エプソン、インクジェットプリターの「縁なし印刷」で発明賞を受賞


 セイコーエプソン株式会社は20日、IJ要素開発部主査の松橋邦彦氏が、「縁なし印刷可能なインクジェットプリンターの発明(特許第3700677号)」において、全国発明表彰の発明賞を受賞したと発表した。

「四辺縁なし印刷」を搭載したPM-900C

 本発明は、インクジェットプリンターで、印刷用紙の縁に余白を残すことなく全面に印刷する「四辺縁なし印刷」の基本技術を世界で初めて確立したもの。銀塩写真のような縁なし印刷が容易に行えるようになり、写真プリント業界の新しい時代を牽引したという。印刷用紙を下から支持するガイドリブを設けて、印刷用紙を案内部材から浮かせて水平に保つ構造とした上で、印刷範囲を印刷用紙の縁の外側までわずかに拡大してインクを吐出。さらに外側に外れて吐出されたインクをインク回収部にて回収するという、従来とは異なる機構を着想したことで、縁なし印刷を実現した。

 同社は本発明を元に、「四辺縁なし印刷」を搭載した「PM-900C」を2000年に商品化した。以来、多くのプリンターで採用されているという。また、ビニール袋や布など、紙以外への印刷も可能なため、包装材業界、アパレル業界などの様々な業界に拡大している。

 全国発明表彰は、優れた発明を完成した人、実施化に尽力した人、発明の指導・奨励・育成に貢献した人を顕彰することにより発明の奨励・育成を図り、科学技術の向上と産業の振興に寄与することを目的としている。後援は文部科学省、経済産業省、特許庁、日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本弁理士会、朝日新聞社。

(本誌:折本幸治)

2011/6/20 18:30