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40周年の「写ルンです」に20年ぶりの新製品

黒白フィルムと防水の2モデル

「写ルンです Black and White」(左)と、「写ルンです Active」(右)

富士フイルム株式会社は7月1日(水)、レンズ付フィルム「写ルンです」シリーズの新製品2モデルを発表した。黒白フィルムモデルの「写ルンです Black and White」と、防水モデルの「写ルンです Active」、加えて同シリーズ専用のハンドストラップを8月上旬から順次販売開始する。

なお、同日に開催された製品発表会において、同社は「写ルンです」が2026年7月1日で発売40周年の節目を迎えたことを報告。デジタルカメラやスマートフォンの普及を経て、現代のZ世代に「特別な不自由さ」として再評価されているという現状と、同社が本質的に変革させてきた「良い写真の定義」や新たなブランド価値について語った。

40周年 特別ロゴマーク

黒白フィルムモデル「写ルンです Black and White」

シャープで粒状感の滑らかな描写が特徴という、専用の黒白フィルムを搭載したモデル。特別な設定や技術なしで、日常の何気ない風景をアーティスティックに切り取れるとしている。発売は9月以降。

カラーネガフィルムと同じ現像液(CN-16/C-41)による処理に対応。これにより、一般的なカラーフィルム現像を受け付けている店舗や、同社のスマートフォンアプリ「写ルンです+」でのスムーズな現像・データ化の注文が可能という。

友人たちとの何気ない日常を、気軽に、かつアーティスティックに残したい10代後半から20代後半の男性をメインターゲットとして見据えている。

パッケージのみの変更などを除くと、「写ルンです」シリーズの新製品追加は20年ぶりとなる。

  • フィルム:135ネガフィルム(ISO 400)
  • 撮影枚数:27枚
  • レンズ:焦点距離32mm、F10
  • シャッタースピード:1/140秒
  • ファインダー:逆ガリレオ式プラスチックファインダー
  • フラッシュ:内蔵
  • 外形寸法:115×54×34mm
  • 重量:90g
  • 現像方法:CN-16現像、C-41現像
  • 想定価格:4,300円前後

防水モデル「写ルンです Active」

水深10mまでの防水性能を備えたモデル。これまで海外の一部地域を中心に展開していた防水モデルをベースに、デザインを刷新して国内市場へ再投入した。発売は8月上旬。

海やプールといった水辺だけでなく、雪山やキャンプ、雨や泥を気にするアウトドアシーンなど「スマホでの撮影をためらう瞬間」を、濡れても汚れても気にせず撮影できると訴求する。

水中や手袋を着用した状態でも確実に操作できるよう、通常モデルよりも大型化された「フィルム巻き取りノブ」や「レバー型シャッターボタン」を備える。

メインの想定ターゲットは、さまざまなアクティビティに関心を持ち、実際に体験することを重視する20代後半の女性。

カメラ本体が防水のハウジングに収められている。大型の「フィルム巻き取りノブ」(カメラ天面)と「レバー型シャッターボタン」(カメラ全面)を搭載
  • フィルム:135ネガフィルム(ISO 800)
  • 撮影枚数:27枚
  • レンズ:焦点距離32mm、F10
  • シャッタースピード:1/125秒
  • ファインダー:逆ガリレオ式プラスチックファインダー
  • フラッシュ:なし
  • 外形寸法:133×73×42mm
  • 重量:170g
  • 現像方法:CN-16現像、C-41現像
  • 想定価格:4,480円前後

「写ルンです Hand Strap」

「写ルンです」をより手軽に、おしゃれに持ち歩きながら撮影ができるよう設計したというハンドストラップ。発売は8月上旬。

キーホルダーを付けたり、カバンや衣類のベルトなどに取り付るなど、自分のスタイルに合わせたアレンジが楽しめるとしている。

タイパ時代に再評価される「特別な不自由さ」

同日に開催された製品説明会において、富士フイルムは「写ルンです」の現状と、改めて再定義したというブランド価値について説明した。

1986年7月1日の発売から40周年を迎えた同シリーズは、「いつでも、どこでも、誰でも、簡単に」写真を撮れるコンセプトで開発され、それまでの写真文化を大きく変える存在となった。発売初年度だけで300万本以上、累計で17億本以上を販売。デジタルカメラやスマートフォンの普及によって一時は大きく売上を落としたものの、2021年頃から再び回復に転じ、2024年のリブランディングや販促強化が功を奏して2025年に急成長を遂げた。

富士フイルムは、この再ブームの背景をデジタルにはない「体験価値」にあると分析する。タイムパフォーマンス(時間効率)が重視される現代において、現像するまでどんな写真が撮れているかわからないワクワク感や、ファインダーを覗いてシャッターを切るという一連の行為、その場で結果が見えない「特別な不自由さ」そのものが、デジタルネイティブであるZ世代を中心に支持されているという。

このようにユーザーの価値観が変わってきていることを受け、同社は今後のグローバル共通のメッセージとして「飾らない瞬間、なのに特別」を策定。

長年にわたり写真関連の商品・サービスを提供するなかで、同社が本質的に変えてきたのは「良い写真の定義」だという。時代が移り変わるなか、かつては失敗写真とされた「粒子感」や「ブレ」「ボケ」は、今やエモーショナルな表現として受け入れられている。

本来、写真表現はもっと自由なもの。撮影直後に結果を確認できないからこそ、その場の空気を壊さずに自然体の瞬間をそのまま残せるのが「写ルンです」の価値だという。同社はこの「時間の価値」を感じる体験こそが本質であるとし、今後もラインアップを進化させていく方針を示した。

本誌:宮本義朗