エグゼモード、「ヤシカ」ブランドから撤退。「アグファフォト」の輸入業務も終了


 エグゼモードは、「ヤシカ」(YASHICA)ブランド製品の開発販売および国内総輸入元だった「アグファフォト」(AGFA PHOTO)製品の輸入業務から撤退する。既報の通り、6月までにエグゼモード単体による製品開発と販売を終了するのに伴うもの。

エグゼモードが手がけ、クラシックなフォルムが話題になったヤシカブランドのデジタルカメラ「EZ F521」(2009年10月発売)

 今後ヤシカ製品については、同ブランドを保有する香港JNC Datum Tech Internationalが販売を継続するとしている。

 なお、韓国でのヤシカ製品販売からも撤退する。エグゼモードは2010年4月に韓国におけるヤシカブランドの使用権を取得。韓国K'WON Internationalと販売代理店契約を結んでいた。

 エグゼモードは、親会社のフリービットが注力しているユビキタス家電の販売に業態変更する。中国「aigo」製品の国内独占販売権を取得し、5月1日以降はaigo製品の販売に集中する。「フリービットとエグゼモードが日本市場向けの最適化を行なった上で、高品質かつコストパフォーマンスの高いaigo製品を提供していく」(フリービット広報)。

 従来エグゼモードでは、企画・市場調査、製品企画、設計・製造、品質検査、販売を行なっていた。今後は製品企画、設計・製造、品質検査からは撤退し、それらをaigoに移管する。エグゼモードは日本でのマーケティングを基に、aigo製品の企画にも関わるという。

 aigoは中国において直営店100店舗、ディストリビューター3,000社を数えるデジタル家電メーカー。「デジタルオーディオプレーヤー、モバイルストレージ、デジタルフォトフレームでは中国でトップシェア。デジタルフォトフレームでは80%以上のシェアを持つ」(フリービット社長の石田宏樹氏、説明会の動画より)。社員は約1,900名おり、うち約700名が研究開発部門に所属しているという。

 なお石田氏によればすべてのaigo製品を日本に導入するのではなく、フリービットグループが目指す“シルクのようなネットワーク”を構築するために必要なものを厳選するとしている。「今後来るのは、機器単体でネットワークに繋がる世界。そこではもっと安く、使いやすく、シンプルな製品が出てくると思う。こうした世界をフリービットとaigoで狙っていく」(石田氏)

 エグゼモード代表取締役社長には、同社営業本部長だった小沼卓見氏が新たに就任した。製品企画や開発を主体とした体制から販売にシフトするためで、前社長の藤岡淳一氏はMaker's Maker事業分野に一定期間専念するとしている。

 エグゼモードは、2007年10月にKEF JAPANのデジタル商品事業部門を分割する形で設立。自社ブランドのデジタル製品を展開する傍ら、2008年9月にヤシカブランドの国内使用権をJNC Datum Tech Internationalから取得。ヤシカブランドを冠したデジタルカメラ、フィルムカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレームなどを展開していた。

 その後、2009年9月にフリービットがエグゼモードの全株式をKFE JAPANから取得。両社はユビキタス家電で協業する一方、エグゼモードは大手量販店のプライベートブランドなどのOEM/ODM/EMS事業を強化する施策を採っていた。

 ヤシカは、1950年代に二眼レフカメラからスタートした国内老舗カメラメーカー八洲精機から出発したカメラブランド。二眼レフブームが去った後も生き残り、ニッカカメラ吸収後の製品として世界初の35mm電子シャッターEEカメラ「ヤシカエレクトロ35」などを発売した。

 1974年にはカールツァイスと提携。国産技術でコンタックスブランドの一眼レフカメラを世に出した。しかし1983年の京セラとの吸収合併後、ヤシカのブランド名は海外のみでの展開となっていた。その後の京セラのカメラ事業撤退に関連し、ヤシカの商標権はJNC Datum Tech Internationalに移っていた。




(本誌:武石修)

2011/4/26 17:28