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亀山仁写真展「Thanaka」

(ギャラリー冬青)

 ファインダー越しに彼らと向き合うとき、私は真っ直ぐレンズを見つめ返す彼らの姿にフォーカスを合わせる手が止まりそうになることがある。静かに佇む彼らの容姿は我々日本人と似ているが、物にあふれた日常が当たり前としてきた我々にはない生命力にあふれている。やや気後れしたような戸惑いを打ち消すように私は息を潜めてファインダーを凝視しながらシャッターを切った。

 Thanaka/タナカとは、ミャンマーで主に女性や子供が頬や額に塗る化粧品のようなもの。東南アジアの強い陽射しから肌を守る効果があるという。柑橘系の木の樹皮を、水をたらした石板の上でこすり、ペースト状にして肌に塗る。鏡を見ながら丁寧に塗ったり、型紙を使い木の葉などの凝った模様を描く若い女性もいる。Thanakaはミャンマーを象徴する文化。

 昨今、ミャンマーは軍事政権から民主化へと急速に動き始めている。この先市場開放路線のもと都市部から開発が進んでいくのだろう。ヤンゴンではすでに物価が上昇、インフラ不備による混乱も始まっている。彼らの望む社会への変化であって欲しいと願ってやまない。

(写真展情報より)

  • 会場:ギャラリー冬青
  • 住所:東京都中野区中央5-18-20
  • 会期:2013年7月5日(金)〜2013年7月27日(土)
  • 時間:11時〜19時
  • 休館:日曜・月曜・祝日

(本誌:折本幸治)