめっこ」に決まった。

 会場を海の中に見立て、できるだけ原寸大を意識したという大判プリントを多く展示した。いずれの写真も、一般的な水中写真とは異なる独特のものだ。イルカやアシカをほぼ正面から捉えた作品は、まるで海獣とふれあっているような感覚を覚える。

外に掲示したアシカの顔が受付の脇から見える階段は、“海に潜る感覚”をイメージした
階段を降りるとプロジェクターによる展示がある。人の動きにあわせて気泡が表示される最初のプリントでアシカが迎えてくれる

 「企画は2010年の10月から考え始めました」と話すのは、今回の企画を立案した坂口亜弥奈氏(リコーパーソナルマルチメディアカンパニー企画室)だ。「8階が海の中になればいいな、というコンセプトをデザインセンターにお願いしました」(坂口氏)。RING CUBEは9階が受付になっており、8階の会場には階段で降りていく。階段の脇にはサテンのカーテンにプリントしたイルカの大型作品を展示。まるで海に潜っていくかのような感覚が味わえる。会場も照明を普段より落として、より海中のイメージに近づけたという。

 階段を降りた正面では、プロジェクターによるインタラクティブな展示を行なう。スクリーンの前にかざした手の動きにあわせて気泡がでたり、魚のシルエットが寄ってきたりする。子どもの興味を引きつけるための工夫の1つだ。アイデアは、リコーで製品のユーザーインターフェースを手がけるデザイナーのアイデアだ。

 壁には床から天井まである大型のプリントを展示し、海獣が迫ってくる様子を演出した。天井にもプリントを配置して海の中から海面を見上げた様子を再現するなど、立体的なレイアウトになっている。奥には、サイコロを模したキューブによる展示も行なった。それぞれの面にいるイルカの数がサイコロと同じ数になっているという凝ったものだ。このあたりも、子どもを意識した見せ方だという。

床にも大きなプリントを展示。このマンタはほぼ原寸大という鮫が襲ってくる様子を立体的に表現した展示も
床から天井までを使ったの大きな作品もある天井にも多くのプリントを配置し、水中から見上げる感覚が味わえる

準備期間中も越智氏は海外へ

 写真展、特に個展は写真家が付きっきりで作品のセレクト、プリント、レイアウト、会場の照明などをギャラリーのスタッフと共に行なうのが一般的だ。ところが今回、越智氏は写真展の準備期間中もバハマで撮影を行なっており、帰国は8月12日のトークショーの時だけというスケジュール。そのため、坂口氏はバハマと連日メールで打ち合わせを行ない、時にはプリントを現地に送って仕上りを確認してもらうなど多くの苦労があったという。「越智氏が船から下りるのは土日だけ。それ以外は連絡が付かないので大変でした」(坂口氏)。

キューブ型にした作品も。「子どもの目線で、触りながら見てもらえれば」と橋本氏

 RING CUBEから“こんな写真が欲しいと”伝え、それを受けて越智氏が膨大な数を渡す。そこからRING CUBE側でセレクトしていったという。RING CUBE運営リーダーの橋本正則氏(リコーパーソナルマルチメディアカンパニー企画室 担当部長)も、「写真家本人が指示するのが普通だが、そうではないので大変だったが、ほとんどこちらに任せてもらえた。越智氏が帰国した際にどう見て貰えるか楽しみ」と話した。

 会場レイアウトやダイレクトメールなどのデザインもリコーのデザインセンターが担当した。普段は製品のデザインを担当している部署だが、そのうち5人がデザインレベルアップへのチャレンジという意味も兼ねて参加している。

ダイレクトメールは3種類を製作。ミシン目が入っており、折り曲げると立体物として飾ることができる工夫を盛り込んだ。「ダイレクトメールによる話題作りということで、デザインにこだわりました」(斎藤氏)。好評のため増刷し、計3万枚を印刷した
レイアウトを検討するための模型も製作。会場が扇形とあって、単なる図面では感覚を掴むのが難しいためだ

 デザインセンターで苦労したところはタイトル選びで、決定までに1カ月もかかったという。デザインの総合プロデュースを担当した斎藤和幸氏(リコー総合経営企画室 総合デザインセンター デザイン事業戦略室 兼務 コーポレートインテリジェンス推進部 スペシャリスト)は、「“寄ってくる”をうまく表現したかったので『にらめっこ』に決めました。夏休みということで親子連れにも楽しんで欲しい。子どもにも伝わるようにしたかった」と語った。

 越智氏によるトークショーは、8月12日の15時~16時に開催する。場所はRING CUBE 9階のワークショップスペース。申込は不要となっている。




(本誌:武石修)

2011/8/3 12:53